キャッシュフローとは?その重要性を解説!財務三表の役割や計算方法は?管理法を理解して転職先の即戦力に
企業の経営状況を知ることができる数字がキャッシュフローというものです。あまり聞き馴染みがないという人もいるのではないでしょうか。しかしこの数字を知っておくことで、黒字倒産など意外なことを予測することもできるのです。転職を考えている人も、このキャッシュフローを確認しておくと、転職先の見極めにも繋がります。今回は概要だけではなく、ぱっと見ただけでは分からないキャッシュフローの読み取り方も解説します。
目次
キャッシュフローとは
最初に、キャッシュフローの定義と利益との違いについて解説します。
キャッシュフローの定義
キャッシュフローとはその名の通り、一定期間における現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を数字で表したものです。
会計年度ごとのキャッシュフローをとりまとめたものがキャッシュフロー計算書で、上場企業なら必ず決算短信の内訳として公表しています。
算上の利益とは異なるキャッシュフロー
決算上は利益が出ている会社が、ある日突然倒産してしまうという事態が時折起こります。
いわゆる黒字倒産というものです。
企業経営においては、帳簿上の売り上げは立っているものの実際の入金はまだされていない、という状況がしばしば生まれます。
この時に仕入れ費用をすでに支払っていたとすると、キャッシュフローは仕入れ費用として出て行った分だけマイナスとなるのです。
キャッシュが入らないと借入金の返済や次の仕入れができず、事業は行き詰まります。
黒字倒産が発生するメカニズムをごく簡単にまとめる以上の通りです。
決算を見て利益が出ているからといって安心するのではなく、キャッシュフローを確認しないと企業の本当の姿はわからないといえます。
キャッシュフローを知っておくことの必要性
ライバル企業や取引先の実態を知る、そして自社の経営状況をしっかり認識することによって、自らが打つべき次の一手が決まってきます。
転職先として検討している企業があるとすれば、その会社の実情を正確に押さえておかなくてはならないのは当然のことです。
エンジニア志望だからといって「経理や財務のことはわからない」となってしまうのでは打つべき一手を誤ってしまいかねません。
そこで、自社や他社の経営状況を分析しようとするときに見ておくべき数字がキャッシュフローです。
財務3表におけるキャッシュフロー
企業経営の実態を表す重要な指標として、財務3表というものが挙げられます。
財務3表とは
・損益計算書(P/L)
・貸借対照表(B/S)
・キャッシュフロー計算書(C/F)
の3つのことです。
収入と費用をベースとする損益計算書
損益計算書は一定期間の収入がいくらで費用がいくら、収入から費用を引いた利益(あるいは損失)がいくらであったかを示します。
本業の営業活動で得た売り上げ(売上高)から仕入れ原価を差し引いた利益が、いわゆる粗利(売上総利益)です。
そこから販売費および一般管理費(人件費やテナント家賃など)を引いた残りが営業利益になります。
この営業利益は「本業で上げた利益」のことであり、この時点でマイナス(営業損失)を計上している企業は要注意ということになります。
営業利益に本業以外での収入と費用を足し引きしたものが経常利益です。
利息や配当金、家賃収入など本業以外の収入により、営業赤字でも経常利益に転じるということはあります。
経常利益に、その時だけ単発的に発生した利益(特別利益)や損失(特別損失)を加減算したものが税引き前当期利益です。
さらに法人税その他税金を差し引くと、最終的な当期利益になります。
特別利益や特別損失の原因となるのは、多くが有価証券や不動産等の売却に伴う利益・損失です。
資産と負債のバランスを見る貸借対照表
貸借対照表は、決算日時点の企業の資産と負債の状況を表しています。
企業の保有する資産がどれだけあり、それに対していずれ支払わなければならない負債がどれだけあるのか。
そして資産から負債を引いた残りの純資産がどれほどであるかを示すものです。
貸借対照表の構造は、左側に資産の部が、右側の負債の部と純資産が記載されます。
左側の合計と右側の合計は常に一致する決まりです。
流動と固定
貸借対照表を見るうえで重要な用語が「流動」と「固定」になります。
流動とは「1年以内」を表し、流動資産であれば1年以内に現金化できる資産のことです。
流動負債というのは1年以内に返済しなければならない負債になります。
流動資産を流動負債で割った流動比率が100%に満たない場合は、近いうちに資金繰りに窮する可能性があることを示すものです。
危険を表すシグナルにもなります。
一方の固定は「1年超」を意味するもので、固定資産といえば1年以内には現金化できない資産のことです。
損益計算書と貸借対照表の概略を理解したところで、主題であるキャッシュフロー計算書について詳しく解説していきましょう。
3つのキャッシュフロー分類
キャッシュフロー計算書を見てみると、キャッシュフローは
・営業キャッシュフロー
・投資キャッシュフロー
・財務キャッシュフロー
の3つに大別されています。
営業キャッシュフローは商品の売り上げや仕入れなど営業活動にかかる現金の出入りを示すものです。
その他に保険金収入などの投資活動や財務活動に含まれない取引に関するキャッシュフローも記載されます。
投資キャッシュフローは、不動産など固定資産や有価証券などの取得および売却にともなうキャッシュフローです。
財務キャッシュフローは株式や社債の発行、借入による収入あるいは社債償還や借入金の返済などの支出がそれに当たります。
これら3つのキャッシュフローが相互にどのように関連しているのか、次項で詳しく説明しましょう。
キャッシュフローはプラスならよい?
営業キャッシュフローは、企業の基本中の基本である営業活動を表すものですから、本来的にはプラスになるべきものです。
投資キャッシュフローは固定資産等を売ったり買ったりしていれば、それが反映されます。
マイナスになっている場合は設備投資をしたのではないか、プラスなら資産売却で現金を作ったのではないかということが想定されます。
投資キャッシュフローがマイナスであることは必ずしも悪いことではなく、積極経営の証ともいえるものです。
逆にプラスになっている場合は、資金繰りに困って土地などの資産を売っている可能性もあります。
財務キャッシュフローはマイナスの方が健全
財務キャッシュフローは、たとえば銀行から借り入れをすればお金が入ってくるわけですから、当然プラスです。
借入金を返済すればマイナスになります。
プラスが悪いと断じることはできないものの、マイナスの方が健全経営といえるわけです。
損益計算のみをベースに経営指標を見ると、黒字がプラスで赤字がマイナスになります。
そのため、ついマイナスになっているのは悪いことのように感じてしまうかもしれません。
しかし、そうとはいい切れないのがキャッシュフロー計算書の妙味といえるところです。
プラスかマイナスかよりもその理由が大事
なお、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したものを、フリーキャッシュフローと呼びます。
自由に使える手元資金の充実度が、この数値で表されるのです。
フリーキャッシュフローの場合、先に解説したように有効な投資もせずにお金を遊ばせているというマイナス評価もできます。
キャッシュフローは数値だけで判断するのではなく、なぜその結果になっているかを見極めることが大切です。
キャッシュフローの組み合わせの見方
営業、投資、財務の3つのキャッシュフローがどのような組み合わせになっていれば、その企業の経営状態は良いといえるのでしょうか。
さらに、経営に危険信号が出ているといえるキャッシュフローのあり方はどのようなものか、類型から探ってみましょう。
営業のプラスで他のマイナスをカバーできる優良企業
前述の通り、営業キャッシュフローは本業で得たキャッシュですから、大きなプラスとなるにこしたことはありません。
財務キャッシュフローは借入金の返済が進んでいることを示すマイナスが望ましいです。
さらに、投資キャッシュフローも新規事業等の案件に投資してマイナスになることも少なくありません。
ただし2つのキャッシュフローのマイナスが、営業キャッシュフローのプラスの範囲内で十分収まるのであれば問題ないといえます。
十分健全経営の優良企業といえるでしょう。
財務のプラスが大きくなりがちなベンチャー
財務キャッシュフローが大きなプラスで、営業キャッシュフローのプラスがそれほどでもない場合はどのような企業なのでしょうか。
結論からいうと、アーリーステージにあるベンチャー企業などが当てはまります。
借入等で得た資金を営業活動のキャッシュに変えていけるのか、成長を注視したい企業となります。
キャッシュフローでゾンビ企業か見極めも可能
営業キャッシュフローがマイナスの企業は、その時点で要注意です。
さらに投資キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスだったら警戒信号が灯っている状況といえます。
本業で稼げないので資産の売り食いと借入で何とかしのいでいる、いわゆるゾンビ企業が多いです。
具体例に見るキャッシュフロー
上場企業なら必ず決算発表時にキャッシュフロー計算書を公表しています。実例でキャッシュフローを見てみましょう。
投資と財務が四半期で1兆円を超えるソフトバンクグループ
携帯電話の会社というよりも投資ファンドとしての性格が強くなったといわれるソフトバンクグループ。
キャッシュフロー計算書(2021年3月期第1四半期)は以下のようになっています。
・営業キャッシュフロー 1540億2400万円
・投資キャッシュフロー 1兆2411億300万円
・財務キャッシュフロー 1兆4153億7500万円
3分類すべてプラスになっており、投資と財務は1兆円を超える大幅なプラスです。
しかも第1四半期の3か月間だけでこのようになっています。
投資キャッシュフローの中身を見ると、上場株式の取得で1兆60億円のマイナスがあるのが分かるでしょう。
その一方で、子会社を通じてTモバイル株式の一部の売却などを行いました。
プラス2兆4525億円強を計上するなど、ファンドらしい大きな売買が行われていたのです。
財務キャッシュフローは、借入や社債発行によるプラスと借入金の返済や社債償還などによるマイナスで1兆4153億円余りとなります。
借入も社債発行もかなりの巨額であり、相当額の返済と償還も同時に行っていることがわかります。
業態転換の兆しなのか
営業、投資、財務の3つのキャッシュフローがすべてプラスになっている企業は、教科書的には業態転換等を模索中というケースに該当します。
同社が携帯事業中心から投資ファンド的な色彩を濃くしつつあるとの指摘は正しいのでしょうか。
年度を通じてのキャッシュフローがどのように変遷するのかは、その年度が終わらないと分かりません。
まとめ
ここまでキャッシュフローとは何か、3分類のキャッシュフローがそれぞれどのようなものかについて解説しました。
キャッシュフローはマイナスだからといって必ずしも業績が悪いわけではありません。
3分類それぞれのプラスとマイナスの組み合わせによって経営状態もわかります。
今まではあまりキャッシュフローについて気にすることはなかったかもしれません。
しかし、これを機会に確認してみるのも良いのではないでしょうか。
キャッシュフローを分析だけでは分からない企業の詳細な情報を知りたい場合は、ぜひ転職エージェントにご相談ください。
不安要素をなくして転職を成功させましょう。
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