コホート分析の事例を解説!グロースハックの成功例は?活用法を確認して転職後マーケターの即戦力になろう
Webマーケターとしての活躍を目指すなら身につけておきたいコホート分析。今では大人気のWebサービスやSNSも、停滞期にはコホート分析を駆使してユーザーを増やしてきた過去があります。商品やサービスの改善に役立つコホート分析について、有名企業の成功例も踏まえて活用法を解説します。
目次
コホート分析とは?
「コホート」とは、「同じ時期に似たような経験をしている人々のグループ」を指す心理学・社会学の言葉です。
コホート分析はWebマーケティングに使われる分析手法の1つで、ユーザーを属性や条件で分類して動向を分析する方法です。
たとえば、あるアプリの分析において「ダウンロードした週が同じユーザー」を分類するとします。
そこから週ごとのユーザーのアプリ再利用率を追いかけて、アプリ自体の問題点の発見や改善策の提案などに使うことができます。
コホート分析は、ユーザーの動向を正しく把握して商品やサービスの改善をするために欠かせない分析手法なのです。
コホート分析の重要性
コホート分析はユーザーの「定着率」を把握できる点がとても重要です。
なぜならマーケティングにおいては新規顧客獲得よりも、リピーター獲得の方が重要だといわれています。
アプリやサービスであれば再利用率、Webサイトであれば再訪率、販売サイトであれば再購入率を高めなければなりません。
そこでコホート分析ではリピーターの割合や行動の傾向を知ることができます。
また、リピーターにならない人たちが「どの時点で興味がなくなったのか」など共通の行動パターンも明らかにできます。
それらの分析結果を生かして商品・コンテンツ・サービス内容の改善点を見つけ、リピーター獲得に繋げることができるのです。
コホート分析で分かること
コホート分析により次の3つのことが分かるようになります。
ユーザー減少のタイミング
コホート分析では、見込み客がサイトを離れて再訪問しなくなった(ユーザー減少)タイミングを知ることができます。
たとえば、ユーザーの多くが最初にサイトを訪問した日から4日後に離脱していることが判明したとしましょう。
コンテンツの更新頻度を毎日に上げたり、ユーザーが離脱する前のタイミングでお得な情報を投入するなどの施策が打てます。
また、タイミングだけでなくユーザー減少率も分かるので、減少率よりも増加率を高めてユーザー維持率を保つ施策も打つことができます。
サイト滞在時間と離脱のタイミング
コホート分析で判明したユーザーのサイト滞在時間から、サイト自体の問題点を見つけ出すこともできます。
ユーザーのサイト滞在時間が短ければ、本当に見てもらいたい情報にユーザーが辿り着いていない可能性があります。
コホート分析の結果から、なぜユーザーがそのタイミングで離脱しているのか原因を探ることもできるでしょう。
たとえば、ユーザーの滞在時間を増やすためには以下のような施策を打つことができます。
・1ページあたりのコンテンツのボリュームを増やす
・ページ数を増やして内部リンクを貼る
・内部リンクを最適化してサイト内回遊率を上げる
このように的確な施策を打てるのも、コホート分析でサイト滞在時間や離脱のタイミングを分析できるおかげなのです。
ページビュー数の減少タイミング
コホート分析ではページビューの減少タイミングを知ることもできます。
ページビューもサイトへのアクセス数を増やすためには大切な指標になります。
たとえば、最初のサイト訪問から3日後にページビューが減少しているとしましょう。
この場合は3日ごとに複数ページを閲覧してもらえるような導線を作るという施策が思い浮かびます。
内部リンクの多い記事を3日おきに更新して複数ページの閲覧を促す流れを作るなどです。
コホート分析の活用事例
実際にコホート分析はどのように活用できるのか、事例を紹介します。
ECサイトの活用事例
コホート分析は「ECサイトのリピーター作り」と相性が良いといえます。
ECサイト運営では売上を上げるためにキャンペーンを打つことがよくあります。
しかし、キャンペーンの売上は一時的なものに過ぎず、キャンペーンで購入してくれたユーザーをいかにリピーターにするかが大事です。
コホート分析を使えばキャンペーン経由で訪れたユーザーのその後の行動も追うことができます。
たとえば、リピーターになる人たちの多くが「キャンペーンの何日後にサイトを再訪しているか」などの傾向を知ることもできます。
キャンペーン経由のユーザーが再訪する日に合わせて再度キャンペーンをしたり、リピーター獲得に向けた情報発信などができるわけです。
Webサイト運営の活用事例
Webサイトの効果的な更新のタイミングを探るのにもコホート分析を使うことかできます。
たとえば、サイト内のブログを更新してからどの期間に問い合わせが増えて、どの期間を過ぎればユーザーが興味を失うのか分析します。
そうすれば、ユーザーが興味を持ち続けてくれるために最適なブログ更新頻度やタイミング、記事内容を見つけ出すことができるのです。
コホート分析をGoogle Analyticsで行う方法
Google Analyticsにはコホート分析の機能が搭載されています。
以下の手順でコホート分析を行うことができます。
1.Google Analyticsにログイン、目的の「ビュー」の「レポート」を開く
2.「ユーザー」から「コホート分析」をクリックする
3.「コホートの種類」から何によってユーザーを分類するか決める(ユーザーがセッションを開始した日など)
4.「コホートの大きさ」から「日」「週」「月」でコホートの大きさを決める
5.「指標」で何を分析するか選択する(ユーザーあたりのセッション・収益・継続率など)
6.「期間」でレポートに使用する期間とコホートの数を選択する。
7.「グラフに表示するコホート」でグラフに表示するコホートの数・種類を選択する。
WebマーケターとしてはGoogle Analyticsのコホート分析も使える方が良いので、しっかり確認しておきましょう。
コホート分析をExcelで行う方法
コホート分析は以下の手順でExcelでも行うこともできます。
少し手順は面倒ですが、Excelが得意な人は難なくこなすことができるでしょう。
1.ユーザーの登録日(A列)・離脱日(B列)・ユーザーID(C列)を入力したデータを作成。
2.「離脱までの日数」欄をD列に作成し、D2欄に 『 =DATEDIF(B2,C2,”d”) 』 を入力しオートフィル。
3.データの範囲を選択し、「挿入」「ピボットテーブル」の順番でクリックしてピボットテーブルを作成。
4.ピボットテーブルのフィールドの行には「登録日」、列には「離脱までの日数」、値には「ユーザーID」を選択。
ユーザーIDについてはiマークを開いて「集計の方法」→「個数」を選択。
5.ピボットテーブル上で右クリックし、「値の集計方法」「その他のオプション」「計算の種類」「行集計に対する比率」の順番で選択。
以上の操作で、Excel上で「ユーザーが登録日から何日で離脱しているか」のコホート表を作成できます。
2の手順で入力したDATEDIF関数の「d」を「m」や「y」に変更すれば、離脱までの日数を「週」や「月」単位に変更できます。
もちろん、顧客離脱までの日数以外にも指標(何で分類するか)をカスタマイズできますので、ぜひ参考にしてみてください。
コホート分析とグロースハック
商品やサービスを成長させるためのマーケティング手法の1つにグロースハックというものがあります。
コホート分析とグロースハックには密接な関係があります。
コホート分析はグロースハックのための手法
コホート分析とはグロースハックのための有効な分析手法の1つです。
グロースハックは一般的に以下の流れで進めます。
・ユーザーに関する様々なデータを集めて解析する
・商品やサービスの成長を妨げている要因を見つける
・改善策を提案・実施して商品やサービスのさらなる成長を目指す
成長を妨げている要因を探るには、ユーザーの行動を分析する必要があります。
その時にコホート分析は大きな役割を果たします。
グロースハックにコホート分析を使うメリット
コホート分析はユーザーが継続利用するためのサービス改善に役立ちます。
Webサイトやサービスは「ユーザーがいかに長い間サイトに留まってくれているか」「いかに継続して利用してくれているか」が大切です。
コホート分析では「時間の経過にともなうユーザー行動の変化」を分析できます。
そのため、滞在時間が短い・継続率が低いユーザーが何が原因で離脱しているのかを突き止めることができます。
また、リピートユーザーの傾向を分析することで、定着率を高めるための施策を導き出すこともできるのです。
グロースハックの成功例
実際にコホート分析などのデータ分析を行って、グロースハックに成功した有名企業の例を見てみましょう。
今でこそユーザー数の多いFacebookですが、かつてはユーザーの継続率が伸びないことが悩みのタネでした。
そこで、Facebookは新機能開発を2年間ストップし、コホート分析などの様々なデータ解析を行ってユーザーの行動を分析したのです。
Facebookはユーザーが最も大切にしていることが「友達と繋がること」ということを突き止め、ある機能を追加しました。
その機能とは、おそらく誰もが目にしたことがある「すでにFacebookを利用している友達を探しましょう」というページです。
この機能の追加によりFacebookユーザーの継続率が爆発的に上がったといわれています。
Dropbox
ファイル共有ツールのDropboxはユーザーを増やしたいと考えていました。
コホート分析をはじめ様々な分析を行った結果、トップページからのユーザー離脱率が高いことが分かりました。
当時のDropboxのトップページは、ツールの使い方・ダウンロードボタン・リンクURLなど情報を詰め込みすぎていました。
ユーザーが登録にたどり着く前にページを離れていたのです。
そこで、登録のための入力欄をトップページにシンプルに表示するように改善し、ユーザーの登録率を上げることに成功しました。
別の分析によってDropboxユーザーの3人に1人が既存ユーザーからの紹介で登録していることが判明しました。
そこで、紹介によってユーザーが増える可能性をさらに広げるために、紹介によるインセンティブ制度を導入したのです。
紹介された人がDropboxをダウンロードする度に、紹介者と紹介された人の両方に500MBプレゼントされる制度です。
この施策はユーザー登録数を60%以上伸ばしたため、Dropboxの施策の中で最も効果的なグロースハックとして知られています。
Twitterはかつて、獲得したユーザーの維持率が低いことに悩んでいました。
アプリをインストールしても1度使って辞めるユーザーが多く継続率が低かったのです。
マーケティング部門がコホート分析を行った結果、「フォロワーが30名以上いるユーザー」は長期的に利用していることを突き止めました。
Twitterがユーザーの継続率を高めるには、登録直後にいかに30名のフォロワーを獲得させるかが鍵だったのです。
そこで、登録直後にフォロワー先を提案する機能を洗練させていった結果、今日のTwitterの成長に繋がったのでした。
コホート分析はWebマーケターの必須スキル
コホート分析はユーザーの定着率を分析して商品やサービスの課題を洗い出すだけではありません。
マーケティングでよく行われるA/Bテストをする際の仮説を立てるのにも役立ちます。
Webマーケターとして転職後に即戦力として活躍するためには、コホート分析は身につけておいた方が良いでしょう。
ただ、コホート分析で様々な数字は出せますが、その数字の全てが商品やサービスの問題点と因果関係があるとは限りません。
本当はユーザーの離脱率にサイト改善のヒントがあるのに、リピート率を指標に分析していては正解にたどり着かないでしょう。
問題点と因果関係がある数字を出すためには、どの指標で分析するかをWebマーケターが見極めなければならないのです。
そして、その数字から原因を見つけ出して改善策を提案し、成果を出してこそのWebマーケターです。
ぜひコホート分析も駆使しながら、WebマーケターとしてIT業界で活躍してください。
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