プロダクトライフサイクルとは?意味を解説!段階ごとの戦略とは?製品の市場寿命に詳しい人材として転職!
マーケティングの古典ともいうべきプロダクトライフサイクル(PLC)。マーケティングが確立する黎明期の1950年にジョエル・ディーンによって提唱されたのが、製品が市場に投入されてから寿命を終え衰退するまでのライフサイクルを体系づけたのがプロダクトライフサイクルです。
目次
プロダクトライフサイクルとは?
プロダクトライフサイクル(PLC)は、製品のライフサイクルを4つのフェーズに区分したモデルのことです。
売上高が時間軸に対してS字カーブを描くことでも知られています。4つの区分は下記になります。
導入期
製品が市場に導入されて認知度を高めていく段階です。
流通業者に製品を取り扱ってもらうように働きかけたり、消費者に試用してもらうなど初期投資が必要です。
また、市場拡大のために多額の資金が必要になります。
利益の出にくい時期であり、製品によってはマイナスになってしまうこともあるフェーズです。
成長期
市場に導入した製品が受け入れられ、需要量が急激に増加し売上が伸びていく段階です。
半面、この段階に突入できず消えていく製品も多くあります。
成長期にはライバルである競合他社が増加するのも特徴です。他社との競争に勝ち抜くためには、製品改良や差別化戦略を用いて競合他社との違う点を明確にする必要があります。
生産設備の増強や広告体制を整備しないと他社に出し抜かれてしまうフェーズです。
成熟期
製品が顧客に十分認知されて新たな顧客獲得が難しくなってくる段階です。
需要が一巡して売上が伸びず、利益率はピークに達します。市場占有率も固定化に向かうでしょう。各企業が製品シェアを奪いあうため、少数の企業が市場シェアを獲得している状況です。
また、成長期の販売の伸びに比べて減速する期間でもあります。
利益は安定的に得られるか、もしくは価格競争の激化によって減少していきますが、差別化した製品が生き残る時期でもあります。
衰退期
顧客が製品に飽きて代替品が登場する、あるいは製品が陳腐化するなど売上・利益共に減少する段階です。
この時期になると利益の見込み次第で製品の販売中止や市場からの撤退を検討する必要が出てきます。
製品の大幅なリニューアルによりテコ入れに成功すれば製品寿命を延ばすことも可能です。
テクノロジーライフサイクル
プロダクトライフサイクル(PLC)はマーケティングの古典的理論で、製品やサービスによってはPLCがS字カーブを描かない製品もあります。
特にテクノロジーの進化が目覚ましい現代では、製品寿命とS字カーブにズレが生じることも多々あります。
そこで、90年代に米国のビジネスコンサルタント、ジェフリー・ムーアによって提唱されたのがテクノロジー・ライフサイクルです。
テクノロジー・ライフサイクルは、製品のライフサイクルにともなう顧客層の変遷に着目し、顧客層を5つの領域に分けています。
イノベーター
新しいテクノロジーに関心を持ち、それらが導入された新製品を追い求めるITマニアと呼ばれるユーザーです。
イノベーターは常に最先端のスペックを持つ製品を先取りしようと考えています。
iPhoneの新型が出るたびに店頭に行列を造るようなユーザーが属するのがイノベーター領域です。
アーリー・アドプター
プロダクトライフサイクルの早い段階で、新しいテクノロジーを採用した新製品を購入するユーザー層です。
他者の導入事例・実績がなくても新製品導入を積極的に行います。
新しいテクノロジーがもたらす利点を理解した上で、購入を検討するこの層は「オピニオンリーダー層」とも呼ばれるユーザーです。
アーリー・マジョリティ
新製品導入の検討要素としては、新しいテクノロジーより実用性に重点をおきます。プロダクトライフサイクルにおける市場成長後期の購入者はアーリーマジョリティ層がメインです。
新製品を購入する前に他者の導入事例を見ながら製品購入を検討します。
アーリー・マジョリティ層は全体の13%を占めるとされ、この層をいかにして取り込むかが製品シェア拡大・利益拡大のポイントです。
レイト・マジョリティー
新しいテクノロジーにはどちらかというと懐疑的であり、「他者も使用しているから」という導入モチベーションが強いユーザー層です。
このユーザー層は業界標準の確立をまって、手厚いサポートが受けられる大企業から製品を購入したがる傾向にあります。
レイト・マジョリティも全体の13%を占めるとされ、重視すべきユーザー層です。
ラガード
新しいテクノロジーに関心を示さないユーザー層です。
新しいテクノロジーを採用した新製品には懐疑的または否定的で、旧来の製品を使い続けます。
ラガードがハイテク製品を買うのは使用製品が壊れたり、他の製品に新しい技術が組み込まれてハイテクの特徴が目につかなくなったときです。
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プロダクトライフサイクルとキャズム理論
プロダクトライフサイクルにおいて成長期に突入できず製品が消えていく要因は、導入期と成長期の間にある「深い溝」です。
テクノロジーライフサイクルのアーリー・アドプターとアーリー・マジョリティとの間に存在する溝とほぼ一致します。
この超えられない溝をキャズムといいます。
アーリー・アドプターが新しいテクノロジーに変革の手段を求めるのに対し、アーリー・マジョリティーが求めるのは実用性です。
この相反するユーザー層の深い溝を越えて新製品を市場に浸透させるためには、アーリー・マジョリティの取り込みと橋渡しが重要になります。
キャズムをいかに乗り越えるかが現代のプロダクトライフサイクルに関わる重要事項でもあるのです。
プロダクトライフサイクルにおける段階ごとの戦略
プロダクトライフサイクルには段階ごとの製品戦略が必要です。各段階のマーケティング戦略について解説します。
導入期のマーケティング戦略
基本的製品を提供して価格はコストプラス方式を採用するのが、一般的な製品戦略です。
流通は選択的流通市場が立ちあがっていない段階であり、製品は認知度を高める必要があります。
そのため広告宣伝を通じて製品の価値を認知させることが最重要課題です。
大規模な販売促進活動が必要とされます。
成長期のマーケティング戦略
製品を拡張し、サービスや保証を充実させるのが製品戦略の基本です。
流通では開放的流通により多くの製品を出荷できるよう生産ラインの拡大が行われます。
またサービスの充実や保証の提供により、多くの製品を多くの人へ届ける体制を整えます。
マーケットに知名度と関心を築く広告戦略が必要です。
成熟期のマーケティング戦略
製品戦略の基本は、ブランドやモデルの多様化や競合他社に匹敵する価格設定です。
流通は開放的流通であり、成熟期は製品が市場に行き渡り成長期に比べて需要が少なくなります。
このため価格競争に陥りがちであり、ブランドやモデルの多様化が必要です。
ブランドとベネフィットを強調する広告戦略が成功の鍵といえます。
衰退期のマーケティング戦略
製品戦略の基本は「弱いアイテムを消滅させる」「製品価格の値下げる」、流通は選択的流通に戻す形です。
マーケット自体が衰退していく時期なので、利益率が低いアイテムは取り下げます。
また値下げしても利益が出る販路を選択する、ロイヤルユーザーに絞って広告を展開するなどマーケティング戦略全体の見直しが必要です。
製品の市場寿命を延ばすブランド戦略
プロダクトライフサイクル(PLC)のS字曲線を描かない製品もあると先述しました。
これには各製品によるパターンやテクノロジーに影響されたり、景気の影響などさまざまな要因があります。
こうした影響を回避して製品の市場寿命を延ばす有力な手段の一つがブランドの確立です。プロダクトライフサイクルに影響されないロイヤルユーザーを獲得するには、ブランドの確立が至上命題です。
日本は創業200年以上の企業が世界一多く残る老舗大国です。
しかし、ブランドの確立という点で成功している日本企業は多くありません。テクノロジーで世界を席捲した日本の家電企業も、海外家電と同列に比較されることが増えました。
日本企業が世界市場で生き残るにはブランドの確立が急務かもしれません。
プロダクトライフサイクルとCRM
プロダクトライフサイクルとマーケティング戦略は切っても切れない関係です。
現在はマーケティングの転換期であり、テクノロジーの進化がプロダクトライフサイクルとリンクしています。
さらに現代はITの大きな進化がマーケティング戦略自体を変化させている状況です。プロダクトライフサイクルは製品寿命という点で新規顧客獲得にリンクしているといえます。
しかし、モノが売れなくなる時代に突入した現在、既存のサービスや既存顧客の維持による収益効果を狙うマーケティング戦略が必要です。
このことにより、CRM(カスタマー リレーションシップ マネージメント)が注目されるようになってきました。
CRMとは以下を指します。
・既存顧客の情報を蓄積・分析
・企業にとって顧客を識別
・ターゲットとする顧客ごとにメリハリの利いたマーケティング
・顧客との関係を継続的に構築
・顧客満足と自社の利益の最大化を図ること
プロダクトライフサイクルには「製品」だけではなく「サービス」も含まれています。これからのプロダクトライフサイクルを考えるには、CRMの概念は重要になるでしょう。
製品の市場寿命に詳しい人材として転職!
製品の市場寿命に詳しい人材は何処の企業にも求められる優秀な人材のはずです。
マーケターに限らず企業はプロダクトライフサイクルやマーケティング知識を持った人材を求めています。
プロダクトライフサイクルとマーケター
プロダクトライフサイクルを予測できるマーケターはどの企業も欲しています。
しかしプロダクトライフサイクルを予測するには、気象予報士並みの実践と高度なマーケティング知識が必要です。
ブランドの確立とCRMの実践、この二つがこれからの日本のマーケターに求められる要素といえます。
製品の市場寿命に詳しい人材になる
以前の日本企業の場合、企画・製品開発・販促・営業・電算室(データ収集)・マーケティングというように各セクションが独立して作業を行っていました。
しかし、現在はITの進化のより様々な企業や業種でダイレクトマーケティングが可能になり、各セクションがリアルタイムに繋がっています。
つまり、マーケティング以外の部署でもマーケティング知識や製品の市場寿命を意識した業務が求められるのです。プロダクトライフサイクル(製品の市場寿命)に詳しい人材は転職にも有利になります。
まとめ
製品の市場寿命を予測するのは非常に困難なことです。
しかし、市場寿命を常に意識して業務を進めることで、製品の市場寿命に詳しい人材にはなれるはずです。
ブランドの確立やCRMの実践で製品寿命を延ばし企業に求められる人材を目指しましょう。
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