「オープンスタック」をわかりやすく解説!AWSとの違いについても紹介
オープンスタック(OpenStack)を利用すると、AWSのようなクラウド環境を自前で構築することが可能です。Webサービスはもちろん、社内のインフラをクラウド化することも可能です。本記事ではオープンスタックの解説とAWSとの違い、具体的な機能を紹介します。
目次
オープンスタック(OpenStack)とは
オープンスタック(OpenStack)とは、AWSのようなクラウドコンピューティングを実現するためのソフトウェアです。
ユーザーは、オープンスタックの機能として提供されているダッシュボードから、仮想化されたOSやストレージ、ネットワークなどを、クラウド化された環境として一括で管理できます。
これまで、自社内でクラウド環境を構築するといっても、それは主にOSの仮想化を指していました。
ネットワークルーターやストレージサーバーの設定変更などを行う際には、物理機器を直接人の手で操作するのが一般的だったのです。
オープンスタックの登場により、ITのインフラストラクチャーのほとんどをクラウドで操作することが可能になりました。
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オープンスタックはOSS(オープンソースソフトウェア)
オープンスタックはOSSですので、無料で自由に使えます。
そのソフトウェア群が持つ機能は、Amazonの提供するAWSのイメージです。
AWSでは、ネットワーク設定も含めて、クラウド環境に必要な要素をすべてWeb画面を通して設定ができます。
このような環境を、AWSを使わずに独自で構築できるのがオープンスタックです。AWSライクな環境をOSSで構築できるのは非常に便利です。
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オープンスタックのメリットとデメリット
オープンスタックは無料で便利ですが、メリットとデメリットがあります。
メリット:独自クラウド環境を無料で構築できる
- オープンスタック自体は基本無料
- 低コストでの運用ができる
- 必要な機能だけを好きなようにカスタマイズ可能
自社のインフラ環境などは、オープンスタックを利用することで、独自のクラウド環境を構築できます。
オープンスタックは無料で提供されていますので、コストを抑えた運用が可能です。必要な機能だけを自由に組み合わせて、独自のクラウドコンピューティングを実現できます。
デメリット:オープンソースに慣れた技術者が必要
- サポートを受けるにもある程度知識が必要
- 場合によってはIT技術者のサポートが必要になるケースも
オープンスタックはOSSです。メーカーがパッケージとして提供しているものもありますが、無料で利用する場合にはサポート面でデメリットがあります。
オープンスタックにはコミュニティーサポートなどもありますが、その仕組みをしっかりと理解していないと、何が問題なのかを特定できず、うまくサポートを使うことが難しいでしょう。
オープンスタックを利用する際には、その機能をソースコードレベルから理解できる、ある程度の経験をもつ技術者が必要です。
技術者はいないけどオープンスタックを利用したいという場合には、RedHadなどが商用として提供する(後述)、オープンスタックを利用して、サポート面も考慮した導入を意識しましょう。
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オープンスタック6つの機能(コンポーネント)
- Compute(Nova)仮想マシンを自動的に生成しサービスを提供
- Object Storage(Swift)サーバーのデータ保存領域を提供
- Image Service(Glance)Novaで生成する仮想マシンのVMディスクイメージを管理
- Dashboard(Horizon)Web管理するためのインターフェース
- Identity(Keystone)ユーザー認証を管理
- Virtual Network Service(Quantum)仮想ネットワークを管理
ここからは、オープンスタックの6つの機能を紹介します。以下のコンポーネントを組み合わせることで、独自のクラウドコンピューティング環境を構築できます。
Compute(Nova)
Compute(Nova)は、仮想マシンを自動的に生成しサービスを提供する、最も重要なコンポーネントです。
オープンスタックを調べると「Nova」の文言だけで表記されているものもあります。
物理的なインフラ環境でいえば、コンピューター(サーバーなど)に相当します。
仮想OSをコントロールするためのスーパーバイザー(KBMやXenServerなど)に対応しています。
Object Storage(Swift)
Object Storage(Swift)は、ストレージ基盤です。
サーバーのデータ保存領域を提供します。システム規模によってストレージ拡張も可能です。
オープンスタックで調べると、「Swift」の表記のみの場合もあります。
物理的なインフラ環境でいえば、ストレージサーバーに相当します。
Image Service(Glance)
Image Service(Glance)は、Novaで生成する仮想マシンのVMディスクイメージを管理します。
オープンスタックを調べると、「Glance」の表記のみの場合もあります。
物理的なインフラでいえば、イメージディスク(DVDやCD)で保管していたものです。
Dashboard(Horizon)
Dashboard(Horizon)は、Web管理するためのインターフェースです。
Dashboard(Horizon)では、NovaやSwift、GlanceなどをWeb画面でコントロールできます。
オープンスタックを調べると、「Horizon」の表記のみの場合もあります。
運用開始後、ユーザーは主にDashboard(Horizon)のインターフェースを使って運用・保守・管理を行います。
オープンスタックとユーザーを繋ぐ、唯一のインターフェースです。
Identity(Keystone)
Identity(Keystone)では、ユーザー認証を管理します。
オープンスタックで構築した環境で作業をするユーザーは、Keystoneによって一元管理されます。
オープンスタックを調べると、「Keystone」の表記のみの場合もあります。
Virtual Network Service(Quantum)
Virtual Network Service(Quantum)では、オープンスタックで構築したクラウド環境における、仮想ネットワークを管理します。
仮想ネットワーク接続のすべては、Quantumで管理できます。
物理的なインフラでいえば、ルーターやスイッチなど、ネットワーク機器に相当します。
オープンスタックを調べると、「Quantum」の表記のみの場合もあります。
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オープンスタックの商用パッケージもある
オープンスタックは、OSSとして提供されているため、それを基盤に商用利用のためのパッケージを提供している企業があります。
メーカーの提供するオープンスタックは有料ですが、メリットとしてはやはりサポートを受けられることでしょう。
RedHat社が提供するオープンスタック
RedHat社は商用のオープンスタックとして「RHEL-OP」を提供しています。これは「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」の略称です。
RHEL-OPでは、本家オープンスタックの新機能が提供されると、約2〜3ヶ月でRHEL-OPにも反映され、アップデートされるようです。
参照元:RedHat公式サイト
IBM社が提供するオープンスタック
IBM社は商用のオープンスタックとして「CMwO」を提供しています。これは、「IBM Cloud Manager with OpenStack」の略称です。
OSSのオープンスタックを利用して、IBMが商用利用できるソリューションを提供するものです。
参考元:IBM公式サイト
まとめ
- AWSと互換性がある
- 多数の機能が無料で利用でき、モジュール化しているため統合や切り離しが容易
- サポートを受けるにはそれなりの知識が必要
オープンスタックは常に開発が進められており、2019年11月時点に存在するコンポーネントも、時間をかけて徐々に追加された機能です。
AWSのような仕組みを独自に構築したいときにはオープンスタックが便利です。
オープンスタックの利用には、やはり専門知識が不可欠ですので、技術者がいない場合にはベンダーの商用プラットフォームを導入するのも一つの選択肢でしょう。
導入後には、必ずトラブルなども起こりますので、ベンダーのサポートがあると安心です。
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