AIセキュリティの課題を解説!AIを守るためのAI活用法とは?AI分野に転職するならAIの脅威も確認
AI(人工知能)が話題になって久しいですが、今では色々な分野にAIが導入され実用化されています。これからの転職を考えた場合、AI分野は重要な選択肢の1つになります。特に必要とされるのがセキュリティ対策です。AIシステムがサイバー攻撃を受けると、甚大な被害と影響が出ます。それだけにAIセキュリティは転職分野として大きな可能性を秘めているのです。転職に役立つAIセキュリティの課題と、AIを守るためのAI活用法について説明しましょう。
目次
AIを導入している企業について
AIが実用化されてまだ日が浅いので、現実に導入して活用している企業は限られています。
しかし転職を考える上では、実際に企業がどのようにAIを導入して活用しているのかを知っておく必要があるでしょう。
日常生活におけるAI活用
IoTの市場規模は拡大し続けており、事業チャンスも膨大なものになっており、AIが大きな影響を与えています。ニュースでよく目にするのが車の自動運転システムですが、それを可能にするのがAI技術です。
また家電業界では対話をしながら献立を決められる冷蔵庫や、視聴者が好む番組を知らせる液晶テレビが開発されています。
実際に家庭に導入されて人気を集めているのがAIスピーカーです。音楽が聴きたいとリクエストしたり、欲しいものを言えばECサイトに注文してくれます。
住宅業界に広がるAI住宅
命令すればエアコンが作動したり、空調を適切にコントロールする住宅はこれまでもありました。
AIを導入することによって、人工知能が家族のライフスタイルを情報として認知し、自動的に照明をつけたりしてくれます。
将来的にはAI住宅が主流になるかも知れません。
製造業に導入される人工知能
AIの特徴の1つがディープラーニング(深層学習)ですが、それを利用して工場での不良品検知、機械の故障予測などが可能です。
AIを導入することによってコスト削減や効率化が実現するので、今後は製造業の業態も変わっていきます。このように、自動車業界・家電業界・住宅業界・製造業などでAI技術の導入が進んでいます。
そこで重要になるのがセキュリティの問題です。将来を見据えた転職を考えるとき、AIのセキュリティは非常に大切になります。
ここではAIセキュリティが抱えている課題について説明しましょう。
AIセキュリティの課題
AIシステムがサイバー攻撃を受けたりマルウェア感染すると、その影響は社会全体に広がる恐れがあります。
例えば自動運転の車が走行ルートを勝手に外れるなど、工場で製造工程の管理ができなくなるでしょう。もし医療の現場でトラブルが起こったら患者の命にも関わります。
このようにサイバー攻撃やマルウェアは、今後のAI社会や産業界に大きな脅威となる重要な問題です。
そのため転職を考えている方にとって、AIセキュリティの課題を知っておくことは転職のチャンスにもなります。
ここではAIセキュリティに関する2つの課題を説明しましょう。
いかにサイバー攻撃から守るか
現在のAI技術は、すでにあるコンピューターのシステムやインターネットに依存しています。そのため、サイバー攻撃やマルウェアから守るためには、IT(情報技術)のセキュリティ対策が必要です。
2018年から2021年にかけて、サイバー攻撃関連の通信数は3年で2.4倍となり、それに伴うように世界のサイバーセキュリティ市場規模もおよそ2倍に拡大しています。(参考:総務省『令和4年版 情報通信白書』)
すでにIT関連のセキュリティに詳しくて、データ保護やマルウェア対策の経験があれば転職にも有利になるでしょう。もしセキュリティの分野に詳しくなければ、今からでもIT関連のセキュリティについて学習しておくべきです。
セキュリティ分野の専門性を高めておくことで、将来の転職に際して選択肢が広がります。
いかにAI技術でセキュリティを高めるか
AI技術によってセキュリティをいかに高めるかというのも大きな課題です。
AIは人間では不可能な膨大なデータを分析・学習できますので、セキュリティに応用しようという試みが行われています。例えばAIによる機械学習でマルウェアのパターン検出を自動化し、自動的に未知のマルウェアを発見することが可能です。
大手企業の中にはAI技術をITセキュリティ分野に応用しようと投資しているケースもあります。ITセキュリティ対策などの経験がある方なら、AIセキュリティ分野は有力な転職先となるでしょう。
AIの進化によって直面する新たなセキュリティ問題
外部のサイバー攻撃やマルウェア感染からいかに守るかという2つの課題を取り上げました。AIの進化によって新たな脅威が生まれます。
これまでの歴史を見ると、ハッカー集団は最新のセキュリティ技術を逆手にとってサイバー攻撃をしかけることがわかります。セキュリティ技術の開発の歴史とは、守る側と攻める側のイタチごっこだったのです。
このことはAIセキュリティにも当てはまります。ハッカーがAI技術を悪用して、AIセキュリティを突破しようとする危険性です。
例えば、ログイン方式の1つに画像認識があり、現状では強力なセキュリティ手段として評価されています。ところがAIを悪用すれば、画像認識は簡単にすり抜けることができますので、従来のサイバー攻撃とは比較にならない脅威です。
AIを悪用したサイバー攻撃に対抗できるのは、AIセキュリティしかありません。AIセキュリティの分野は今後重要な分野となってくるでしょう。
サイバー攻撃事例
攻撃者がパソコンやスマートフォンなどを使って特定の機器に負荷をかけ、サーバーダウンを起こさせる目的の攻撃をDDoS攻撃と言います。2018年10月に起こったスクウェア・エニックス社のオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」では、1ヶ月におよぶ攻撃により被害が長期化しました。
AI技術でシステムの脆弱性を探り出し、予測不可能な入力データ(ファズ)を与えることで意図的に発生させた例外を悪用するファジングと呼ばれる手法も増えています。
機械学習アルゴリズムを使って人間の動きを模倣して、セキュリティ側に攻撃だと検知させないような技術の可能性もあり、AIの進化は新たなセキュリティ問題を常に生み出してもいるのです。
AIを守るためのAI活用法とは
ここからは、AIを守るためのAIの活用法について説明しましょう。現実にAIを狙ったサイバー攻撃が増える一方で、サイバー攻撃からAIを守るビジネスも立ち上がっています。
転職希望者にとっては、転職の幅を広げる新たな分野として知っておくとよいでしょう。
データ改ざん・流出の防止
AIは万能で何でもできるというイメージがありますが、実際はAIにも得意と不得意があるのです。
現状では、画像や音声といったデータからパターンを読み取り、分析・予測して事前対策を立てるのに役立ちます。
具体例が店舗での万引き防止や、AI搭載ロボットによる警備などです。しかし、サイバー攻撃よってデータが改ざんされたら、AIの判断は間違ったものになります。
正しいお客を万引きと認識したり、警備ロボットが犯罪者を見逃したりする可能性も出てきます。こうした誤りからAIを守るためには、データ改ざん防止のためのAI活用が必要です。
不正ユーザーの検知
ECサイトでのショッピングやオンラインゲームなどでは不正ユーザーによる被害が多発しています。人手で監視するには限界がありますが、AI技術の活用で自動的に不正ユーザーを検知することが可能です。
不正ユーザーを取り締まることにより企業収益を上げることができます。ユーザーの行動を検知して分析するのもAI活用の1つです。
ログの監視・解析もAIの学習能力により攻撃の予兆を検知できる可能性を高め、サイバー攻撃の被害を最小限に留めることに役立ちます。
マルウェアの検出
ユーザーのデバイスに不利益をもたらす目的で作成されたソフトウェアの検出にもAIが役立ちます。
AIに学習させておくのは通常時のプログラムの挙動と、正常ではない挙動です。
蓄積された膨大なデータからマルウェアの挙動を割り出し、検知させます。
認証
サービスのオンライン化が進むにつれ、個人情報流出の危機は高まっています。
AIが継続的な認証に用いるのはID・パスワードではありません。
本人確認のためにIPアドレスやアクセス元などをリアルタイムで確認しています。
普段とは違う端末でログインしようとすると、確認のメールが届いたりワンタイムパスワードが発行されるのはこのためです。
ユーザーの過去のアクセスパターンを学習して、大きな違いがないか継続的に認証しています。
AI分野への転職で求められる人材とは
今後ますますAIを導入する企業は増えていきます。近い将来、AI技術が社会全体を動かす基盤となっていくでしょう。
その時に必要とされるのが、AIセキュリティです。既に説明したように、AIにはAI技術を悪用したサイバー攻撃が行われます。これからAI分野へ転職する場合に求められるのは、AIセキュリティに対応できる人材です。
そのためにはAIの利便性だけに目を向けるのではなく、内包する脅威についても理解しておく必要があります。
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AIの脅威とは何か
AIの脅威で最も一般的なのが、将来的に人間はAIに支配されてしまうのではないかというSF的なものです。
その後のAI技術の進化により、その脅威は身近なものとして語られるようになりました。ここでは、現状におけるAIの具体的な脅威について説明します。
AIの会話能力
AIが人間と会話できるのは膨大な対話データベースを学習した上で、人間が設定した対話シナリオに基づいて設計されているからです。AIが自分の意思で考えて発言しているように見えますが、実際は人間が設定しています。
現状ではAIの会話能力は脅威ではありませんが、将来的には人間と同様の知性を持つ汎用人工知能が実現するでしょう。SFの空想でしかなかったリスクが現実のものとなりつつあるのです。
AIの判断能力
AIは与えられた膨大なデータを機械学習するので、与え方によってはAIが間違った判断を下すことがあります。
例えば、保険会社が過去の契約データをAIに与えた場合、誤った保険料が支払われるケースが報告されているのが一例です。
現状ではAIは人間が用意したデータを学習するしかないため、誤った判断結果が出てしまうという脅威があると言えます。
AIの意思決定は誰のものか
AIの最も深刻な脅威は、意思決定が誰によるものかという問題です。
AIが進化して様々な質問に答えたりアドバイスを与えるようになった時、その意思決定は誰のものかという疑問が湧きます。
例えば、ある特定の団体が自分達の利益になるようにAIにデータを与えていたとしたらどうでしょう。導き出されるAIの回答はその団体に有利なものになるはずです。
今後は、AIの学習環境や利害関係を透明化する必要性が大きなテーマになっていくでしょう。
AI分野への転職でキャリアップ
エンジニアの方にとってAI分野への転職はキャリアアップにつながります。特にAIセキュリティの分野は今後重要性が高くなるので、重宝されるのは専門性のある人材です。
専門性がなく実務経験のない方でも、AI分野は新しいマーケットなのでトライする意義は十分にあるでしょう。その場合、転職をターゲットにしつつ育成スクールなどで勉強しておく必要があります。
また現在は他の分野で働いていても、学生時代にAIや統計などを専攻していた方にとっては大きなチャンスです。直近では、ポテンシャルのある若手を採用して、AI技術者として育成しようという企業が増えています。
まとめ
今回はAIセキュリティの分野における課題と将来性について解説しました。AIによって社会のあり方が大きく変革する時代はすぐそこです。
それに伴ってAIセキュリティの重要性がより高まっています。転職でキャリアアップする絶好のチャンスではないでしょうか。
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