ミドルウェアについて徹底解説!その特徴から組み込みシステム開発との関係性までご紹介します。
皆さんはミドルウェアという言葉を聞いたことはありますか?パソコンから家電など様々なものに導入されている重要なソフトウェアですが、我々はその存在を意識することなく、快適に電子機器を操作することが出来ています。本記事ではそんなソフトウェアについての特徴や仕組み、また組込みシステム開発との関係性まで徹底解説します。
目次
パソコンが動く構造
- ハードウェア
- OS
- アプリケーション
- ミドルウェア
ミドルウェアの話をする前にそもそもパソコンがどのように動作するのかを理解する必要があるため、パソコンを動かすための4つの構造を先に説明します。
パソコンやスマートフォンを動かすためには「ハードウェア・OS・ミドルウェア・アプリケーション」の4つが必要になります。ミドルウェアは次の項目で説明するので、ここではそれ以外の3つを簡単に説明します。
ハードウェア
ハードウェアはパソコン本体のことで、液晶やHDD、GPU、キーボードなどを搭載することでパソコンにデータを記憶させたり、命令を出したり、視覚的に映像を確認することができる本体部分です。よりわかりやすく言うと手で触れるものはハードウェアで、これが一番イメージしやすいかと思います。。
OS
OSはパソコンを動かすための規格のようなものです。キーボードで入力されたものを反映させたり、イヤホンから音を出したりすることができるようにパソコンとしての規格を設定します。Apple社製のものであればMac OSやiOS、他の会社のものであればWindowsやAndroidが標準的に搭載されていますが、一からパソコンを製作するのであればこれらのOSをインストールしなければベースとなる規格を設定することが出来ず電子機器として利用することが出来ません。
アプリケーション
そして、アプリケーションは自分が使いたい機能を新たに追加してパソコン上で使用することができる応用アプリケーションです。WordやExcelといったoffice 製品や、ウェブサイトを検索するChrome、Internet Explorer, Safariなどがこれに当たります。スマホでダウンロードして使用するゲームや音楽生成ソフトなどもアプリケーションです。
普段スマートフォンを使用している人であれば、iPhoneでダウンロード出来てもアンドロイド携帯ではダウンロードできないという経験をした頃がある方もいるのではないでしょうか。
あれはOSであるiOSの規格に合わせてアプリケーションを作っているためiPhoneでは正常に動かす事が出来るが、アンドロイド規格では正常に動かす事ができないためダウンロードできない仕組みになっているからです。
ミドルウェアとは?
OSとアプリケーションの補完機能
ミドルウェアは前項で説明したOSとアプリケーションの間に入り、お互いの動きを快適にするために補助しているソフトウェアのことです。
様々なミドルウェアが有り、システムの監視、データのバックアップ、アプリケーションの共通処理部分をまとめた汎用的なものなどその種類は多岐に渡ります。
例えばログイン機能や、会員登録など多くのアプリケーションで共通の処理部分があります。こういった多くのアプリケーションで共通利用されるものは一元化してミドルウェアに組み込みましょうといった感じです。
ミドルウェアの3段構造
Webサーバー
Webサーバーは、パソコンを操作してchromeなどのウェブブラウザーから検索をした際に、検索結果を視覚的に表示するために存在するプログラムです。また、ユーザーからの要求に対して情報の処理機能を持つアプリケーションサーバーにその情報を引き渡します。
例えば、誰が見ても同じ内容が表示されるウェブサイトなどはWebサーバーがユーザーにその情報を提供しますが、ログイン機能などを実装しているウェブサイトの場合は、ログインユーザーに専用のページを表示する必要があります。そう行った場合に入力された情報を、情報処理機能を持つアプリケーションサーバーに引き渡します。
Webサーバーとして非常に有名なソフトウェアは世界中で60%のシェアを誇る「Apache」です。
アプリケーションサーバー
アプリケーションサーバーは、Webサーバーから受け取った情報を処理するために存在します。場合によってはリクエストされた特定の情報をデータベース管理サーバーに引き渡し、その情報を元にWebサーバーに引き渡します。
例えばログイン情報の処理がWebサーバーから要求された場合にそれをデータ管理サーバーに問い合わせて専用ページへのアクセス処理を行い、その情報をWebサーバーに渡すことで、ログイン後の専用ページが表示されます。
また、情報の処理機能も備えているので四則演算もアプリケーションサーバーが行います。有名なものにJave言語で構築されているJbossというミドルウェアが有り公式サイトから簡単にインストールすることが出来ます。
データベース管理サーバー
データベースの構築や管理を行うためのサーバーで、ストレージに保管しているデータを呼び出したり、書き加えたりするために使用されます。
情報自体は専用のストレージに保管されているのですが、アプリケーションサーバーからストレージにあるデータを呼び出したい場合にリクエストを送り、データベース管理サーバーがストレージ内のリクエストに一致する情報をアプリケーションサーバーに返します。
SQLというデータベース言語が利用されていますが、代表的なものにMySQLというミドルウェアがあります。
- Webサーバー
- アプリケーションサーバー
- データーベース管理サーバー
組み込みシステムとは?
特定分野に特化した組み込みソフトウェア
組み込みシステムは家電やゲーム機など特定のハードウェアが利用的な動きをするために組み込まれるソフトウェアのことを言います。
PCやスマートフォンは多目的な利用用途で使用され、それぞれの用途に共通して行われる処理があります。ところが、炊飯器や冷蔵庫、洗濯機といった特定の用途でしか使用しないものはハードウェアを動かすためのシステムが必要です。そういった特定の用途のために組み込むシステムのことを組み込みシステムと定義しているようです。
ミドルウェアとの関連性
ミドルウェアはOSとアプリケーションの間で両者の補助をする役割であると説明しましたが、組み込みシステムにおいてもOSとアプリケーションが存在するため、ミドルウェアが自然と必要になってきます。
IoT化による家電のインターネットへの接続や、音声認識機能の追加などは特定分野の枠を超えて共通的な処理部分を搭載するためにミドルウェアを搭載することがあります。
そのような場合は様々な企業が提供している製品を組み込むことで解決できることもありますが、特徴的な物になると一からアプリケーションとOSを繋ぐことができるミドルウェアを開発することもあるようです。
組み込みシステムにおけるミドルウェアは自社開発が多い
PCなどの汎用的な機械を製作する場合はハードウェアとソフトウェアを別会社で製作し、必要な部分を複合するということも行われますが、組み込みシステムの場合はハードウェアとソフトウェアを両方製作することが多いようです。
というのも、組み込みシステムの場合は特定の分野に限られた機械を製作するため、それに合致するミドルウェアやアプリケーションが見つからないケースがあるためです。
組み込みシステム開発の流れ
- 1.必要機能の抽出
- 2.システム設計
- 3.ハードウェア設計
- 4.ソフトウェア設計
- 5.実装・テスト
組み込みミドルウェアについて詳しく知るためには、組み込み開発の流れについて知っておく必要があります。組み込み開発の流れを簡単に整理すると以下のようになります。
必要機能の抽出→システム設計→ハードウェア設計→ソフトウェア設計→実装・テスト
必要機能の抽出
一般的なシステム開発では使用するハードウェアが汎用的になります。一方で組み込みシステム開発では家電などの特定に用途に使うハードウェアを対象とします。
そのため、組み込み機器に求められる定義を明確にした上で開発を開始する必要があります。よって、開発初期の必要機能の抽出が非常に重要なステップとなります。
システム設計
機能の抽出が終われば、目的を実現するためにどのようなハードウェア・ソフトウェアが必要かを決めていきます。
例えば、組み込み機器と外部との接続が必要であればUSBなどのインタフェースを決めることになるでしょう。
また、メニュー画面を作る場合には画面を配置するためのOSを検討します。Linux・Android・Windowsなどの一般ユーザーになじみのあるOSが選択されることが多いです。
ハードウェア設計
ここからは欲しい機能を実現するために必要なハードウェア構成について検討します。
一番分かりやすい例はCPUをどのように配置するかというテーマです。
CPUにはさまざまな種類があり、うまく選ぶことができれば少ない部品で多くの機能を実現することができます。複数の機能を搭載したCPUを正しく選定することで、コストと作業量を減らすことができるでしょう。
ソフトウェア設計
ここまでで、システムが動作するOSやシステムを構成するハードウェアを選定しました。
ソフトウェア設計では、実際にハードウェアを制御するドライバーを開発します。
例えば、新しいプリンタを動かす際にパソコンにドライバーを入れた経験がある方は多いのではないでしょうか。
組み込み機器のハードウェアは機能によって独自の構成となることが多いため、ドライバーも機器に応じて個別に開発する必要があります。
また、外部のサービスに接続して機能を使いたい場合は、APIの設計もこの工程で行います。
実装・テスト
設計したハードウェアとソフトウェアを実際の基板上に実装してプログラムを実行する工程です。
この工程になると、WindowsやLinux上での開発環境より本番利用に近い形でのテストが実施されます。
さらに、組み込み機器が実際に置かれる環境を再現した環境テストが行われます。
組み込み機器は工場などの決して環境が良くない場所に設置されることが多いため、環境テストは非常に重要なプロセスです。
まとめ
- ミドルウェアはOSとアプリケーションを円滑に稼働させる役割を持つ
- ミドルウェアの構造はWEB・アプリ・データーベースから構成されている
- 組み込みシステム開発は主に家電など特定の分野で使用される
- 組み込みシステム開発のものによっては既存のミドルウェアではなく一から開発するケースもある
ミドルウェアは普段家電やパソコンに触っていても意識することはないソフトウェアです。そのため、理解しようと思うとOSやアプリケーションの仕組みを理解する必要があるなど多少困難です。
しかし、普段使用している電子機器がどのように動いているのかを知っておくことは視点や視野の広がりを感じることができますし、より身近に感じれるのではと思います。
エンジニアや専門職に付かなければ一生理解しなくても生きてはいけますが、ITや電子機器の基本構造について多少の知見ぐらいは持ち合わせていたいと思う方はこの機会に覚えておくと良いでしょう。
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