クラウドと仮想化の違いとは?違いや関係性、サービスを分かりやすく解説
「クラウドと仮想化の違いって何?」世の中には多くのクラウドサービスがありますが、それらのサービスを実現するためには仮想化技術の活用が不可欠です。そこで今回は仮想化とクラウドの違いや特徴、実際の企業の導入事例なども交えてわかりやすく説明します。
目次
クラウドとは
クラウドとは
クラウドはユーザーがストレージやソフトウェアを用意しなくても、インターネットに繋げるだけでサービスを必要な時に必要な分だけ利用することができるサービスです。
これによりユーザーは、サービスを動かしているコンピューターや接続方法などを意識しなくても簡単にサービスを利用することが出来るようになりました。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスは大きく分けて4つのサービスに分類することが出来ます。ここではそれぞれのサービスについて簡単に説明します。
- IaaS
- PaaS
- SaaS
- DaaS
・IaaS
IaaSは“Infrastructure as a Service”の略で、システムで利用するOSやCPUなどのインフラを自由にインターネットで利用することができるサービスです。
・PaaS
PaaSは“Platform as a Service”の略で、アプリケーションの開発者がそのプラットフォームをインターネットで利用することが出来るサービスです。例えば地図アプリを製作したい人が地図データやその土台一式をインターネット上で提供している様な形です。
・SaaS
SaaSは“Software as a Service”の略でソフトウェアをユーザーにダウンロードさせるのではなく、サービスの提供元がサーバーを稼働させインターネット経由でサービスを提供する仕組みです。
・DaaS
DaaSは“Desktop as a Service”の略で、インターネット上のデスクトップ環境を提供するサービスです。
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仮想化とは
仮想化とは
仮想化とは、物理的なリソースを複数に分割したり、それを統合したりして使用できるテクノロジーの事を指します。
例えば一台の物理的なサーバーは安価なものでも高性能な物が多く、どんなに利用しても10~30%程度しか使わず残りの70%はアイドル状態で使用されていないケースが殆どです。
そういった場合に一台の物理的なサーバーを分割して複数の仮想サーバーを作成する事で、資源の無駄を省こうというものです。
仮想化の種類
仮想化について主にサーバーをメインに話をしてきましたが、サーバー以外にもストレージやネットワーク、アプリケーションといったリソースを仮想化する事もできます。ここではそれぞれの仮想化について簡単に説明します。
- サーバーの仮想化
- ストレージの仮想化
- ネットワークの仮想化
- アプリケーションの仮想化
・サーバーの仮想化
サーバーの仮想化は、一台の物理サーバーを分割し複数の仮想サーバーを作成することができます。
・ストレージの仮想化
ストレージの仮想化は、一台の物理ストレージディスクを分割し複数の論理ディスクを作成することができます。
・ネットワークの仮想化
ネットワークの仮想化は、一つのネットワーク回線や機器を仮想化することで複数のネットワークを構築することができます。
・アプリケーションの仮想化
アプリケーション仮想化は一つのアプリケーションを仮想化することで複数のサーバーで使用することが出来ます。
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仮想化とクラウドの違い
ここまで仮想化とクラウドについてそれぞれ説明してきましたが、仮想化はシステムリソースを効率よく利用するための技術、クラウドはインターネット経由で利用することが出来るサービスです。
上記の事実で分かる様に両者の間には技術とサービスという大きな違いがあります。そのため仮想化は技術、クラウドはサービスと覚えておくと良いでしょう。
仮想化とクラウド比較一覧
①コスト
・初期費用が高いのが仮想化、初期費用が安いのがクラウド
・ただしプライベートクラウドは資本コストが高く運用コストが低い、パブリッククラウドではその逆
・保守にかかるコストは安いが運用費が高いのが仮想化、保守にかかるコストは高いが運用費が安いのがクラウド
②構築にかかる期間
・長いのが仮想化、短いのがクラウド
③スケーラビリティ(拡張性)
・いずれも高いが、ハードウェアに限りがあるのが仮想化(スケールアップ)、必要に応じて拡張できるのがクラウド(スケールアウト)
④サーバー
・サーバーやデータベースをひとつのユーザーが占有するのが仮想化(シングルテナント)、複数のユーザーでサーバーやデータベースを共有するのがクラウド(マルチテナント)
⑤ネットワーク環境の柔軟性
・柔軟な設計ができるのが仮想化、クラウドは設計に依存する
⑥セキュリティ対策
・自社内の利用であれば対策しやすいのがクラウド、難しいが強化が必須なのがクラウド
⑦バックアップ
・対応製品が多く復旧しやすいのが仮想化、サービスやベンダーに依存するのがクラウド
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企業の導入事例
仮想化の導入事例
仮想化のサービスは日本企業だと、FujitsuやNEC、日立など多くの企業が行っています。
実際に導入した企業の例で言うと、大和証券が社内で使用している約15,000台のデスクトップをセキュリティー強化と運用不可の軽減の目的で仮想化しました。
これにより社員がそれぞれのデスクトップで業務データを残すことを防ぎつつ、OSやアプリケーションの更新作業を排除するなど運用不可の軽減も実現しました。
クラウドの導入事例
クラウドサービスとして企業向けに人気が高いのはAmazonが提供しているAWSサービスです。
日本企業だと、三菱UFJがAWSを採用しており、社内のシステムの一部をクラウド上で運用しています。
2018年に行われた日経xTECH EXPO 2018では執行役員の亀田浩樹氏が登壇し、「AWSクラウドを利用して構築したシステムで従来の60%以上のコスト削減することができそう』という旨を発言しました。
個人でクラウドを利用する場合は、データの保管、共有を行うDropboxやGoogle Driveでの利用が多い様に思います。
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クラウドのメリット・デメリット
クラウドの特徴・メリット
クラウドサービスを導入するメリットとして、以下の様な利便性を実現することができます。
- サーバーを用意する必要がない
- メンテナンスが不要
- どこでも利用できる
・サーバーを用意する必要がない
クラウドが誕生するまでは、ユーザーがサービスのソフトウェアを購入し自分のサーバーにインストールして使用する必要がありましたが、クラウドサービスの場合は提供しているサービス元がサーバーを用意しており、ユーザーは自社でサーバーを用意しなくてもインターネットに接続するだけでサービスを利用できる様になりました。
・メンテナンスが不要
ソフトウェアのアップデートや不具合に対するメンテナンスなどは全てサービスの提供元が行ってくれるためユーザーは更新作業を行う必要がありません。
・どこでも利用できる
インターネットに接続する環境さえあればどこでもサービス使用することが出来るため、端末や場所を選ばずどこでも利用することが可能になります。
クラウドのデメリット
先ほど仮想化のデメリットとしてコスト面について解説しましたが、クラウドでも管理・運用コストが増える可能性があります。
例えばプライベートクラウドでは初期費用が高く運用コストが安い傾向にあり、パブリッククラウドでは初期費用は安く運用コストが高い傾向にある点に注意が必要です。
セキュリティ強度も含めベンダー依存が高いため、システム障害などトラブルの発生時に何もできない事態に陥らないためにもバックアップはベンダーに依存しないところへ保存すると良いでしょう。
また近年では、クラウドの活用が広まっていることでデータ通信の混雑によるアクセス障害も懸念されます。
この点をデメリットとしないためには、通信環境の整備にも配慮しましょう。
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仮想化のメリット・デメリット
仮想化の特徴・メリット
仮想化を行うことで、下に記載されている3つの利便性を実現することが出来ます。
- システムの無駄をなくす
- システムを自由に分割・統合出来る
- リスクを分散することが出来る
・システムの無駄をなくす
仮想化についての冒頭部分でも説明しましたが、多くの物理サーバーはその性能の数十%しか使用していません。仮想化の発想が始まる前は一つのアプリケーションに対して一つの物理サーバーを用意することが一般的でしたが、サーバーの性能をフルに使っている企業は少なくシステムリソースの無駄を指摘されていました。
仮想化を行うことで残りのサーバー性能を分散し、別のサービスで利用することでシステムリソースを無駄なく使用することが可能になり、コストの削減にも繋がります。
・システムを自由に分割・統合出来る
仮想化の大きな特徴として、システムリソースを複数に分けるだけでなく、統合することも可能になりました。これにより、複数の物理サーバーの一部を結合し、仮想のサーバーを作成することで拡張性を高めることが出来るようになります。
・リスクを分散することが出来る
複数台のシステムを分割して仮想のサーバーを作ることでシステムのダウンリスクを低減させることが出来るようになります。
例えば一台のサーバーでアプリケーションを動かしていた場合にサーバーが何らかの故障や不具合でダウンしてしまうとサービス全体に影響が出てしまいます。しかし、10台のシステムを複合した仮想サーバーを使用している場合、一つのサーバーがダウンしてもその影響は10%程度と限定的になります。
仮想化のデメリット
もっとも大きいとされる仮想化のデメリットがコスト面です。
その理由がOSやソフトウェアの購入が必要であることや、ソフトウェアのコストが増加する可能性が考えられるからです。
運用するマシンの量が増えればその分コストも増えます。
仮想化環境には高度なスキルと豊富な知識が求められるため、人材確保にも時間とコストが必要です。
また、ハードウェアの依存が高くなることによって、もし障害が起きれば同じサーバー上で稼働する他のシステムにも影響が出るリスクも考えなければなりません。
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クラウドサービスは仮想化技術によって成り立つ
クラウドサービスは、インターネットに接続するだけでサービスを利用することができると言いましたが、これらのサービスは仮想化の恩恵を受けることで実現しています。
例えばオンライン上でデータを保存するクラウドサービスを活用する場合は、仮想化されたストレージを使用することになります。
またクラウド上で複数の人間が同じアプリケーションを使用する場合は仮想化されたアプリケーションを利用するということです。
このようにクラウドサービスは仮想化技術を採用することで利用することが出来るため、切っても切れない関係だといえます。
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クラウドや仮想化に興味をもったらIT転職のプロに相談してみよう
- 仮想化は物理的なリソースを分割・統合することで資源の有効活用やリスク分散をする技術
- クラウドはインターネットに接続してインフラやソフトウェアが利用できるサービス
- 仮想化はシステムリソースを効率よく利用するための技術、クラウドはインターネット経由で利用することが出来るサービス
- クラウドサービスは仮想化技術によって支えられている
仮想化やクラウドサービスについて説明しましたが、GmailやDropboxなどのクラウドサービスは既に使ったことがある、もしくは使い続けているという方も多いのではないでしょうか。
一般的に利用する際には仮想化といった技術に意識を向けることは無いと思います。
本記事で普段クラウドサービスの基盤となっている仮想化について少しでも理解していただければ幸いです。
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