ドローンビジネスの市場規模を解説!国内外の事例や業界の今後は?転職エージェントがビジネスモデルを紹介
今までの常識を覆せると期待されているのがドローンによる運用です。ドローンビジネスが軌道に乗ればあらゆる業種や分野が革新的に飛躍できると予想されています。今回はドローンビジネスの現状や今後の予想などを踏まえて解説していきます。
目次
ドローンビジネスの成長度合い
今さまざまなビジネスシーンでの導入に積極的なのがドローンです。
2015年に法的規制や許可が成立されたことでドローンビジネスは動き出し、年々驚異的なスピードで成長をし続けている現状です。
これまで年間で20%以上の平均成長率を保っており、2021年度で2,308億円、2022年度で3,099億円のペースでの成長が予想されています。
この成長率で推移すれば、2027年にはおよそ8,000億円程度にまで達する見込みです。(参考:インプレス総合研究所『ドローンビジネス調査報告書2022』)
ドローンビジネスの市場規模は「機体」「サービス」「周辺サービス」で構成され、最も顕著に伸びているのがサービス市場です。
この中でも特に「農業」と「点検」の分野が大部分を占めています。
ドローンビジネスをするためのポイント
市場規模が広がるドローンビジネスへの参入を試みるとしたらどのようなことをポイントにしておけばよいのでしょうか?
誰でも気軽に参入できるものなのかが気になるところです。ここではドローンビジネスにおける大切な要素を3つ解説していきましょう。
ドローンのすべてを理解しておく
ドローンを導入するということはドローンに関するすべてを把握しておくことが前提です。
それは機器としての取り扱いや実践での操縦テクニックに留まらず、ドローンを利用するにあたっての法的規制の理解も含まれています。
どのようなビジネスにも規定があるのと同様にドローン1つ作動させるにもルールや仕組みを知っておくことが最優先です。
現在は既に各所にてドローンスクールが開催されています。スクールでの講習を受ければほぼ網羅された内容を勉強できるのでおすすめです。
ドローンの基本的な役割は3つ
ドローンの役割は大きく分けて「撮影」「作業」「データ収集」の3つです。
空からの視点や水中からの視点といった「撮影」の役割、物資の運搬や農薬、撒き餌を散布する「作業」の役割、そしてカメラやセンサーを駆使して空中デジタルセンシングを行う「データ収集」の役割です。
どのような分野で活用するのか?
ドローンを活用して何をビジネスとして成立させたいのかをはっきり決めることも必要です。
ドローンはすべての用途に対応してはいません。例えば農薬散布には散布用ドローンを使ってルールに基づいて行われます。
自分がどのジャンルや分野でドローンビジネスを展開して特化させるのかを考えておくことです。
最新情報を入手する
ドローンビジネスを始めるにあたって既存ビジネスのことを事前に調べておく必要があります。
ドローンを使ってどの分野のビジネスに関わるのか分かった上で業界や競合・海外事情などの情報入手が大切です。
ドローンはトレンドにも関連していますので、自分らしいプランを成立させる意味でもしておきましょう。
ドローンの飛行レベル
ドローンビジネスを始めようといきなりドローンを購入するのは早合点です。
機体を所持することと同じくらい大切なのは規制の理解をしていくことでしょう。
実はドローンを飛ばすための決められた飛行レベルが存在します。
空は4段階レベルに分けられている
ドローンを飛ばすには飛行レベルを理解しておく必要があります。
政府によって「空の産業革命に向けたロードマップ」という決まりが設けられていてそのルールに則った飛行をしなければなりません。
レベル1は目視内での操縦飛行・レベル2は目視内での自動と自律飛行が可能です。
レベル3では無人地帯での目視外飛行・レベル4は有人地帯での目視外飛行という区分がされています。
ドローンに限らずそれぞれのレベル内にあったビジネスを展開していくよう、空のルールとして成立しているのです。
国内では2022年12月より無人航空機レベル4飛行へ
2022年12月5日より、無人航空機の新制度が開始しました。
これまでのレベル1~3飛行に加え、有人地帯(第三者上空)での補助者なし、目視外飛行が可能になったという事です。
例えばレベル1は農薬散布・空撮・橋梁や送電線などのインフラ点検での飛行をします。
レベル2では空中写真測量・ソーラーパネル設備点検などです。
そしてレベル3では離島や山間部への荷物配送・被災状況調査・行方不明者捜索・巨大インフラ点検・河川測量ができます。
2020年には株式会社オプティムが農業分野で初めてレベル3での実証を行いました。
2022年7月には伊藤忠がドローン配送サービスに参入すべく新型ドローンを公開しています。
レベル4飛行で実現できること
レベル4になると都市物流・警備・救助および避難誘導・消火活動支援、都市部インフラ点検といった規模の大きな業務です。
国土交通省がレベル4飛行によって実現可能な未来として挙げているのは次の6分野です。
・スタジアムでのスポーツ中継や、写真・映像撮影のための空撮
・市街地や山間部、離島などへの医薬品や食料品の配送
・災害時の救助活動や救援物資輸送、被害状況の確認
・橋梁、砂防ダム、工場設備などの保守点検
・建設現場などの測量や森林資源調査
・イベント施設や広域施設、離島などの警備、海難操作
これらが次に解説する市場規模の拡大も後押しすると期待されています。
国内ドローンビジネスの市場規模と状況
2021年度のドローンビジネス市場規模は前年比25.4%増の2308億円でした。
現在の国内ドローンビジネスで可能なレベルは3段階目までになっていますが、これも徐々に解禁されています。それに伴い、2027年度は8000億円規模へ拡大する見込みです。
レベル4の目視外の自動操縦飛行への試みも始まっている現状です。規制緩和や技術開発が水面下で進められ期待が寄せられています。
中でも国内需要が高く見込まれているのが測量分野です。
ドローンでの測量は国内で今後大きな改革をすると予測されています。
日本の国土は傾斜も激しい場所も多く人が踏み込めない場所も点在しています。
上空から地表面のデータを今まで以上に得やすくなることでしょう。
国内では「点検」「物流」が拡大すると予想
ドローンビジネスを構成する「機体」「サービス」「周辺サービス」のうち、最も大きく拡大すると予想されているのが「サービス」で、他2つもけん引する事が期待されています。
また、ドローン機体ビジネスにおいては2025年にかけて「点検」「物流」が大きく拡大するとの見立てです。
現状海外メーカーがシェアを持つなかで、国内メーカーは日本ならではの丁寧さやサービスによって差別化をはかる必要があるとされています。
政府の後押しも欠かせません。
参考:財務局『ドローン機体ビジネスの動向について』
今後ドローンビジネスで求められる人材は?
市場規模の拡大に伴い、求められる人材も増えています。
ただしドローンの操縦技術だけでは求められる人物像にはマッチしなくなって行くでしょう。
その大きな理由としては、無人航空機操縦者技能証明制度、つまりドローン免許制度の開始です。
証明書取得には、学科講習の受講、学科試験の合格、実地講習の受講、実地試験の合格という4段階を踏む必要があります。
加えてこの免許には目視内・昼間飛行・25kg未満という制限があるため、さらに市場価値が高い人材になるためには、追加で実地講習を受講し限定解除をする必要があるでしょう。
今後ドローンビジネスを検討するにあたって、国土交通省の免許取得は必須となっていくはずです。
参考:国土交通省『無人航空機操縦者技能証明』
海外ドローンビジネスの市場規模と状況
海外のドローンビジネス市場規模の状況予測は大きく軍用目的での需要と産業用や個人の娯楽用での需要が見込まれています。
2025年になる頃には約3兆円の予測です。
軍需用ドローンの市場規模は一定平均にとどまるとされていますが、産業と個人合わせた民間でのドローンの需要は上昇傾向にあるとされています。
とくに商用サービスで伸びるのが点検や検査分野などの社会インフラの保全活動と災害時のさまざまな活動支援の分野です。
他にも輸送・配送サービス分野は2025年になると現在よりも30%近い普及率が予測されています。
現在のドローンビジネス事例
エンタメ業界
以前はヘリコプターと高い費用を必要としていた空撮映像は、ドローンの登場によって一新しました。
小回りがきくドローンは、よりハイクオリティで迫力ある映像を実現できるうえにローコストです。
映画、MV、CMにおいてはマイクロドローンの登場により、狭い空間をすり抜けるようなスピード感あふれるクリエイティブな撮影が可能になりました。
今後、映像制作においてはドローンが主流になる可能性もあるのです。
リフォーム
屋根の外装工事にドローンが活用されている事例もあります。
ドローンを自動操縦して簡単に屋根の上を撮影し、複雑な操作は不要かつ安全な点検を可能にしています。
導入することで作業範囲が広がり、ビジネスチャンスを広げることも可能にする事例です。
長距離配送
福島県では、東日本大震災で被害を受けた地域の復興として、新たな産業を生み出すためにドローンの活用を始めました。
「福島ロボットテストフィールド」は、ロボットの性能評価や操縦訓練等ができる施設で、世界でもめずらしい取り組みです。
南相馬市では、2017年に世界で初めて完全自律飛行ドローンを用いた長距離荷物配送も成功させています。
水産業
実は、農業だけでなく水産業でもドローンは活躍しています。
代表的なものは有明海で行われているノリの養殖事業です。
上空から海面を撮影し、ノリの生育に悪影響を与える要因を早期に検知するシステムの実証実験が行われています。
今後見込めるドローンビジネスモデル
ドローン活用でのビジネスモデルは独自研究が始まったばかりで、さまざまな分野の業種が取り組んでいる最中です。
その中でも医療・教育分野は積極的に考えています。まだまだ未開発でありつつも今後の急激な拡大が期待された分野です。
他にも今後のドローンビジネスが見込める分野がありますのでさらに詳しく見ていきましょう。
各種点検分野
あらゆる業種・分野にて現状よりも強固にしたいと願っているのはセキュリティについてです。
とくに建築物やインフラ設備についての定期点検は義務化されてもいるため必須業務といえるでしょう。
従来の方法では人員によるアナログな点検のままです。しかもスタッフの安全確保も課題になります。
そこでドローン活用による点検作業が日常化できれば、作業コストの削減や効率化・安全性も高まるでしょう。
いずれ高性能なセンサーを搭載したドローンで複雑な点検も可能な時代になります。
建築物や地形などの測量分野
人手不足を始めとした諸々の課題が山積されている建設業界にてドローンでの測量技術の向上も期待が寄せられています。
実は2015年から国土交通省が測量・設計を始め施工・検査・管理の事業プロセスにて情報通信技術の導入計画を公表しました。
「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と名付けられた計画を推進中です。
その行方次第ではドローンの導入について義務化の動きもみせています。
農業分野
農業の分野ではドローンによる農薬散布の働きが注目されています。
すでに農薬散布はヘリコプターなどで行なわれていますが無人ではありません。
今後はドローンを活用した無人での運用が期待されています。
また農薬には液体・粒状・粉末など種類がありますが、散布時の事故やトラブル防止が課題です。
ドローンへのセンサー搭載は必須となり生育状況や土壌状況の分析も伴うようになるでしょう。
ますますの生産性向上が図れると期待されています。
物流分野
現在国内でもドローンでの荷物配送の実現に向けた動きが活発です。
目視できない範囲にて飛行することや私有地上空での飛行の規制についての改訂を進行しています。
宅配をドローンが代行する時代もやって来ています。
既に米国Amazon社にてドローン配送サービス「Prime Air」のカリフォルニア州、テキサス州での開始を発表しました。
ただし所要時間が読めないことや悪天候での対応ができないことなど課題はまだまだ多いのも事実です。
報道分野
より敏速な詳細が入手できるので、ドローンは報道分野での有効な手段になる可能性があります。
前人未到な場所に踏み込めるメリットを生かして、事故発生時の現場や台風などの災害での現況報告が容易くできるようになるでしょう。
今までは報道記者によって現場で中継をするという流れにドローンも加わることでより細密な情報提供が期待できます。
不動産分野
不動産や住宅分野でのドローンの活用も期待されています。上空より撮影される視覚映像にて遠隔地にいても物件の見学も可能です。
建物全体や周辺の様子についてもドローンを使えば現行よりも詳細な情報提供ができます。
ドローンビジネスの今後の課題
徐々にドローンの運用が日常的になりきっとその姿を見かけることも普通になっていくことでしょう。
しかし現行ではまだまだドローンに対する認識や制度も整っていません。いくつかの課題も考えられます。
万が一の事故対策
ドロービジネスの市場規模が広がると最も課題になるのは落下や接触などによる事故です。
ドローン同士に限らず建造物や動植物についても考えられます。
器物破損の責任の所在などが問われ対処する必要もあるでしょう。とくにビジネスでドローンを飛ばすともなれば信用にもかかわります。
作業環境の安全性やドローン操縦士の力量も向上させる工夫が重要です。
ビジネス向けな法整備が必要
市場規模の拡大とともに早急な法整備も必要です。今でもドローンには規制があります。
改正航空法によって特定空域での飛行には事前の許可申請をしなくてはなりません。
とくにビジネスでの活用なら今後も規制は細かく適用されることでしょう。
例えば運搬用でのドローン活用をする場合、不法な物資を運んでしまう恐れも考えられます。
ドローンビジネスを念頭に置いた法整備が行われていくはずです。
まとめ
ドローン運用の市場規模として農業・物流・点検業務・測量の分野が主流となりつつあります。
他にも地質解析・生態調査・スポーツ中継など多岐にわたっていくことでしょう。
これから幅広いフィールドにて普通にドローンが飛び回っていく社会が訪れると予想できるのです。
ドローンビジネスはまだ始まったばかりなので、諸問題もこれから浮上するでしょう。
それらを1つずつ検証して改善策を練っていくのも必要です。これからもドローンビジネスの市場規模の拡大に注目してください。
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