ダイナミックプライシングとは?基本の仕組みや企業への導入事例を紹介!転職先で統計学を活かしたい方必見
商品やサービスの価格を需要と供給の変動に合わせて調整する価格戦略、ダイナミックプライシング。動的価格設定や変動料金制とも呼ばれる本戦略ですが、実際にはどのようなものなのでしょうか。この記事で、ダイナミックプライシングの基本的な仕組みや導入事例をチェックしましょう。転職先で統計学を活かしたい方はぜひ押さえておきたいポイントです。
目次
ダイナミックプライシングとは
商品やサービスの価格を需要と供給の変動に合わせて調整する価格戦略であるダイナミックプライシング。
動的価格設定、変動料金制、価格変動制などとも呼ばれます。別名に動的・変動というキーワードがある通り、市場の目まぐるしい動きについていこうとするのが特徴的な戦略です。
状況に応じて柔軟に価格を変更することで、企業側にも顧客側にもメリットをもたらすものになっています。
需要が高くなった商品もしくは供給が低くなった商品は、価格を上げて利益を出すのは基本です。他方、需要が低くなった商品、供給が高くなった商品は価格を下げて販売数を増やしていきます。
ダイナミックプライシングは利益に直結するとまでいえる
ダイナミックプライシングは企業側の利益に大きく関係するということもあり、多くの企業が導入しています。とはいえ、実際にダイナミックプライシングについて詳しくは知らない方も多いかもしれません。
この記事で、基本的な仕組みや企業の導入事例についてチェックしていきましょう。
ダイナミックプライシングの仕組み
ダイナミックプライシングについてシンプルに表現してみましょう。
ダイナミックプライシングは、商品やサービスに一定の標準価格を設けます。その商品やサービスの需要と供給に応じて価格を随時変動させる仕組みです。
商品やサービスの需要から供給コントロール
普通ダイナミックプライシングは、商品やサービスの需要から供給をコントロールします。
月々の売り上げ、顧客の動向、年間でかかる費用なども合わせて価格を決定していくのです。従来、ダイナミックプライシングの経営は人力で行われるものでした。
しかし、近年ではAI(人工知能)を導入する企業も少なくありません。
AIを活用したダイナミックプライシング
AIは、膨大なデータを基に売れ行きを予測してダイナミックプライシングを行います。
人力よりも効率的かつ最適な利益をたたき出すことができるのです。また、導き出した価格を随時最適な価格に変動させることができます。
ダイナミックプライシングのメリットと注意点
一見すると、利用しない手はないように思えるダイナミックプライシング。魅力的かつ様々な恩恵がある本戦略ですが、実は注意点が存在するのも現実です。
ここからは、ダイナミックプライシングのメリットと注意点について紹介いたします。
ダイナミックプライシングのメリットは収益面
ダイナミックプライシングのメリットは収益を最大化できるということです。
前述した通り、需要が高くなれば価格を上げ、需要が低くなれば価格を下げます。データを基にダイナミックプライシングを行うため、企業にとって最適な価格を実現することができます。
つまり、企業の収益を最大化することにも繋がるというわけです。
近年、AIも導入されているため人力でデータを分析する必要がなくなってきているのもポイントの1つ。よりダイナミックプライシングを活用しやすくなってきています。
また、商品の在庫やサービスの空きがなくなるというのもメリットの1つ。需要と供給が適切な塩梅であれば、商品の在庫が余ったりサービスに空きが生じるということはなくなります。
在庫処分やサービスの利用者がいなければ損害に繋がってしまいますので、そういった損害の発生を未然に防ぐことに繋がるのです。
ダイナミックプライシングの注意点
ダイナミックプライシングには注意点も存在します。
まず注意しなければいけないのが、問題が生じた場合にすぐ対処できない可能性があるというポイント。AIが台頭してきた近年、企業はAIにダイナミックプライシングを任せっきりというのが現状です。
例えば、注文されていた商品が突然キャンセルされたとしましょう。AIは需要が高くなっていると判断したままですが、実際の需要は低くなってしまっているわけです。
こういった事態に即座に対応・対策を行うためには、どうしても人間の目が必要になってきます。人力でデータを分析しなくてもよくなったのに、結局監視が必要になる。多少なり「余分に思えるコスト」が生じてしまうのです。
しかしこれは現段階の技術の話であり、将来的にはAIがさらに発展・改善されていくことが予想されます。今あるデータをさらに増やし技術を向上させることで、いずれは問題に対処できるようになるでしょう。
いずれこの注意点を気にしなくて良くなる未来は、そう遠くないのかもしれません。
もう1つの注意点は、価格を変更する際やAIを導入する際にコストがかかるというポイントです。仕方のないことではありますが、ダイナミックプライシングにはコストがかかります。とはいえ、このコストはいうなれば初期投資です。
初めはコストがかかりますが、後々ダイナミックプライシングがもたらす利益の方が大きくなっていきます。結果的に得られる利益を考えれば、ポジティブな方向へ思いを向けることができます。
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企業のダイナミックプライシング導入事例
ここからは、実際にダイナミックプライシングを導入している企業やサービスなどを簡単に紹介していきます。
名前自体はかなり有名で、幅広い人に知られているダイナミックプライシングですが、実際に採用・導入している企業がいなければ、ここまで注目度が高まるはずがありません。分野別に、導入している企業・サービスをチェックしていきましょう。
ある種、ダイナミックプライシングの実績ともいえる面に注目していきます。
宿泊施設
宿泊施設へのダイナミックプライシングの導入は必須といっても過言ではありません。
「宿泊施設」にはホテル、旅館、民宿と大小さまざまありますが、近年では世界最大規模の民泊仲介サイト・Airbnbの利用が進んでいます。Airbnbは、需要やシーズンの変動時に価格を自動的に調節するスマートプライシングという機能を宿泊施設に提供しています。
スマートプライシングは70以上の料金決定要素から予約獲得率を予測し、利益を最大化できる価格を提示します。宿泊施設はサービスを主として展開しており、顧客の予約がなければ利益が出ることはありません。
つまり、常に最適な価格を提示しなければ商売にならないのです。
今後も宿泊施設ではダイナミックプライシングの導入がますます進んでいくことが予想されます。まさにダイナミックプライシングがピッタリな業界だといえるでしょう。
遊園地
ダイナミックプライシングを導入した遊園地の例として、ユニバーサルスタジオジャパンがあります。
ニュースで見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ユニバーサルスタジオジャパンは、2019年からシーズンごとに異なる価格でのサービス提供を開始しました。
遊園地には繁忙期と閑散期があり、繁忙期は価格を上げ、閑散期は価格を下げるという価格戦略を取っています。加えて、ダイナミックプライシングの利用価値は繁忙期と閑散期のシーズンだけにとどまりません。天候などの不確定要素もデータ化することができればさらなる利益が見込まれます。
今後の発展次第で、より拡充が進んでいく可能性が高くなるでしょう。
コンビニエンスストア
ローソンは電子タグを利用した実験を行い、消費期限切れの食品を廃棄するリスクの軽減を試みました。この事例は顧客を対象にしたものというよりは、食品ロスによる損害を抑える意味合いの方が強くなっています。
コンビニエンスストアの食品廃棄は問題になっています。
しかし、将来ダイナミックプライシングの導入によって改善されていくかもしれません。
単純に「利益」以外の面でも良い点があるといえる、ダイナミックプライシングが秘めている可能性を感じさせてくれます。
ガソリンスタンド
コスモエネルギーホールディングスは、2019年からガソリンスタンドの利用状況に応じて割引などのサービスを導入しました。地域や場所によるデータだけでなく、顧客1人1人の特性に応じて割引を行っています。
これはダイナミックプライシングだからこそできる戦略であり、細部にいたる分析にまで飛躍しています。
世界に飛躍するダイナミックプライシング
ある意味当然ですが、ダイナミックプライシングは日本だけで活用されているわけではありません。
アメリカでは革命を起こしたとまでいわれています。
アメリカにおけるダイナミックプライシングの革命
アメリカでは、ダイナミックプライシングがスポーツ業界に革命を起こしました。
以前のアメリカではスポーツ観戦のチケットは一定の価格で販売されていました。
しかし、観客の動向に応じてチケットの価格を変動させることで利益を向上させることに成功したのです。
日本のスポーツ業界でもダイナミックプライシングが導入
アメリカと同様、日本でもスポーツ観戦のチケットにダイナミックプライシングを導入しています。
例えば、プロ野球球団である横浜DeNAベイスターズ。2018年より「フレックスプライス制」として、対戦チームや時期などに応じてチケット価格を5パターンに変動させて展開しています。
まだ試験的な運用ではありますが、今後更に広まっていくことが予想されています。
ダイナミックプライシングと統計学
ダイナミックプライシングと統計学は切っても切れない関係です。統計学の知識はAIが導き出したデータを判断する際に役立ち、ダイナミックプライシングを最大限に活用することができます。
統計学やAIの知識を持つ社員がいなければ外部に委託しなければならないため、企業も統計学を学んだ人材を求めているのです。外部に委託すると当然費用がかかることになるため、自社の人材でダイナミックプライシングを行った方がより高い利益を出せます。
転職先で統計学やAIの知識を活かしたい方は、ダイナミックプライシングを導入している企業を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ダイナミックプライシングは商品やサービスの価格を需要と供給の変動に合わせて調整する価格戦略です。
商品やサービスに一定の標準価格を設けて、その価格を随時変動させる仕組みでした。近年では多くの企業がダイナミックプライシングを採用しており、利益を最大化して商品やサービスの在庫を管理しています。
ダイナミックプライシングを最大限に活用するためには統計学とAIの知識が重要です。これらの知識がある方は今後大きなアピールポイントになってくる可能性が高いでしょう。
ぜひ転職において統計学やAI技術を自分の「武器」の1つとして、そして転職先の選択肢として「ダイナミックプライシング」を頭に留めておいてくださいね。
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