産業用ロボットの市場規模を解説!国内外の動向や今後の予測は?転職エージェントが最新事情をご紹介!
製造業を中心に、人手不足を解消するための方法の1つとして注目を集めているのが産業用ロボットです。ロボット技術の進歩により、以前よりも多様な場面で活用されており市場規模も拡大しています。今回はそんな産業用ロボットの市場規模や今後の動向などについて解説していきましょう。
目次
産業用ロボットの市場を解説
世界的に労働力不足の解消や製造業の自動化のための手段として産業用ロボットが用いられています。
世界的な産業用ロボットの年間販売台数は増加傾向にあり、2035年にはロボット市場は10兆円規模になるという予測もされているのです。
その中でも特に製造業における産業用ロボットは高いシェアを維持すると考えられています。
今回の記事では産業用ロボットの市場が今後どのような形に変化していくのかを解説していきましょう。
産業用ロボットの市場規模
産業用ロボット市場はロボット市場全体において最もシェアが高く、企業から最も必要とされている存在だといえるでしょう。
市場の状況やその規模について解説していきます。
国内の市場規模は拡大する
今後の日本では労働人口不足が深刻化していくと考えられています。
そのため今後は様々な業種でファクトリーオートメーション(FA)を更に推し進めていく必要があるでしょう。
そんな中で産業の担い手として期待されているのが産業用ロボットです。
FAを更に発展させていくためには産業用ロボットを活用することが欠かせません。
こうした背景から今後も長期的に産業用ロボットへの需要は拡大し、市場も成長していくことが予想されます。
産業用ロボット市場の成長
2019年は米中貿易摩擦を原因として産業用ロボット市場の成長率はマイナスとなりましたが、2019年終盤には回復の兆しが見えました。
しかしその後の2020年の産業用ロボット市場は新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、世界的に低迷。
売上高は前年度比で3.6%減、出荷台数も3.7%程度減少すると予想されました。
しかしこのような低迷期は長くは続かず、2021年にはこの状況を脱してV字回復すると予想されています。
新型コロナウイルスが世界的に流行する前の予測では2020年は成長が見込まれていました。
予期せぬ事態により、産業用ロボットのシェアは低迷することにはなりましたが2021年以降は成長が期待されています。
産業用ロボット市場の国内外の動向
産業用ロボットは今後、どのような形で活用されていくのでしょうか。
市場の動向について解説していきます。
市場動向
先述した通り、産業用ロボット市場は今後も長期的に成長を続けていきます。
その中でも従来より需要の高かった自動車や電子デバイスなどの製造分野では今後も多く利用されていくことでしょう。
また、インターネットショッピングなどの需要拡大によって物流においても人手不足解消のためにロボットが活用されています。
更に、技術の高度化により食品や医薬品といった産業においても産業用ロボットは利用されていくことでしょう。
製造業だけでなく様々な業種で需要が拡大していくと予想されます。
今後の成長動向
製造業向けの産業用ロボットは今後も大きく成長が見込まれています。
2017年には前年比23.7%増の1兆821億円と大きく成長しました。
これにはスマートフォン・自動車関連への設備投資が関係しています。
そして産業用ロボットの市場は2025年には3兆3140億円まで成長する見込みです。
後述しますがこの成長には協働ロボットが大きく関係しています。
今までより小型な産業用ロボットが様々な分野で導入されることが予想されているのです。
日本は世界的な産業用ロボット国
2019年の産業用ロボット出荷国は中国が第1位、次いで日本が第2位となっており、日本が世界的な産業用ロボット生産国であることがわかります。
稼働台数においても同様の結果となっており、日本は産業用ロボットの導入が進んでいる国の1つです。
国内の生産台数は右肩上がりで上昇を続けており、日本産の産業用ロボットは世界的なシェアを誇っています。
産業用ロボット市場の今後の予測
産業用ロボット市場で今後起こるであろう出来事を予測し解説していきます。
今後の世界的な人手不足やIT技術の高度化によって市場にはどのような変化が起こっていくのでしょうか。
協働ロボットの導入が進む
協働ロボットとは人間と共に同一空間上で作業を行えるロボットのことを指します。
これまでロボットは大型であることが基本でした。
そのため人間と離れた場所で作業を行うのが一般的でしたが小型化が進んだことで状況が変化しています。
安全性が確保できるようになったことで協働ロボットの導入が進んでいるのです。
これまで実用化に向けた検証が行われていた協働ロボットですが、今後実際に製造業などで多数導入されていくと考えられます。
協働ロボットの産業用ロボット市場における規模は2019年度で590億円でしたが、2025年にはおよそ2653億円になるとされているのです。
これは約4.5倍の数値であり、大手企業も協働ロボットの販売に乗り出しています。
今後多くのメーカーで協働ロボットが導入されていくことが予想され、人間とロボットが同じ場所で働くように変化していくことでしょう。
高度な工程への導入が進む
今まで主にライン生産などで導入されてきた産業用ロボットですが、今後はセル生産への導入も進んでいくことでしょう。
セル生産はライン生産よりも高度な工程であり、単純作業ではないためロボットの導入が難しかった分野です。
ロボットビジョンにより、ロボットが視覚的に製品を認識できるようになったことでこうした分野でも今後活躍していくことが予想されます。
ロボットビジョンを搭載したロボットはより高精度に製品を認識し、複雑な作業をこなすことができるためです。
これにより多品種でライン生産が難しい医薬品や食品業界などのセル生産の現場でも積極的に導入されていくことでしょう。
また、ロボットビジョンによる製品の認識により複数の工程で産業用ロボットが導入されていくことが予想されます。
幅広い業種で導入されるだけでなく、より高度な工程で産業用ロボットが導入されファクトリーオートメーションが推進されていくことでしょう。
IoTやAIの活用
産業用ロボットにおいても、IoTやAIを活用する動きが本格化しています。
IoTはロボットをインターネットと接続することで業務におけるデータを収集することができるため、今後重宝されていくことでしょう。
これによりロボットの状態が瞬時に把握できるだけでなく、システムの不具合にもすぐに気がつくことができます。
IoT技術は産業用ロボットにおいても作業の効率化に大きく貢献することでしょう。
また、AIは産業用ロボットのティーチングの設定を簡略化したり必要無くしたりするために研究が進められています。
ティーチングとは、ロボットの動作をセッティングする作業のことです。
AIによってロボットが自ら業務について考え、働くようになればこの作業を将来的に無くすことができます。
そうなれば誰であっても手軽に産業用ロボットを扱うことができるようになるでしょう。
中小企業への産業用ロボット導入
中小企業では人手不足の問題は更に深刻です。
産業用ロボットというのは元々、大規模なコストがかかることから大企業を中心としてしか普及していませんでした。
しかし技術の進歩によって生産技術が向上し低コスト化が進んだ結果、中小企業であっても産業用ロボットの導入が可能となったのです。
また、協働ロボットを中心にロボット自体が小型化していることで、大きな敷地を必要としなくなったことも要因の1つです。
中小企業で産業用ロボットが導入されるということは需要の拡大を意味します。
今後は大企業だけでなく、中小企業をターゲットとした産業用ロボットも更に増えていくことでしょう。
周辺機器の需要も拡大
先述したロボットビジョンなどの周辺機器の技術的成長もロボットによる業務を高度化していく上で欠かせない要素の1つです。
ロボットビジョンの市場規模は2019年の149億円から2025年には305億円になると考えられています。
また、セーフティーレーザースキャナーの市場規模も2019年から2025年で2倍程度成長するとの予想です。
周辺機器の市場も拡大していくのは産業用ロボットが多様化していく中で必然といえます。
産業用ロボット自体の市場と連動して周辺機器の市場も長期的に拡大していくことでしょう。
産業用ロボットの最新事情
新型コロナウイルス感染症などの影響により、2020年の産業用ロボットの市場には変化が生じています。
ここでは産業用ロボットを取り巻く状況に関する最新情報をご紹介していきましょう。
多関節ロボットが優位
多関節ロボットは自動車産業において高いシェアを誇っている産業用ロボットです。
このロボットはその汎用性の高さが魅力であり、他の種類のロボット以上に様々な業種で用いられています。
そのため、新型コロナウイルス感染症の影響により製造業が打撃を受けても、今後も優位を貫くと考えられるでしょう。
APAC市場が最大のシェアを維持
2020年以降も、産業用ロボットはAPAC(アジア太平洋地域)で最大のシェアを維持すると考えられています。
2020年には市場がマイナス成長すると考えられていますが、これは北米や欧州においても同様です。
そのため、マイナスであってもAPACが産業用ロボットのシェアを牽引していくことでしょう。
APACの国々ではまだファクトリーオートメーションが十分に浸透している訳ではありません。
今後も産業用ロボットはそうした国々に必要とされ、導入されていくため2021年以降もAPACを中心に市場は成長を続けていくことでしょう。
まとめ
今回は産業用ロボットの市場規模や今後の動向などをご紹介しました。
産業用ロボットというのは、これからの人手不足を解消するための手段として様々な業種が関わることになるであろうものです。
IT企業においてもこの産業用ロボットの開発に携わったり、運用したりする機会も増えてくることでしょう。
今回ご紹介した今後の動向などを参考にして、産業用ロボットの市場について理解し転職活動に役立てていただければと思います。
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