アパレル業界のデジタルマーケティングの活用方法を解説!今後の課題や戦略は?エージェントが事例を紹介
「バーチャル試着」や「コーディネートアプリ」などアパレル業界のSNSを活用したデジタルマーケティングが注目を集めています。デジタルマーケティングの仕事やその重要性、アパレル業界の今後の課題についても解説しましょう。
目次
定量的から定性的へと変わるマーケティング
これまでのアパレル業界のマーケティングは数値化(定量的)に偏りがちでした。
確かに、顧客数や売り上げなど状況の数値化は誰でも「理解しやすい」という利点があります。
しかし、従来のマーケティング法ではユーザーの‟求めるもの”が分かりづらかったのです。既成概念にとらわれない新しいアイデアを立案するには、従来の方法を脱する必要がありました。
このことから、アパレル業界はユーザーの「心を動かす」にはどうすればいいかに着目するようになりました。つまり、数値化できない定性的要素から‟感動”のヒントを得る「デジタルマーケティング」へと変わったのです。
アパレル業界はどのようにデジタルマーケティングを活用しているのでしょうか。今後の課題や戦略についても事例を挙げて解説していきましょう。
デジタルマーケティングが重要視される経緯
なぜデジタルマーケティングが重要視されるようになったのでしょうか。
アパレル業界で新たなマーケティングが必要になったその背景を覗いてみましょう。
ユーザーのインターネット活用に変化
「通信利用動向調査」によると、インターネット利用者は各世代層で年々増加しています。
それまでメールのやり取りが主だったスマホの活用目的もSNS中心へと変わったのです。それに応じてSNSは情報収集の手段としても利用されるようになりました。
より多くのユーザーを獲得するためにもSNSを活用したアプローチが必要になったのです。
このような経緯から「デジタルマーケティング」が新たなマーケティング法として台頭しています。
Webマーケティングとの違いは?
デジタルマーケティングと混同されがちなものにWebマーケティングがあります。
WebマーケティングはWebサイトによるアプローチを行います。
おもな仕事は検索エンジンの最適化(SEO)やサイト作成、Web広告とSNSマーケティングなどです。
デジタルマーケティングの主な仕事
デジタルマーケティングの仕事は以下のようになります。
・デバイスのcookieからユーザーのオーディエンスデータ(行動履歴)を収集
・アプリによるユーザーのオーディエンスデータを収集
・商品・サービスの利用状況など包括的なデータを収集
・それら収集・蓄積したデータを分析し施策を立案
・施策の実行と運用、商品やサービスの販売促進へと繋げる
デジタルマーケティングの活用は多方向からのユーザーアプローチを可能にします。
自社メディアと新ブランド構築の中核で包括的に関わる重要なポジションです。
デジタルマーケティングの魅力とマーケターについて
SNSマーケティングによる新しい市場開拓に挑戦できるデジタルマーケティングですが、ユーザーのネット活用状況の変化にともない注目されるようになりました。
そのため、デジタルマーケターはまだキャリアパス(キャリアアップの道筋)が不確定です。
ECなどのオンラインストアやデジタルメディアでプロジェクトリードの経験がある人や、自社SNSアカウント運用や分析、SNSマーケティングの支援経験者などがデジタルマーケターとして活躍しています。
アパレル業界の情報発信はデジタルへ
スマートフォンの急速な普及からファッション業界にもITテクノロジーの波が押し寄せました。
最新ファッションの情報発信源だったファッション雑誌が次々と休刊・デジタルへと移行したのです。これによりアパレル業界でもカタログなどがデジタルへと変わっていきました。
その流れの中でアパレル業界におけるデジタルマーケターはどのような活動を行っているのでしょうか。
アパレル業界のデジタルマーケティング活用方法を事例と共にみてみましょう。
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アパレル業界のデジタルマーケティング
アパレル業界ではデジタルマーケティングをどのように活かしているのでしょうか。
主なデジタルマーケティング活用の事例を確認してみましょう。
大手企業も活用!SNSによる情報発信
今やファッションアイコンと呼ばれるモデルや芸能人をフォローし、SNSでダイレクトな情報収集が可能です。
若い女性から支持される「Instagram」は20代~30代のおよそ半数の女性が利用しています。
日本の「Instagram」で広告展開が解禁されると共に「NIKE(ナイキ)」など大手ブランドが次々と参入。
若い女性層をターゲットにしたアパレル企業もSNSを使いさまざまなアプローチを展開しています。
コーディネートアプリSNS「WEAR」は男性層にも人気
日本最大のファッションコーディネートサイト「WEAR(ウェア)」も独自のアプローチを展開しています。
公式Twitterを活用したコーディネートスナップで着こなしの提案や、ファッション通販の「ZOZOTOWN」と提携したSNS「WEAR」も開始しました。
流行や人気ブランドをはじめ着用シーンごとに検索できるなど、その検索機能も充実しています。また、自身のコーディネート写真を登録・共有しフォローやコミュニケーションも可能です。
カリスマユーザー“WEARISTA”が誕生するなど大きな反響を呼んでいます。
試着や採寸ができるアプリも登場
これまで店頭でしかできなかった試着や採寸もアプリで可能になりました。たとえば「bodygram」はAIテクノロジーによる高精度な身体採寸アプリです。
ユーザーが服を着たまま撮影した2枚の写真から身体のサイズを測定します。
ファッション通販のSHOPLIST(ショップリスト)はこの「bodygram」を世界で初めて導入しました。
まずはiOSアプリの一部ユーザー向けに「バーチャル試着体験」のサービスを開始します。
アプリによる採寸サイズを参考にするため、購入時におけるサイズ選びの失敗も心配もありません。自宅にいながらまさにジャストフィットの衣料品が購入可能になります。
ヘルスケアやフィットネス分野でも注目されている本アプリはアパレル業界期待のテクノロジーです。本アプリを活用したデジタルマーケティングも活性化することでしょう。
戦略はクロスやマルチから「オムニチャンネル」へ
アパレル業界の ECマーケット(オンライン小売業)が拡大を続けています。
これにともないデジタルマーケティングもECマーケットを意識した新たな戦略が必要になりました。
ECビジネス(オンライン小売業)の拡大
インターネットを介したアパレル業界のEC市場も拡大しています。
EC販売戦略もアプリを活用し、店舗と顧客の繋がりを強めるものへと変化しました。
アパレル企業とユーザーを繋ぐチャンネル(流通経路)も見直され、新たに「オムニチャンネル」を導入しました。さまざまな分野と連携して「いつ・どこでも」サービスを提供することで顧客満足度向上を狙います。
海外マーケットを視野に入れた戦略
近年は最新流行をお値打ち価格で提供する「ファストファッション」が台頭。
このためアパレル業界では、より競争力のある商品開発に力を注いできました。
他分野のノウハウ獲得は従来では無いまったく新しいアプローチを可能にします。
今後の海外展開も視野に入れた独自ブランドの成長を促したいアパレル企業ですが、その戦略の一環としてM&A(合併や買収)によるグループ拡大も活発に行われています。
アパレル業界の今後の課題とは?
見込みユーザーのみならず「ポテンシャル顧客」をいかに引き込むかが、アパレル業界で生き残るカギになります。
ソーシャルリスニングで潜在顧客にもアプローチ
デジタルマーケティングはより多くのユーザーと繋がる必要があります。このためユーザーの利用時間が長いソーシャル領域での活動が主です。
ソーシャルメディア上の生の声に耳を傾け「何が求められている」のかを判断する必要があります。しかし、従来のアンケートでは回答の偏りや曖昧な意見が多くユーザーの本音は聞き出せません。
そこでデジタルマーケティングでは「ソーシャルリスニング」が注目されています。
「ソーシャルリスニング」の重要性
ユーザーの正直な意見を拾い企業とユーザー間のギャップ認識にも有効な「ソーシャルリスニング」。
総務省「情報通信白書」の調査でもポテンシャル顧客の6割以上が口コミを参考にしています。
またそのうち80%以上のユーザーが商品の購入に至ったという結果がでました。このことからも販売促進に直結するソーシャルリスニングは重要です。
商品の必要性や自社のサービスを知らない「ポテンシャル顧客」に、有効な施策を打ち出すことがデジタルマーケティングにおいて最大の課題です。
まったく新しい独自のアプローチが必要
今やアパレル業界は独自のアパレルブランド構築と差別化を図らなくてはいけません。
これまでとはまったく異なる新しい価値(商品)を提供していく必要があります。そのためにはソーシャルメディアを活用した商品・サービスの効果的な宣伝も大切です。
ECサイトまでユーザーを送客する「新しい発想」がデジタルマーケティングには求められます。他と一線を画した自社ブランドの成長にはグロースハッカーの要素も必要でしょう。
今後は新たなデジタルツールがアパレル業界のデジタルマーケティングを左右します。
‟感動”を生み出せる人材を多分野から募集
アパレル業界におけるデジタルマーケティングの活用方法を紹介してきました。
独自のアプローチ展開でユーザー獲得を目指すアパレル企業は今後も増えることでしょう。新たなデジタルツールも続々と誕生しアパレル業界のユーザー争奪戦は激しくなるばかりです。
デジタル化の進む現代ではいかに話題になる「新しい感動」を提供できるかが重要になります。このためアパレル業界はITに強く広い視野で捉えられる人材を多分野から求めているのです。
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