iPaaSの有名企業を紹介!各社の導入事例は?他サービスとの連携状況も確認して転職の幅を広げよう!
今日本の企業でもクラウドサービスの利用は当たり前になっています。しかし、その広がりの中でクラウドサービス同士の連携や、既存システムからのデータ移行に課題を持つ企業も多いです。そんな課題を解決してくれのが、今回ご紹介するiPaaSというツール。この記事ではiPaaSの有名企業や導入事例、他サービスとの連携状況などについてみていきます。
目次
iPaaSとは?
iPaaSとは「integration Platform as a Service」の略語で、「アイパース」と読みます。
役割を簡単に言えば、組織内外にある異なったソフトウェアやサービス同士の連携、情報の統合を実現するクラウドサービスです。
iPaaSは今まで課題とされてきたオンプレミスとクラウドサービスの連携や、クラウドサービス同士の連携を可能にしました。
iPaaSは海外で普及が始まったサービスなため、海外製のサービスが主流になっていますが、国内産iPaaSも徐々に広がりをみせています。
iPaaSが注目されている理由
では、今なぜiPaaSが注目されてきているのか。その理由や背景についてみていきましょう。
SaaSの急速な発展
ひと昔前までは企業内に専用のサーバーを設置し、自社内でシステムを構築して運用する「オンプレミス」での運用が主流でした。
しかしオンプレミスはシステムの導入、サーバーの運営や管理に高額な費用がかかることが課題。
そんな時、GmailやZoomなどクラウド上でソフトウェアが使用できるSaaS(Software as a Service)が急速に発展し始めます。
SaaSはクラウド上で管理され、アップデートや設備の管理なども必要ないため、オンプレミスよりもコストも手間も少なく済みます。
そのため、オンプレミスからSaaSでの運用に乗り換える企業が急速に増えています。
SaaSの課題を解決するiPaaS
SaaSはインターネット環境さえあれば使用ができるため、一つの企業が10、20のサービスを使っているのが当たり前になってきました。
しかし一つ一つのSaaSサービスは手軽に使用できるものの、互いに連携することが難しいという点がSaaSの課題です。
顧客情報はオンプレミス、販売管理はSaaSサービスA、請求書作成はSaaSサービスBなどのようなケースではデータの所在がばらばらです。
そのため結局は人の手でデータ全体を管理しなければいけませんでした。
iPaaSはこれらの独立したSaaSサービスの連携を実現するために開発された、画期的なサービスなのです。
アメリカでは既に浸透、日本はこれから広がる兆し
iPaaSという言葉自体は約20年程前からあり、特に新しいサービスなどではありません。
元々はアメリカで普及し始めたサービスでり、現在市場にある主なiPaaSはアメリカで開発されたものがほとんどです。
そのため日本の企業が使用しているiPaaSはほとんどが海外製サービスであり、iPaaS市場においては日本は後れを取っている状況です。
しかし、少しずつ日本製iPaaSを開発するスタートアップも誕生してきており、今後国内でのiPaaS市場の成長が注目されています。
iPaaSの有名企業
では実際にiPaaSサービスを扱っている有名企業を紹介していきます。
Zapier(ザピアー)
Zapierは2011年にアメリカで創業されたスタートアップ企業、2012年にアメリカ発となるタスク自動化ツールをリリースしました。
異なるサービスやアプリ同士を連携し、自分好みの業務効率化ツールを設計することができます。
複雑なプログラミングの作業も必要ないため、誰でも使用できるのが特徴です。
2012年リリース時には扱えるサービスは25種類でしたが、2020年現在では1,500以上のサービスを組み合わせることが可能になっています。
利用者数は全世界で400万人以上とされ、リモートワークが推奨される今、さらなる利用者増が予想されています。
Workart(ワーカート)
Workartはアメリカのカリフォルニア州Workart社がリリースしたiPaaSです。
Workartは複雑なプログラミングをすることなく、Salesforceなど350以上のSaaSとオンプレミスとを連携することができるツールです。
22万通りの「レシピ」と呼ばれるフォーマットから選択するだけで、簡単に機能を統合することができます。
日本産のSaaSとの連携も取れるツールも徐々に増え始めています。
Infomatica(インフォマティカ)
アメリカカリフォルニア州に本社を構えるinfomaticaは、iPaaS市場のリーディングカンパニーです。
SaaSサービス同士でも、オンプレミスとでもわずか数分間での連携が可能。
AIが搭載されており、あらゆるデータを整理したり、検証するデータエンジニアリングの役割ができるなどiPaaS以外の活用方法も豊富です。
Mulesoft(ミュールソフト)
Mulesoftはアメリカ・カリフォルニアに本社を構えるiPaaS企業です。
Mulesoftは2018年3月にSalesforce.comにより65億円で買収されたことで話題になりました。
特に大規模な組織の中でのシステム統合に定評があり、コカ・コーラやアシックスなど1,600社以上が導入にしているプラットフォームです。
世界的銀行HSBCなども導入しており、データ保護に関するセキュリティ面での評価も高いiPaaSになっています。
Anyflow(エニーフロウ)
Anyflowは日本国内初の完全クラウド型iPaaSです。
Anyflowは今まで難しかった国産SaaSと海外SaaSとの連携を、非エンジニアでも簡単に実現することを可能にしました。
国内製品ということで、インターフェースやサポート体制が日本の企業に使いやすいiPaaSを提供しています。
Actrecipt(アクトレシピ)
Actreciptは財務会計領域に特化したエンタープライズiPaaSです。
「SAP Concur」などの財務会計領域のSaaSコンサルティングを得意とするアスタリスト株式会社が運営しています。
Actreciptは業種や業態によって変わる財務会計にも対応できるよう、様々な「レシピ」が用意されています。
多様なレシピにより、それぞれの企業のニーズを満たす最適な運用を実現することができます。
従業員数万名の大企業から数十名の中小企業まで、柔軟な価格設定が可能な所も特徴です。
各社のiPaaS導入事例は?
では実際に各社でiPaaSがどのように導入されているのか事例をみていきましょう。
Anyflow導入:キラメックス株式会社
キラメックス株式会社はオンラインプログラミングスクール「Techacademy」や法人向けIT研修事業を手掛けている会社です。
急成長している企業であるため、日々増え続ける商談の管理に課題がありました。
商談の確度や金額の変更など、営業マネージャーも個別に現状を確認するなど、現状把握に時間が取られていました。
そこでAnyflowを導入し、SlackとSalesforceの連携を中心に12のワークフローを実現。
その結果、営業マネジメントに関する作業時間が3分の1に削減することができました。
Mulesoft導入:アシックス株式会社
世界的に有名企業アシックスでは、世界中に展開している7つのブランド間の注文管理や製品管理などのシステムが独立した状態でした。
そのためネット販売のeコマース事業では一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供できず、収益は全体の数パーセントに留まっていました。
その問題を解決するため、アシックスは全てのブランド、地域、チャネルにわたってシステムを統合する必要に迫られます。
そこでアシックスはMulesoftを導入し、10以上の主要な製品管理システムを接続することに成功。
その結果、各ブランドが統合されたeコマースプラットフォームを市場に投入することができました。
iPaaSを使用した他サービスとの連携・活用法
iPaaSを使用したクラウドサービスの連携例の一つとしては「Senses(センシーズ)」があります。
Sensesは営業に関わる全てのデータを管理し、情報を有効活用するクラウド営業支援ツールです。
「Senses」と名刺管理システム「CAMCARD」を連携すれば、読み込んだ名刺データをSensesに自動的に同期させることができます。
これにより作業工程が減り、営業スピードや生産性の向上に繋げることができます。
iPaaS市場はますます成長
クラウドサービスの充実の他にも、これからiPaaS市場が成長すると思われる要因があります。
その要因について詳しくみていきましょう。
2025年の崖
2018年に経済産業省が発表したDXレポート(DX:デジタルトランスフォーメーション)の中で、「2025年の崖」という内容があります。
既存システムのままデータ活用を続けていた場合、これからの急激な市場の変化に対応することができません。
その結果、最大で年間12兆円の経済損失の可能性があるという内容です。
この問題を阻止するためにも、柔軟に変化に対応できるクラウドサービスへの移行、連携を取るためのiPaaSの導入が急務になってきます。
労働人口の減少
日本は少子高齢化に伴い、今後労働人口の大幅な減少が懸念されています。
そのため、企業はAIやRPAによる業務自動化をすることで、人手不足を解消する必要に迫られています。
リモートワークの普及も重なり、今後ますますSaaSサービスを利用する企業は増えていきます。
それに伴いSaaSサービスを連携するiPaaS市場も急成長していくと予想されています。
iPaaS市場の転職も視野に入れてみよう
世界規模のiPaaS市場で見ると日本は後れを取っている状況ですが、少しずつ広がりを見せつつあります。
今後もクラウドサービスの普及とともに、iPaaS市場は大きくなると予想されている急成長ビジネスです。
転職する際は、将来の成長分野も見据えて、幅広く検討してみてください。
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