スタートアップとベンチャーの違いを解説!日本はスタートアップやベンチャーが少ないと言われる理由は?
今回は、近年注目されているスタートアップに焦点を当て、ベンチャーや中小企業、スモールビジネスなどと比較しながらその特徴に触れていきます。また、実際に存在するスタートアップもいくつか紹介しています。具体的な企業名や事業内容に触れながら、よりスタートアップへのイメージを明確化しましょう。
目次
スタートアップとベンチャーの違いは?
まずは、スタートアップとベンチャーはそれぞれどんな意味があるのかについて解説していきます。また、よく勘違いされがちな中小企業やスモールビジネスとの違いについても触れていきます。
スタートアップとは?
スタートアップとは新しいビジネスモデルを開発し、市場を開拓することです。一般的には、革新的なアイデアで短期的に成長し、創業年数が短い企業をスタートアップと呼びます。
スタートアップは急成長を目的としていて、誰も考えられないアイデアで市場を開拓し、短期間で急成長をするのが目的です。
スタートアップは元々、GoogleやAppleといった今のIT社会の象徴ともいえる企業が集結するアメリカのIT激戦地「シリコンバレー」で発生し、今も世界中に広がりを見せています。
日本では、代表的なスタートアップ企業に「株式会社メルカリ」や「Preffered Networks」などが挙げられます。どれも最新のアイデアと革新的な技術で急成長を遂げた企業となっています。
ベンチャーとは?
一方でベンチャーとは、既存のビジネスモデルを元に新しいサービスやビジネス、事業を展開することです。
資本金や創業年数などで明確な基準があるわけではなく、新しいアイデアや技術を用いて成長過程にある企業を総じてベンチャーと呼びます。
ベンチャー企業は社員数が100名以下と小規模から中規模である上、スタートアップのように革新的なイノベーションは求めていません。長期的に少しずつ成長することを目標に、着実に黒字営業を目指します。
その他に、メガベンチャーという言葉もあります。
メガベンチャーは、成長したベンチャー企業を指し、大企業と同等の規模ながらチャレンジしやすい社風であることが特徴です。
ベンチャーの代表的な企業には、Yahoo!JAPANで有名な「Zホールディングス」や、就活エージェントや学習サービスなど様々な事業を展開する「リクルートホールディングス」などがあります。
中小企業やスモールビジネスとの違い
中小企業との違い
スタートアップやベンチャーも、大きくは中小企業のカテゴリーに含まれます。ただ、スタートアップ・ベンチャーと中小企業では、働き方に大きな違いがあります。
一般的な中小企業はオフィスに通う従来の働き方が多い一方、ベンチャーではリモートワークやフレックス制など様々な働き方を取り入れているのが特徴です、
好まれる人材も中小企業では「協調性」が多いのに対し、スタートアップ・ベンチャーでは「スキル」や「好奇心」「向上心」などが求められます。
スモールビジネスとの違い
スモールビジネスとは、小規模なビジネスのことを指します。個人事業主や小規模事業者などが代表的です。少額の資金で起業でき、かつ自身の裁量で事業を成長させられるといったメリットがあります。
スタートアップやベンチャーとの違いは、事業の規模にあります。スモールビジネスに比べて、スタートアップやベンチャーは事業の規模が大きいのが特徴です。
スタートアップやベンチャーは事業開始・成長にある程度の資金が必要な一方、スモールビジネスなら少ない資金で始められます。
日本のスタートアップとベンチャーの現状
日本はスタートアップやベンチャーが少ない?
日本の経済産業省によると、現在日本には全部で約10,000社のスタートアップが存在しています。
一見すると多いように思いますが、アメリカのスタートアップが約72,560社、中国のスタートアップが約25,670社であることを考えると、まだまだ少ないことが分かります。
日本のスタートアップは、資金調達が難しく、起業家精神が育ちにくい環境であることが理由として考えられます。
資金調達が難しい理由の1つとして、日本にベンチャーキャピタルの規模が小さいことやエンジェル投資家が少ないことが挙げられます。
2020年の日本とアメリカのベンチャー投資額を比較すると、アメリカでは16.7兆円(12,300社)投資されたのに対し、日本は、1500億円(1,200社)です。
「レイターステージ」と呼ばれる事業の収益化に成功している段階で必要な巨額投資に対応できるベンチャーキャピタルが少なく、そこから先の成長に繋がらないという事象が起きています。
また、起業家精神が育ちにくい理由としては、起業活動自体が社会へ浸透していないことが挙げられます。
みずほ情報総研によると、日本では「新しくビジネスを始めて成功した人は高い地位と尊敬をもつようになる」と考える人が世界的に見て少ないという結果が出ています。
起業することに対してプラスのイメージがないため、起業という選択をしない人が多いと考えられます。
参考:J-Startup『https://www.j-startup.go.jp/』
みずほ情報総研株式会社『起業家精神に関する調査』
大学発ベンチャーの増加
大学発ベンチャーとは、大学の学生、教職員、卒業生によって設立された企業・組織のことで、大学で達成された研究成果により得た新たな技術・ビジネス手法を事業化することを目的としています。
大学発ベンチャーの代表例として、「s-muscle」が挙げられます。東工大と岡山大学の合弁会社として設立され、空気圧駆動の薄型人工筋肉の開発・販売などを手掛ける会社です。
2023年2月現在、大学発ベンチャーの数は3,306社となっており、ここ10年で2倍近く増加しています。そして、今後も増加していく見込みです。
日本政府の支援策
イノベーションを促進して新産業を創出するために、日本政府も国を挙げてスタートアップ・ベンチャーを支援しています。
例えば、グローバルな視野と成長の可能性を持つスタートアップを育成するために、日本貿易振興機構 (JETRO) は、集中的なメンタリング コースである「Startup City Acceleration Program」を開始。
また経済産業省も、J-Startupプログラムなどのさまざまな取り組みを通じて、スタートアップや新規事業を支援しています。
スタートアップとベンチャーのさまざまな違い
ビジネスモデル
スタートアップとベンチャーは、ビジネスモデルの点で大きく異なります。
ベンチャーは、既存のビジネスモデルをベースに収益性を高められるよう工夫したり、よりスケールを拡大したりすることで売上の拡大を目指す組織です。
一方のスタートアップ企業は、イノベーションをもたらせられるような、今までにない新しいビジネスモデルを自分の力で構築していく組織です。
つまり、元々あるビジネスモデルをベースにより発展させるのか、はたまた今までになかった革新的なアイデアを生み出すのか、という違いがあります。
企業成長のスピード感
スタートアップとベンチャーは、企業が成長するスピードにも大きな違いが見られます。
ベンチャーは、創業から3〜10年という長いスパンを考え、ゆっくりと事業を拡大していくのが特徴です。企業成長のスピードは比較的遅く、時間をかけて確実に土台を固めていきます。
一方でスタートアップは、創業から3年以内の成長を目指し、急速に資金調達を行い拡大するのが特徴です。
企業成長のスピードは速く、短期間で数多くのトライアンドエラーを繰り返して経験値を積んでいきます。
資金調達方法
ベンチャーとスタートアップには、資金調達の面でも違いが見受けられます。
ベンチャーの資金調達方法には、投資家から給付をしてエクイティ・資金を得る、金融機関から創業を受けたデット・ファイナンス、補助金や助成金を申請する方法などがあります。
ベンチャーは既存のビジネスモデルをベースに着実な成長を目指すため信頼性が高く、融資や助成金・補助金を受けられやすいのが特徴です。
一方スタートアップの資金調達には、個人投資、ラブマネー、ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、クラウドファンディング、ビジネスインキュベーターなどの方法があります。
スタートアップは新たにビジネスモデルを展開するため、前例がなく信頼性が低いのが特徴です。銀行から融資を受けたり、助成金・補助金を受けたりするのは難しいと言えるでしょう。
働き方
スタートアップとベンチャーは、仕事の仕方や給与にそこまで差はありません。
ここからは具体的に、両者の差はそれぞれどれくらいで、どんな共通点があるのかを解説していきます。
仕事
スタートアップとベンチャーはどちらも、野心を持って100%以上の努力をし、革新的なプロジェクトに取り組む機会や、社会に影響を与える機会に触れる機会が多いのが特徴です。
また、スタートアップとベンチャーにはどちらもIT系が多く、プロダクトマネージャーをはじめとして以下の様々な職種によって構成されています。
・最高技術責任者
・エンジニアリング担当副社長
・ エンジニア
・製品担当者
・販売員
・事業開発
・マーケティング
・アカウント管理/カスタマーサービス
・オフィスマネージャー
など
給与
2021年に実施した調査によると、日本のスタートアップ企業の平均給与は約650万円です。前年度と比べると7%増加しており、日本の平均年収である403万円をはるかに超えています。
ベンチャーは企業数が多いため平均年収は380万円程度と低いものの、リクルートホールディングスや楽天、DeNAといった勢いのある大手ベンチャー企業の場合は、平均年収1,000万円を超えることも可能です。
どちらも事業に成功して会社が利益を出せていれば、給与も右肩上がりで高くなる傾向にあります。
メリット・デメリット
ベンチャーやスタートアップで働くメリット・デメリットには、次のようなものが挙げられます。
メリット
・やりがいを感じやすい
・幅広い領域の仕事を経験できる
・社内の風通しが良い
・年齢や社歴に関係なく評価される
デメリット
・仕事量が多い
・社内の体制が変わりやすい
・福利厚生に期待できない場合がある
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スタートアップ・ベンチャーに向いている人
野心家な人
スタートアップとベンチャーはどちらも、創造性と革新性について迅速に考え、さまざまな問題に対して創造的な解決策を見つけられるかが大切になってきます。
そのためには、「新規事業を立ち上げたい」「将来起業したい」といった、新しいことへの情熱や野心は必須です。
特に短期間で高い水準まで成長を目指すスタートアップでは、責任ある仕事や役割を任される機会が格段に増えます。
新しい技術や知識を獲得し、行動に責任感を持てる人が望ましいです。
主体性をもって働きたい人
スタートアップとベンチャーはどちらも自発的にどんどん仕事を行なっていく必要があります。
そのため裁量を持って幅広い業務に取り組みたい人などが最適です。
少数精鋭の若手で構成されることもめずらしくなく、上司からの指示を待ったり先輩の意見を重視する働き方よりも「自分が会社を動かす」という気持ちを持った人が向いています。
情報収集力に長けている人
ベンチャー、スタートアップどちらにおいても未知の領域への興味・関心が必須です。
好奇心旺盛で新しいことが好き、自ら進んで情報収集を行えるというタイプの人は本領発揮できるでしょう。
例え自分がまったく知識をもっていない領域の事業であったとしても、進んで楽しもうという気持ちがある人が活躍できます。
スタートアップやベンチャーの企業を紹介
ここからは、スタートアップやベンチャーにどんな企業があるのかについて紹介していきます。
具体的な企業名や事業内容を知ることで、さらにスタートアップ・ベンチャーに対してはっきりとしたイメージをもてるようになるはずです。
スタートアップ企業の例
Preffered Networks
Preferred Networksは、ディープラーニングなどの機械学習をはじめ、様々な最先端技術の実用化を目指す日本企業です。
また、ワイヤレスや光ファイバーケーブルを利用して、企業をインターネットに接続するビジネスインターネットサービスも提供しています。
Preferred Networksの評価額は、3,536億円です。
ADVASA
ADVASAは、世界中にフィンテック、IoT、およびブロックチェーンテクノロジーといった金融サービスを提供する企業です。
福利厚生ペイメントサービス「FUKUPE」をはじめ、「EWA」という新しい給与システムの構築など、様々な事業を展開しています。
ADVASAの評価額は、2,301億円です。
GVE
GVEは、グローバルな視野を持ち、日本だけでなくネパールなどでも活躍するDXプラットフォーム企業です。
ユーザーがデジタル法定通貨を使用して支払いを行えるようにする中央銀行デジタル通貨プラットフォーム (CBDC) の開発に取り組んでいます。
GVEの評価額は、2,245億円です。
ベンチャー企業の例
Zホールディングス
Zホールディングス株式会社は、グループ経営、ヤフー事業、金融グループ経営などの様々な分野で事業を展開する企業です。
現在は、ダイバーシティとインクルージョンの促進、環境への影響の軽減、持続可能なテクノロジーへの投資など、「ESGイニシアチブ」に積極的に取り組んでいます。
<求人例>
ソフトウェアエンジニア
・年収 530〜800万円
・仕事内容
ZHDグループ全体で活用されるID連携基盤システムのアプリケーション開発
ZHDグループ全体でのアカウント管理システムのアプリケーション開発・フロントエンド、バックエンド、
アプリSDK 開発、保守
リクルートホールディングス
リクルートホールディングスは、オンラインプラットフォームを通じて、求職者の就職・転職活動と、中小企業 を含む雇用主の募集および雇用活動に焦点を当てたグローバルビジネスグループです。
またリクルートグループでは、社員の様々なボランティア活動を支援しています。熱意のある様々な従業員グループが、好奇心を最大限に追求し、互いに切磋琢磨しています。
DeNA
DeNAは、モバイルポータル、eコマース、Webサイト構築などの様々な事業を展開する企業です。
現在は、モバイル ゲーム アプリケーションとプラットフォームの開発と販売のほか、ライブストリーミングやスポーツ、ヘルスケア関連、エンターテイメントコンテンツ配信サービスなどのサービスを提供しています。
<求人例>
インフラエンジニア・SRE
・年収 600〜1,000万円
・仕事内容
新規サービス開発のための環境の設計と構築
処理速度やリソースに過不足がないかなど、性能とキャパシティの管理
スタートアップを支援している企業の例
フォースタートアップス
フォースタートアップスは、スタートアップとして活動を考えている起業家を支援することに焦点を当てた企業です。
日本でスタートアップの文化を育むために、熟練労働者へのアクセスやエンジェル投資家、高等教育リソースなどの様々なリソースを提供しています。
<求人例>
フロントエンドエンジニア
・年収 450〜700万円
・仕事内容
自社開発Webサービス『STARTUP DB』(スタートアップデータベース)の企画・機能開発・保守運用
新規サービスの企画・設計・開発
ユーザベース
ユーザベースは、スタートアップの企業活動を支援して情報インフラとプラットフォームを提供する企業です。
データやコンテンツなどのビジネスインテリジェンスを活用して、複数の事業やサービスを運営しています。
<求人例>
マーケティング
・年収 570〜750万円
・仕事内容
Marketo、Salesforceを利用した顧客に対するナーチャリング施策考案、運用、検証、改善
メールマガジンの原稿作成
裁量をもって働きたい方は、スタートアップやベンチャーに転職してみよう!
今回は、近年注目されているスタートアップに焦点を当て、ベンチャーや中小企業、スモールビジネスなどと比較しながらその特徴に触れていきました。
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