SI業界とは?市場規模や仕事内容を徹底解説
SI業界はシステム構築を通して、企業の課題をITで解決していく業界です。本記事ではSI業界の構造や市場規模や今後の動向、向いている人を解説します。是非、業界研究ご参考ください。
目次
SI業界とは?
SIとはシステムインテグレーションの略称で、ITを使って社会に必要なしくみを構築する業界を指します。
多種多様な業界や企業の課題解決のために、システムの企画提案から設計・開発・運用・保守まで全ての工程を手がけます。
システムインテグレーションを仕事にしている会社は、SIer(エスアイヤー)と呼ばれていて、政府が推進しているマイナンバーに利用されている「情報提供ネットワークシステム」などを開発しています。
官公庁や一般企業が提供しているシステムの多くは、SIerが開発に携わっています。
本記事では、SI業界の構造や分類について解説します。
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SI業界の構造
SI業界は、大きく3つの層に分けられます。
ピラミッド最上部の大手SIerは一次請け、中間部の中堅SIerは二次請け、最下部の小規模SIerが三次請けとなっています。
基本的には複数社でシステム構築をするため、企業から発注を受けた大手SIerが中堅SIerへ依頼し、中堅SIerが小規模SIerへ依頼するという構造になります。
業務としては、大手SIerは、システム提案などの上流工程がメインとなり、中堅SIerや小規模SIerは、設計や開発実装などの下流工程をメインに行います。
SI業界の市場規模
総務省の2021年情報通信業基本調査によると、SI業界が属する「情報サービス業」の2020年の市場規模は、18兆7,928億円でした。
内訳は、SIerがメインで行う「受託開発ソフトウェア業」が8兆7,673億円と約半分を占め、次いで「情報処理サービス業」が4兆5,805億円となっています。
企業のDX化が進んでいくことにより、システム開発への投資が続くと予測できるため、SI業界の規模も成長し続けるでしょう。
参考:2021年情報通信業基本調査(2020年度実績)|総務省
世界のSI市場規模と動向
世界のSI市場は、2020年に3,032億米ドル規模に到達しています。
株式会社グローバルインフォメーションによれば、2021年~2026年のCAGRは14.21%で推移するとの予測で、引き続き拡大傾向にあると見込まれています。
クラウドサービスが一般的になり、ビッグデータやSaaSなどの最先端技術を導入する企業の増加に伴い、合理化のためのシステムインテグレーションが需要が高まっているのです。
SI業界の事業内容
SIでは、システム導入に関してワンストップで請け負います。
システムの企画、定義、設計、構築、開発、運用、保守といったすべての工程を担うのがSIです。
基本的にはクライアントの課題解決のためのシステム開発を受託します。
ハードウェアやソフトウェアを組み合わせて、需要にマッチしたシステム構築を行うのがSIの事業内容です。
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SI業界の分類
SI業界は、独立系・ユーザー系・メーカー系・外資系の4つに分類することができます。
独立系SIer
独立系SIerは、親会社やグループをもたず、独自でSIを事業を行う企業のことです。
メーカーやベンダーに捉われず、クライアントに最適なハードウェア、ソフトウェアを提供することができます。
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ユーザー系
ユーザー系は、商社、金融、通信などの企業の情報システム部門が分社してできた企業を指します。
各業界のノウハウを生かし、幅広い業務を手掛けるSIerです。
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メーカー系
メーカー系とは、コンピュータを中心としたハードウェアメーカーの情報システム部門が分社してできた企業を指します。
親会社のハードウェアメーカーと組み合わせたソリューション提案やシステム開発が主となります。
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外資系
外資系は、海外のIT企業の日本法人で、日本市場向けにSIサービスを展開する企業を指します。
主に、海外で開発されたハードウェアやソフトウェアを日本向けに導入しています。
SI業界の現状と将来性
SI業界の現状
IT業界の市場拡大によりSI業界も右肩上がり
システム導入を担うSI業界の現状は、IT業界全体の動向に大きく左右されます。
IT業界は、市場規模の拡大を続けています。デジタル化や自動化が昨今ではさまざまな業界に広まっていることが背景にあると言えるでしょう。
さらにIT業界全体の市場規模拡大を後押ししているのが、DX推進です。
企業のDX推進により需要が高まっている
IT技術を業務フローの改善やビジネスモデル創出に活用するDX化の流れも広まっています。
経済産業省もDX推進に注力していることで、SIの需要は高まり続けることが考えられるでしょう。
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SI業界の人材不足が続いている
人材不足は、SI業界に限らずIT業界全体の課題と言われています。特にSIはシステム導入全般を請け負うことから、幅広い知識が求められるのが特徴です。企業も人材確保が大きな課題となっています。
また、大企業を親会社にもつユーザー系、メーカー系企業に人気が集まりがちな傾向もあり、SI業界に人材不足は慢性的なものになっているのです。
SI業界の将来性
DXの拡大により今後も需要は高まる
DX推進は今後も引き続き拡大すると考えられます。官公庁や自治体、金融機関などの案件は毎年発注されるため、今後も一定の需要が見込まれるでしょう。
デジタル庁が発足し行政のデジタル化が推進されている背景からも、大規模プロジェクトの可能性が予想されるSI業界の将来性は高いと言えそうです。
需要が高まるにつれプラットフォームを自社開発する企業が増加する
近年、プラットフォームを自社開発する企業は増加傾向にあります。
ソリューションを提供できるSIerにとってこの傾向は新たなビジネスチャンスだと言えるでしょう。
今後も人材不足が見込まれる
SIが担うことになるプロジェクトはより大規模になり、需要は高まる見込みです。
今まで以上にスキルの高い人材が求められることから、人材不足はすぐには解消しないでしょう。
SI業界は将来性が高いうえに、IT人材の需要も高いと言えるのです。
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SI業界に属する職種
エンジニア関連の職種
SI業界では、案件によってさまざまなエンジニアが活躍しています。
今回は、エンジニアの中でも特に需要の高い4つの職種を紹介します。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアは、クライアントからヒアリングした内容をもとに、システム構築から、導入・動作テストなど、一連の開発工程に携わります。
開発するアプリケーションによって異なりますが、Javaや、C、C#、PHPなどのプログラミング言語のスキル、ソフトウェアやハードウェアなどの幅広い知識が求められる職種です。
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サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、サーバーの構築や運用、保守を行います。
サーバーには、データベースサーバーやファイルサーバー、Webサーバーやアプリケーションサーバーなどの種類があり、各種新設入れ替えを通して、デバイスの多様化やセキュリティ強化、情報処理の煩雑化という課題に取り組むことで、ITシステムのインフラを支えています。
担当するサーバーによって異なりますが、ベースとしてWindowsやLinux、Mac OS、UNIXなどのOSやネットワーク全般に関する知識が求められます。
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ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、コンピューターなどをルーターやLANケーブルでつなぎ、安全かつ安定したネットワーク環境を設計・構築・運用します。
快適なネットワークは社会インフラにおいて必要不可欠であり、障害が発生した場合にはユーザーに多大な影響を与えてしまうので、トラブルが発生したときは、迅速な対応が求められます。
さらに近年では、ファイアウォールやセキュリティなど、ネットワーク機器に関する知識が必要とされていて、クラウドに関する知識も重視されています。
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セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは情報セキュリティに特化したエンジニアで、セキュリティ機器の導入や、サイバー攻撃やシステム障害による情報漏洩を防ぐための対策を行います。
近年、様々なサービスがネットワークで繋がるようになり、情報漏洩のリスクも高くなっていることから、情報管理に対する危機意識が高まり、セキュリティエンジニアという職種が注目されています。
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営業関連の職種
SI業界で活躍している営業系の職種を3つ紹介します。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、経営視点からクライアントの課題を抽出し、IT技術で解決する方法を提案します。
そのため、クライアントの業界や業種、市場動向など、網羅的に情報を把握しておく必要があり、顧客から課題を引き出すコミュニケーション能力や課題発見力、受注後の開発スケジュールやチームの調整を担うマネジメント能力が求められます。
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セールスエンジニア
セールスエンジニアは、IT技術と営業のスキルを併せもったエンジニアを指し、クライアントへの製品の提案や契約後の導入サポートを行います。
個人で企業を訪問する場合や、営業に同行して技術的なサポートをする場合もあります。
IT技術の知識と営業のスキルの両方を兼ね備えているため、クライアントの潜在的ニーズを引き出し、解決策を提案することができます。
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プリセールスエンジニア
プリセールスは、ITエンジニアとしての知識を活かして営業担当をサポートします。
営業に同行して、システムの導入を検討しているクライアントから技術的な課題やニーズを引き出し、技術面から支援するため、ソフトウェアなどIT技術に関する知識や、課題解決力、コミュニケーションスキルが求められます。
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SI業界で働くメリット
SI業界について、職種について解説してきました。
そのうえでSI企業で働くとどのようなメリットがあるか解説します。
業界の需要が安定している
SI企業の大きな特性として、BtoBのために取引先からの需要が安定しているという点があげられます。
特に、官公庁や金融、医療機関分野に特化したSI企業ではより安定性が高く、そもそも現代においてシステム開発の需要自体がなくなる事は考え難いからです。
加えてSI企業は人手不足に陥りがちです。
未経験からでも挑戦しやすく、キャリアアップを望める環境を得やすいため、長期的なキャリアパスを考えている人に向いていると言えるでしょう。
IT人材として多様な経験が積める
システム開発は、要件定義、設計、開発、運用と順を追って進める手法を「ウォーターフォール型」と呼びます。
後半の開発・運用は「下流工程」と呼ばれ、開発における具体的な技術を身につける事が出来ます。
前半の要件定義・設計は「上流工程」と呼ばれ、クライアントとのやり取りや進捗の計画が担当です。
SI企業ではこのように、システム開発における全工程を経験出来るうえに、業務は幅広い分野に需要があります。
さまざまなプロジェクトに携わる事で多様な業界で通用するスキルを身につけられるのです。
SI業界で身についたスキルは転職後も役立つ
上記のように身についたスキルは、他企業や他業界でも通用するものが多くあります。
プログラミングなどIT業界で必須スキルはもちろん、基本的なビジネススキルの多くはSI企業に勤めるうえで身につくでしょう。
さらに幅広い人脈を形成しやすい環境でもあります。
キャリアアップやキャリアチェンジに役立つ人脈や業界知識は、長い目で見て財産となり転職後や独立後も大いに役立つでしょう。
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SI業界で働くには
SI業界への転職を考えるうえで、「自分に適性があるのか」「どんなスキルがあれば転職できるのか」といった不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
ここから、SI業界に向いている人やSI業界で役立つスキルを解説します。
SI業界に向いている人
SIerはプロジェクトを通して多くの人と関わったり、プロジェクトを管理する機会が多いため、「コミュニケーション能力が高い人」や「マネジメント能力が高い人」に向いている業界です。
また、チームメンバーと協力してプロジェクトを成功に導いていくため、「仲間と共に成果を出すことが好きな人」にも向いているでしょう。
SI業界で役立つスキル
SI業界に未経験で転職する際、必須のスキルや資格は特筆してありませんが、転職活動において役立つ資格はあります。
ここから、SI業界への転職活動を後押ししてくれる資格をご紹介します。
基本情報技術者試験
IT人材として必要な知識や技能を持つことが証明できる、「ITエンジニアの登竜門」ともいえる資格です。
顧客の課題に対し、情報技術を活用した戦略立案に参加することや、システムの設計や開発を行うほどの実力があることの証明になります。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は現場を統括し、計画、実行、管理できるIT人材であることを認定する国家資格です。
そのため、プロジェクトマネージャ試験に合格することで、主導的にシステム開発プロジェクトのマネジメントができる人材であることを証明できます。
AWS 認定
AWS 認定は、Amazon Web Servicesに関する専門知識やスキルを有していることを証明する資格です。
近年、AWSでシステムを開発する企業が多いため、AWSを運用・保守ができる人材の価値が上がっています。
AWSの認定試験は全部で12個あります。
・Cloud Practitioner
・Solutions Architect(ASSOCIATE)
・Developer
・SysOps Administrator
・Solutions Architect(PROFESSIONAL)
・DevOps Engineer
・Advanced Networking
・Data Analytics
・Database
・Machine Learning
・Security
・SAP on AWS
初心者の方は、基礎のCloud Practitionerの取得から始めると良いでしょう。
SI業界への転職のポイント
SI業界へ転職するためには、SI業界の知識とプログラミングスキルが必要です。
IT業界経験者は業務で培ったプログラミングスキルに関して、しっかりと棚卸しをしてSI業界でも評価される強みを見つけておきましょう。
特にIT業界では実務経験が評価されやすい傾向にあるため、インターンやアルバイトなどでもSI業界の経験があればアピール材料になります。
また、SI業界を体系的に理解するためには関連書籍が役立ちます。
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SI業界は日々新しい技術が増えているため、トレンドを押さえた技術を習得することが大切です。
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