そもそもAIって何?種類や歴史、AIを活用したサービス例も紹介します!
近年、よく耳にする「人工知能(AI)」という言葉。
「そもそもAIとは?」どのようなものを指すのか意味や定義など、AIの歴史やビジネス事例も踏まえて「AIとは何か」を簡単にわかりやすく解説します。
人工知能 (AI)とは?
AIとは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略ですが、その定義については未だ明確には定まっていません。
総務省の情報通信白書には以下のように述べられています。
人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術といった広い概念で理解されている。
引用元:総務省「令和元年版 情報通信白書」
つまり、「人間味を感じる知的さ」が特徴のプログラムという認識で、これまでのソフトウェアとは異なる点だと言えそうです。
しかし専門家の学術的な視点からはさまざまな解釈と定義がされており、現在も常に進化を遂げている分野であることから、明確な定義がないのが現状です。
一般的に「AI」で思い浮かぶ身近な例のひとつに、ソフトバンクが開発して販売している感情を認識するAI搭載人型ロボット「Pepper(ペッパー)」があります。
Pepper(ペッパー)は、「ロボティクス(ロボット工学)」から開発されたサービス向けのロボットです。ちなみに、必ずしもロボットの形をしているものがAIというわけではありません。
感情を持つロボットとされているペッパーの場合は、「頭脳」の部分が「AI」に該当します。ペッパーの頭脳には、人の行動や感情を学習する「感情マップ」が実装されているのです。
AIのレベル4段階
レベル1:単純な制御プログラム
制御工学やシステム工学という名称で、従来からあるものです。
具体的には、マイコン制御のエアコンや洗濯機といったメーカーがAIとしている製品が該当します。
レベル2:古典的なAI
対応のパターンが多彩なAIが該当するとされます。
例えば診断プログラムに使われるエキスパートシステムや将棋のプログラム、掃除機などです。
レベル3:機械学習を取り入れたAI
ビッグデータを活用するものがレベル3に該当します。
事前に学習した対応パターンを使い、新しい入出力を自動的に結びつけ学習していくものを指します。
ただしあらかじめ特徴量は人間が設定します。
レベル4:ディープラーニングを取り入れたAI
レベル3と比較するとさらにコンピューターの裁量が増えます。
プログラム自体がデータを使用し、特徴量の学習まで行うレベルです。
具体的には、顔画像認識や天気予報などがあります。
人工知能(AI)の種類と意味
人工知能(AI)の定義は専門家によって異なりますが、種類は以下のような機能に分類されます。
・特化型AI
・汎用型AI
・強いAI
・弱いAI
どの視点から見るかで人工知能の定義や分類、そして解釈には違いがあります。例えば、人工知能が「人間のような知能を持つコンピューター」であれば、汎用型AIこそが人工知能であり、特化型AIは課題解決を自動化する機械に過ぎないと考えられています。
特化型AIは「人間の能力の限定された一部の領域を代替するシステム」のことを指します。アメリカの哲学者ジョン・サールが提唱した定義では、強いAIと弱いAIという分類もあります。
特化型AIとは
特化型AIとは、人間の能力の限定された領域に特化して自動的に学習し処理する人工知能のことです。例えば、ビジネス領域で活用されている画像認識や音声認識、手書き書類やメモをデータ化して読み取る自然言語処理などの技術を持つ人工知能が特化型AIです。
汎用型AIとは
汎用型AIとは、プログラムされた特定の領域の機能に限定せず、人間のような能力を持ち、さまざまな課題や問題を処理する人工知能のことです。
人間は、想定外のことが起きても、これまでの経験や知識に基づいて総合的に判断し、問題解決を試みます。つまり、意識を持ってプログラムされた機能以上のことができる人工知能のことで、ドラえもんのようなロボットがイメージのひとつとして当てはまると言えます。
しかし、そのようなロボットはまだ完全に実現していないのが現状です。米国の未来学者レイ・カーツワイルによると、2029年に凡用型AIが誕生するという一説を述べています。
一方で、ロボット研究者のロドニー・ブルックスは、「2200年までに、汎用型AIが50%の確率で実現される」と述べているなど、専門家によって汎用型AIが実現される時期の予測は異なります。
強いAIとは
強いAIとは、「人間のような感情や意識を持ち、全ての認知能力が必要な作業もできて、物事を考えて総合的な判断もできるAI」のことです。
つまり、人間がプログラムした機能以上のことを状況に応じて判断できることが「強いAI」ということです。しかし、残念ながら強いAIは未だ実現していません。
弱いAIとは
弱いAIとは、「一定の領域のみの課題処理に特化したAI」のことです。企業などで使用されている業務効率化や、何かを自動化するときに導入されるAIの多くは、この「弱いAI」にあたります。
この分類については、どのような観点で人工知能を判断しているかの違いによるものです。「強いAI」と「汎用型AI」、「弱いAI」と「特化型AI」は観点が異なる近い概念といえます。
関連するキーワード
機械学習とは
AIに関連するキーワードに「機械学習」があります。
機械学習はAIの一種です。
コンピューターに人間のような学習能力(経験から学び自動で改善する能力)をもたせるための方法、そしてその技術の事や領域全体を指します。
サンプルとなるデータを使ってコンピューターに知識を与えルールを学ばせ、人が手がけたプログラムとは桁違いなタスクをこなす事が可能です。
ただし、「犬と猫」というような人間が目視で簡単に見分けられるような違いも、コンピューターは識別するための膨大なデータを必要とします。
そこでそれぞれの身体的特徴を細かく与えるかわりに、大量のデータと分析・解析ができるアルゴリズムを使って判断作業を可能にするのが機械学習です。
ディープラーニングとは
「ディープラーニング(深層学習)」は先述の機械学習の一種です。
他の機械学習との大きな違いは自動で特徴量(特徴を数値化したもの)を抽出し、学習していくという点です。
人間が決め、コントロールする必要がありません。
ディープラーニングを構成するニューラルネットワークとは、人間の脳神経をモデルにした言葉です。
データが入力される入力層、中間の層を中間層(隠れ層)、出力データの層を出力層といい、基本的にはこの3層以上で構成されています。
人間の脳神経のようなアルゴリズムでデータを処理・学習して次の層へと受け渡し、それぞれの層のつながりもデータから特徴量を抽出して重要性を判断して強弱を調整する、といった複雑な処理を自動で行うのがディープラーニングです。
人工知能(AI)の歴史
では、人工知能(AI)という言葉がいつ誕生して現代に至るまで、次のような流れがありました。
・1950年代 AIの出現と第一次AIブーム「推論・探索」
・1980年代 第二次AIブーム「知識・エキスパートシステム」
・2000年代 第三次AIブーム「機械学習・ディープラーニング」
具体的にどのような進化を遂げてきたのか、AIの歴史を年代別に解説します。
【1950年代】AIの出現と第一次AIブーム「推論・探索」
1950年代後半〜1960年代は第一次AIブームと言われ、最初のブームとなりました。最初に「Artificial Intelligence(AI)」という言葉が出現したのは、1956年にアメリカのニューハンプシャー州、ダートマスという地域で開催されたワークショプ「ダートマス会議」。
「人間のように考える機械」をダートマス大学の数学の教授、ジョン・マッカーシーが、このダートマス会議のために1955年に「人工知能」と命名して提案書で初めてAIという言葉を用いたのです。
しかし、実は1947年にイギリスの数学者で暗号研究家であるアラン・マシスン・チューリング(Alan Mathison Turing)がAIという概念そのものを提唱したとも言われています。
この概念の確立は「チューニング」と呼ばれるものからで、彼の著書「計算する機械と人間」に「機械が思考能力を持つことができるかどうかは、人間との会話が成立するかで判断する」と述べています。
現在も、「チューニング」という言葉はIT業界で用いられ、開発後にさらに信頼性の高いシステムへ改善・改良する行為を「パフォーマンスチューニング」と呼ぶことがあります。
1950年代後半〜1960年代はAIの最初のブームで、この時代は「推論」や「探索」の技術が中心でした。
探索とは、最初から目的の状態までの変化をシチェーションに分けて探し出すこと。推論とは、既知の知識から未知を推測し、改題解決のための答えを導き出すことです。
パズルやゲームなどのように明確なルールがある問題に対しては性能を発揮し、「おもちゃの問題(トイ・プロブレム)」と呼ばれ一躍ブームが起こりました。しかし、現実世界での複雑な問題は解けない性能的な限界が見えてブームは消え去りました。
【1980年代】第二次AIブーム「知識・エキスパートシステム」
1980年代には、第2次AIブームが起こりました。この時代は、特定の専門分野を大量に「知識」としてAIにインプットすることで問題解決を試みる「エキスパートシステム」の研究が進められました。
応用例として「医療診断」などにエキスパートシステムの研究が実施されました。しかし、病気の診断で正確な結論を導き出すには、人間の持つ膨大な知識とルール、例外処理の定義をインプットしなければならないことで壁に直面し、ブームは終わりを迎えます。その後、1990年代は、AIの「冬の時代」と呼ばれています。
【2000年代】第三次AIブーム「機械学習・ディープラーニング」
1990年代の冬の時代を経て、2000年代からは、AIの研究が目覚ましい進化を遂げる第3次AIブームを迎えます。「ディープラーニング(深層学習)」という技術に注目が集まりブームの原動力となったのです。
これまでの機械学習では、測定可能な識別できる特性をインプットして学習させる「特徴量」を定義することで予測や推論の技術を向上させていました。
例えば、「赤い風船」と「青い風船」であれば「赤い」と「青い」の「色」が特徴量に当たります。従来の機械学習では、特性である特徴量を人間が入力していたのが、ディープラーニングの登場で自動的にデータを抽出できるようになったのです。
「自動的に特徴量のデータを獲得する」技術が、AIの精度を高めて、現在の人工知能研究のブームに火をつけたとも言えます。
人工知能(AI)は人間の仕事を奪ってしまうのか?
AIの目覚ましい発展と実用化によって懸念されているのが、「AIは人間の仕事を奪うのか?」ということです。結論としては、「AIが人間の仕事を奪う」のではなく「AIで人間の仕事の形や内容が変わる」というのが適切です。
しかし、AIが人間の能力を超えた賢い知能を生み出す時点であるシンギュラリティ(技術的特異点)がいつか訪れることを専門家が提唱しています。
もし、思考を持つ凡用型AIで強いAIが実現すれば、人間の生活は一変する可能性があるのです。
現在、一般的に活用されているのは特化型AIで弱いAIです。人間のような思考や判断ができるわけではありません。そうは言っても、特化型AIでも人間の能力をはるかに超える結果を出しているものもあるからこそ、ビジネスへの実用化が成立しているのです。
人工知能(AI)のビジネス活用事例
既に日常生活の中に少なくないAIを応用したサービス。そのいくつかの例をご紹介します。
株式会社メルカリ 利用規約違反の商品・取引を自動検知
皆さんもよくご存じのメルカリは、偽造品や出品禁止物を排除するために、AIを活用した利用規約違反の商品・取引を自動検知するシステムを導入しています。また、機械学習に加えて「ネットワーク解析」と呼ばれるデータ解析を用いてユーザーが一般ユーザーか不正取引ユーザーか分類・抽出するシステムも導入しています。(参考:メルカリ)
GO株式会社(旧:株式会社Mobility Technologies) タクシー配車アプリ「Go」
Mobility Technologies(旧DeNA)が開発したタクシー配車アプリGoの「お客様探索ナビ」。AIの活用により、タクシーの需要供給予測とタクシー乗務員をお客様の待つ場所までナビゲーションする機能が搭載。待ち時間も予測できて初心者の乗務員でも安心の効率化が図られたアプリです。
「お客様探索ナビ」とは、タクシーのプローブデータ(⾃動⾞の⾛⾏位置や⾞速などの情報から⽣成された道路交通情報)を解析することで乗務員が目的地を入力しなくてもナビゲーションしてくれる機能です。
ちなみに、以前は、MOVというアプリ名でしたが、2020年に旧MOVとJapna Taxiが統合し、アプリ名が「Go」に改名されました。いくつかある配車アプリの中でも最も配車スピードが速いと言われています。
また、旧JapanTaxiアプリと比較すると、統合により新ロジック「優先パス」や「希望日配車」の機能が追加されたため、成約率が約10倍以上向上するという結果も出ています。
「優先パス」は、AIを活用した機能で、空車になる車両を先に予測して探車を行なえることから、ユーザーにも乗務員にも非常に効率的な機能なのです。
まとめ
AIとは何かについて、歴史やビジネス事例を踏まえてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。AIは、まだまだ人間の能力には及ばないとも言われながらも、プロの将棋士が将棋AI(Ponanza)に惨敗するというニュースもありました。AIの進化によって、変容する仕事に人間がどう対応していくかも今後の大きな課題です。
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