コールセンターにおけるAIの活用方法を解説!AIが解決する課題は?導入事例を転職エージェントが紹介
コールセンター業務は顧客の問い合わせに対してオペレーターが一対一で対応するため、業務上の負担が大きく人材確保が難しい職種です。しかしコールセンター業務が直面している問題の中には、AIが解決できるものが多くあります。この記事ではAIの活用によって解決される課題や期待できる効果について詳しく解説します。
目次
コールセンター業務へのAIの導入は可能か
世の中のさまざまな分野でIT化が進み、AI(人工知能)の導入も進んでいます。
それによって生活は非常に便利になり、ビジネスシーンでもAIが活躍する場面が相当増えていると感じられるでしょう。
ところが、人対人の会話によって成立しているコールセンター業務は、AIの導入が困難だと考えられてきました。
顧客の細かな感情の変化への、臨機応変な対応が必要とされるからです。
しかし、コールセンター業務にも活用できるAIシステムが登場しています。
導入することでさまざまな問題の解決が期待できますが、すべてを網羅するわけではありませんので、注意も必要です。
コールセンター業務の課題
AI導入前のオペレーターがすべてを対応するコールセンター業務では、さまざまな問題が指摘されてきました。
従来のコールセンター業務にはどのような課題点があったのか、解説します。
知識や処理能力の個人差が大きい
オペレーターによる対応の大きな問題は、人間には個人差があるという点です。
経験豊富なベテランオペレーターと新人では、知識量に大きな差があります。
さらに検索技術にも差があるため処理時間が大きく異なり、一人の顧客にかける時間に違いが出る場合もあるでしょう。
分からないことを知りたいのに、対応したオペレーターが詳しくない…となると、顧客の不信感にもつながります。
プロとしての対応ができる人とできない人がいることは、従来のコールセンターの大きな問題点といえるでしょう。
ストレスが大きく離職率が高い
オペレーター業務は顧客からの問い合わせやクレームに対応する仕事なので、ストレスを感じる方が多くおられます。
そのうえ、一日の問い合わせは相当な数にのぼり、心身共に疲弊する仕事といえるでしょう。
その状況からスタッフの離職率が高く、人材が定着しない傾向にあります。
慢性的な人手不足に悩まされる企業が多いのも、優秀な人材に育たずに辞めてしまう事が原因の一つと考えられます。
新人教育にかかる時間やコストの負担が大きい
慢性的な人手不足に陥っている企業の場合、常に求人と新人教育を行わなければなりません。
新人教育を行っている間は教育担当者が通常通りの業務を行えず、さらに現場が多忙となるケースもあります。
求人や教育にかかるコストや時間的な負担が大きくなり、企業に余力がなければ厳しい状況に陥る可能性もあるでしょう。
問い合わせ数が多すぎる
コールセンターには日々さまざまな問い合わせが舞い込み、オペレーターは一日中対応に追われます。
オペレーターの案内が必要な内容もありますが、中には取扱説明書を見れば解決するようなものも多く含まれているのです。
内容は簡単であっても一件一件に時間を取られるため、問い合わせが込み合うことに繋がります。
業務の多忙化だけでなく、電話がなかなか繋がらないことで顧客の苛立ちの原因になることが予測できますね。
コールセンターの問題を解決するAIの機能とは
コールセンターの業務にはさまざまな問題点があることがわかりました。
それらの課題を改善できるAIの機能についてご説明します。
FAQ
企業のWEBサイトでもよく見られるFAQは、「お客様からの質問とそれを解決する回答」という意味です。
AI搭載のFAQは、顧客からの質問に対して解決できると思われるマニュアルを、自動的に選択してくれます。
紙ベースのマニュアルを開いて検索することと比べると、速度も正確性も格段に上がるでしょう。
チャットボット
「人間とロボットの会話」とイメージされるチャットボットも、コールセンターで活用できる技術です。
顧客の質問キーワードから、問題解決のためのマニュアルを導き出すので、FAQの次の段階ともいえるでしょう。
特に人工知能型のチャットボットは、学習によりあらかじめ入力された組み合わせ以上の回答を生み出します。
数を重ねるごとに柔軟性を増し、人対人のやり取りに近付くイメージではないでしょうか。
チャットボットはコールセンターの機能としても有効ですが、企業のWEBサイトに搭載すればより便利です。
顧客はサイト上で情報を探し回ることなく、質問を入力するだけで解決策が表示されるようになります。
IVRシステム
企業に電話をかけると、まず音声ガイドにより質問内容の入力を促されることがありますね。
このシステムをIVRと呼びます。
あらかじめ質問内容を絞り込んで担当部署に繋ぐことによって、顧客を待たせる・たらいまわしにするなどのリスクを軽減します。
音声認識システム
顧客とオペレーターの会話を自動的にテキスト化する技術が音声認識システムです。
それにより、オペレーターが入力せずともFAQが表示されるので、時間短縮を見込めます。
さらにテキスト化した会話内容は保存が可能で、後の情報処理もとても楽になるでしょう。
AIの活用によって期待できる効果とは
コールセンターで活用できるAIの機能をご紹介しましたが、それによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
AIによって期待できる効果をご説明します。
オペレーターによる個人差が小さくなる
人工知能を搭載したFAQをコールセンターで導入すると、ベテラン・新人問わずスピーディーに答えを見つけ出せます。
それによって知識の個人差が埋まることが期待できるでしょう。
担当者による対応のムラと一件にかかる時間の短縮によって、コールセンター業務に大きく貢献します。
問い合わせ数減少によるオペレーターの負担軽減
チャットボットを企業のWEBサイトに搭載すれば、顧客が「ひとまず質問を入力してみる」ことが期待できます。
それによって問題が解決すれば、コールセンターに問い合わせる必要がなくなり、簡単な質問の電話が減ると期待できるでしょう。
問い合わせの数が少なくなればオペレーターの負担が軽減され、離職防止につながる可能性もあります。
顧客満足度の向上
コールセンターへのAI搭載によって、オペレータの個人差がなくなり、問い合わせた際の待ち時間削減も期待できます。
さらに負担軽減によってオペレーターに余裕が生まれ、一件一件に丁寧な対応が可能となるかもしれません。
丁寧な対応で正しい解決策が素早く提示されるようになれば、当然ながら顧客満足度は向上します。
顧客満足度の向上は、ファンを増やしリピーター獲得につながる非常に重要なミッションです。
さらに、AIには体調不良などによるコンディションの差もなく、安定した対応が可能ですね。
疲れるわけでもないので、二十四時間対応が可能となるケースもあります。
利便性がアップすることによる満足度向上の効果も得られるでしょう。
AIが苦手なこととは
AIにはさまざまな機能がありますが、万能ではなく苦手なこともあります。
例えば「顧客の声色を読み取る」「口調を変えて対応する」などはAIにはできません。
質問に対する回答ではAIが力を発揮すると期待できますが、きめ細やかな気配りが必要なクレーム対応は苦手と考えられます。
コミュニケーション力が必要な作業は、AIより人の方が長けているといえるでしょう。
コールセンター業務へのAI導入事例
AIがコールセンター業務で非常に活躍することはわかりました。
それでは実際にどのように活用されているのか、導入事例をご紹介します。
富士通コミュニケーションサービス株式会社のナレッジ検索:ZinraiFAQ検索
富士通コミュニケーションサービス株式会社(CSL)は、富士通グループの総合窓口などを運営する会社です。
オペレーター業務にAIを搭載し、中でも富士通お客様総合センターで非常に大きな役割を果たしています。
どこに問い合わせれば良いかわからない顧客をサポートするため、ナレッジ検索の難易度が高く担当者による差が生まれていました。
ZinraiFAQ検索では、キーワードではなく自然文を入力すれば正確性の高いナレッジ検索が可能です。
それによりオペレーターがキーワードに悩む時間も無くなり、案内できるスピードが格段に速くなりました。
「お客様を待たせないコンタクトセンター」の実現に向けて、大きな役割を果たしています。
NTTドコモの音声認識IVR
NTTドコモのお客様窓口では、以前より音声ガイダンスにより担当窓口への振り分けが行われてきました。
しかし、音声ガイダンスの案内を聞いても選択する番号がわからず、正しい窓口にたどり着けない事例が多発していたのです。
そこで、用件を話すだけで適切な窓口に接続できる音声認識IVRの開発が行われました。
これにより顧客側の負担が軽減される他、オペレーター側もあらかじめ用件を知ったうえでの対応が可能です。
双方にとってメリットが大きく、顧客満足度の向上を期待できます。
コールセンターにAIを導入する問題点や注意点
コールセンターへのAIの導入はこれからも積極的に行われていくと考えられます。
それによりオペレーターの負担は軽減され、顧客満足度の向上も見込めるでしょう。
しかし、AIにも苦手な分野がある以上、注意点もあります。
機械的で冷たい印象の払拭は難しい
AIによる顧客対応が進めば利便性は格段に上がります。
「オペレーターと話すのが苦手」と思う顧客の気持ちの負担も軽減されるかもしれません。
しかし、温かい接客が難しいAIの対応に、物足りなさを感じる顧客も必ず存在します。
「人と話して解決したい」と考える顧客のためにも、オペレーターによる対応は欠かせません。
AIはあくまで人のサポートとして考える必要があるでしょう。
導入コストと学習時間がかかる
AIを導入するためには、その企業で取り扱うコールセンター業務を学習させる必要があります。
購入したソフトをダウンロードして完了、のような簡単なものではありませんので、コストと時間が必要です。
数多くのオペレータを抱える大企業であれば、長い目で見たオペレーターの働き方改善や人件費削減に効果が見込めるでしょう。
しかし、すべての会社で劇的な改善が見込めるとも限りません。
導入前にはその後の流れもよく理解して検討する必要がありますね。
まとめ
コールセンターでのAIの活用方法や期待できる効果について解説し、次のようなことがわかりました。
・AIはコールセンターの業務をサポートできる
・オペレーターの個人差をなくせる
・正確でスピーディーなFAQシステムでオペレーターの負担を軽減する
・音声認識やIVRによって顧客の待ち時間を短縮できる
・AIはコミュニケーションが苦手なので、あくまでオペレーターのサポートと考えるべき
人対人の会話で成り立っていると考えられていたコールセンター業務ですが、知識や経験の差による対応のムラが課題でした。
その課題をAIサポートすることで、より丁寧でより温かい対応が可能となります。
AIに変えてしまうのではなく、うまく活用して職場環境の改善と顧客満足度の向上を目指しましょう。
あわせて読みたい関連記事
この記事を読んでいる人におすすめの記事