バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違いは?注目される理由、企業8選も解説
バーティカル(Vertical)SaaSがIT分野で注目されています。バーティカルSaaSとは、業界・業種特化型のSaaSですが、ホリゾンタルSaaSの違いをご存知でしょうか?今回はバーティカルSaaSの特徴やホリゾンタルSaaSとの違い、注目企業8選を紹介します。
目次
バーティカルSaaSとは?ホリゾンタルSaaSとの違いは?
バーティカルSaaSとは?
バーティカルSaaSとは業界・業種に特化したSaaSのことで、業界特有の問題解決を可能にすることを得意としています。
Verticalは「垂直」を意味しており、ある業界・業種にとって使いやすくなるよう、機能や使用感を深掘りしていく「垂直方向のSaaS」として、バーティカルSaaSと呼ばれています。
バーティカルSaaS 3つの特徴
・業界・業種に特化している
・開発の難易度が高い
・老舗企業がリードしている
業種・業界に特化しているのは、長年特定の業界を悩ませてきた課題を解決することが目的だからです。
つまり、対象となる業界に深い知見がある老舗企業が開発に向いていると言えます。
どんな分野で使われている?
具体的には主に以下のような分野でバーティカルSaaSは利用されています。
・医療
・不動産
・建設業
・EC
・飲食業
バーティカルSaaSは専門性の高い業界や、独自のノウハウを保持している分野で使用されているのです。
バーティカルSaaSのメリット・デメリット
開発難易度の高さゆえに、ライバルの少なさがバーティカルSaaSのメリットのひとつだと言えるでしょう。
新規参入の場合では競合が少なく、高い市場シェアを獲得するチャンスが大きいと考えることができます。
早期参入のメリットは、ユーザーの獲得だけでなく囲い込みの点にもあります。
一方でバーティカルSaaSを必要とする領域の特性上、そもそも市場が比較的小さいために導入数も少なく、事業拡大が難しいという点がデメリットとして挙げられます。
対象の業界では高いシェア・高い知名度を誇ることができますが、限定的であるために一般的な知名度を上げることも難しいです。
バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSの違い
簡単にいうとバーティカルSaaSがある特定の業界・業種に特化した特化型SaaSであることに対してホリゾンタルSaaSはチャットツールや会計ソフトなど汎用的に使えるSaaSであるという違いがあります。
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エス・エム・エス
事業紹介
株式会社エス・エム・エスでは「カイポケ」という介護事業者を対象とした経営支援サービスを展開しています。
カイポケは帳票をクラウド上に保存し、必要な時に必要な情報にインターネット上からアクセスして確認・修正可能なうえ、紙で残したい場合には印刷することができます。
また、国保連請求や利用者請求の自動作成や、タブレット・スマートフォンで作成した記録を自動でソフトに連携するサポートなども実現しています。音声入力などを活用し、高齢者の職員が7割以上を占める事業所でも月間数十時間単位での業務削減に成功しているそうです。
求人例
<サーバーサイドエンジニア>
◆年収
500~1,000万円
◆仕事内容
カイポケを中心とした介護事業者領域での開発を行っていただきます。
【具体的な業務内容】
・ユーザーやビジネスサイドの要望のヒアリングや解決すべき課題の選定
・iSSUEを中心としたプロダクト開発
・データモデルの設計
・事業成長を元にしたサービス設計、開発、開発環境の改善
スパイダープラス
事業紹介
建設DXアプリ「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」を開発提供しています。このアプリは建築図面・現場管理アプリを端末にDLすることで、どの施工現場でもよく使用される図面管理、工事写真、電子黒板、帳票出力機能が利用できるものです。
例えば図面管理では、内蔵カメラを使い撮影した写真や端末に保存した写真を図面内に添付することで、現在状況の把握や瑕疵の是正状況などを分かりやすく共有できます。
また帳簿出力をすることで、台帳写真の作成や是正報告書をExcelデータで一括出力することも可能です。
これらの機能は建築現場の大幅な時間短縮を実現し、生産性の向上にも繋がっています。
求人例
<フロントエンジニア>
◆年収
450~800万円
◆仕事内容
リニューアルシステムの開発、運用が主な業務となります。具体的には、新機能追加やUI/UXの改善、パフォーマンス向上、技術刷新、保守開発などがあり、開発手法はアジャイルを取り入れています。
戦略部門や営業部門と仕様をすり合わせながら開発を行い、リリースまで進めていただきます。
【具体的な業務内容】
・図面管理・情報共有システム『SPIDERPLUS』の設計・開発
・開発要件の優先付け
・新規プロジェクトリーダーやエンハンスメントの要件定義
・新機能開発
・実装、コードレビュー、テスト
・リリース
・パフォーマンス監視、改善
・開発プロセスの改善
クボタ
事業紹介
株式会社クボタは創業から130年以上の歴史を持つ企業であり、食料・水・環境に関わる、様々な製品を世に送り出してきています。
農業部門においてパイオニアとされる企業であり、クボタが開発した「KSAS」は栽培履歴等のデータを蓄積し分析することで、収穫量の最大化を実現します。
この「KSAS」は農機の稼働状況やメンテナンスについての自動レポートにも活躍します。
求人例
<クラウドアプリケーション開発>
◆年収
400~850万円
◆仕事内容
クボタが展開するKSASに関わる製品・研究開発業務をお任せ致します。
製品企画を担当するクボタ本体の関係者と協調し、リーダとして開発を進めていただきます。
【具体的な業務内容】
KSASの製品・研究開発
・クラウドプラットフォームに農作業支援アプリを開発構築
・クボタとの要求仕様整理から開発までのプロジェクトリーダー
スマレジ
事業紹介
株式会社スマレジは、主に小売店向けに展開しているクラウドPOSレジ「スマレジ」を展開しています。
スマレジの特徴は商品の販売記録をクラウド上で管理でき、iPhoneやiPadなど身近な端末をハードウェアとして活用できる点です。
スマレジでは決済面だけでなく、受注・発送作業から在庫・売上管理まで全てを一元管理できます。
またECサイトでも利用可能で、様々な業界で活用できる汎用性も備わっています。
求人例
<iOS/Androidエンジニア>
◆年収
400~800万円
◆仕事内容
プロダクトマネージャーや開発チームのメンバーと一緒に、機能制約・システム連携を考慮したユーザーの業務フロー改善を行います。チームのメンバーと仕様や実装の相互レビューを行いながら開発を進めます。
【具体的な業務内容】
・iPhone、iPadアプリの開発/改善
・スマレジが提供するサービスのクライアントサイドの開発業務
・既存アプリケーションの不具合修正や機能追加
・継続的デリバリーに向けた環境整備 (テスト自動化)
・自動テストの設計や実行
・営業やカスタマーサポートがヒアリングした内容を元にした新機能の要件定義
・エンジニア主体での新機能の提案
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バーティカルSaaSの注目企業~ベンチャー企業編~
コドモン
事業紹介
株式会社コドモンは、保育・教育業界向けSaaS「コドモン」を提供しています。
これまで手書き作業が中心だった保育や教育現場に対し、ICTを活用した事務業務の自動化や省力化を通して、先生が子どもと向き合う時間と心のゆとりを持てるための環境支援を行っています。
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求人例
<UI/UXデザイナー>
◆年収
400〜700万円
◆仕事内容
PCを使い慣れていない方にも「使いやすい!」「わかりやすい!」と感じていただけるようなUIデザインをお任せします。
【具体的な業務内容】
・UI/UX視点からのプロダクト仕様検討
・ユーザーインタビュー
・ユーザビリティテスト
・プロトタイプ制作を含むアプリケーションのUI/UXデザイン
・HTML/CSS (Sass) 等のコーディング
・エンジニアがコーディングを担当する際のデザイン監修
・デザインシステム、デザインルールの制定・管理・運用
・他部署との連携、コミュニケーション
・Google Analytics の分析
アルム
事業紹介
株式会社アルムは医療・介護・看護関連システムの開発・保守・運用を基幹事業としています。
株式会社アルムが開発・提供する「Join」は、重要な患者の個人情報漏洩のリスクを回避しながら医療関係者同士がコミュニケーションをとることができるアプリです。
その他、介護事業所向けアプリ「Kaigo」や看護事業所向けアプリ「Kango」では、記録された患者の情報を多職種間で共有できます。
人々の健康意識が高まる傾向が後押しし、自分の健康状態をスマホで登録・確認できるアプリ「MySOS」の利用者も急増しているようです。
資金調達の面では2021年にSOMPOホールディングス株式会社、三井物産株式会社、エーザイ株式会社、ロイヤル フィリップス、株式会社エヌアイデイ等の企業から総額約56億円の資金調達を完了しています。
求人例
<セールス担当>
◆年収
600~800万円
◆仕事内容
『Join Live View』の提案営業をお任せします。同社が提供する医療従事者向けアプリ「Join」を通じ、手術室のカメラや血管造影装置の映像、並びに病棟の生体情報モニター等の映像を高セキュリティ環境下でライブ配信できるソリューションです。
『Join Live View』のユーザーは、脳外科、急性医療外科の医師を中心となりますが、提案営業の先は医薬品メーカー、製薬メーカー等を想定しています。
ユビレジ
事業紹介
株式会社ユビレジは、iPadを活用したSaaS型POSシステム「ユビレジ」の開発・提供をしています。
2010年に世界初のタブレット型POSレジとしてリリースされ、誰にでも使いやすく、売上情報をはじめとする店舗運営のカギを握る情報をスピーディに収集・分析できます。
2023年2月には、株式会社ダイヤモンドダイニングの直営飲食事業全店舗である約250店舗へのクラウドPOSレジ導入に関する契約を締結しました。
求人例
<マーケティング>
◆年収
400〜700万円
◆仕事内容
オフライン・オンライン問わず、イベントを軸としたマーケティング業務に携わって頂きます。
【具体的な業務内容】
・セミナー、ウェビナー企画・運営
(コンテンツ、登壇者折衝、集客プラン、運営、制作管理等)
・キャンペーンの企画、実施
・セミナー・キャンペーンからのリード管理
・SNSを活用したマーケティング
アンドパッド
事業紹介
株式会社アンドパッドではクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」というサービスを展開しています。
「ANDPAD」は施工を一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。
アプリを起動すればいつでもどこでも図面や工程表の最新データを確認する事ができ、現場のコミュニケーションもアナログからチャットアプリへと円滑化できます。
また、海外機関投資家を中心に新規投資家・既存株主を引受先とした第三者割当増資を実施し、併せて、株式会社三菱UFJ銀行と株式会社商工組合中央金庫から融資を受け、総額約122億円の資金調達を実施しています。
求人例
<ソフトウェアエンジニア>
◆年収
400~1,000万円
◆仕事内容
事業を成長させるKotlinエンジニアです。アプリケーション開発をプロダクトマネージャーと協力しながら行っていただきます。Squadの形で動いているため、少人数のチームで素早く、設計〜開発〜テスト、運用まで一貫して携わることができます。メイン以外の言語・FWを触って頂く機会も豊富です。
【具体的な業務内容】
・Kotlin、Flutterを利用した建築現場のコラボレーションアプリ「ANDPAD」の新規機能の開発新規プロダクト向けアプリケーションの設計・開発
・カメラモジュール、チャット機能の高機能化設計・開発
・バックエンドと連携したAPI設計・実装
・プロジェクトマネージャ、デザイナー、QAと協調したチーム開発
・既存アプリケーションのリファクタリング、機能拡張適切なテストコードの実装によるリグレッションテストのコスト削減
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バーティカルSaaSの市場規模と注目される理由
市場が小さくシェアを獲得できる
業界・業種に特化しているという特性上、バーティカルSaaSの市場規模は小さく限定されています。
一見デメリットに感じられますが、市場が小さいということは市場を独占しやすいとも言えるのです。
特に専門性が高い分野では参入のハードルが高い分、競争が少ないという傾向があり、それを利点ととらえる企業が参入に踏み切っています。
市場を独占しやすいということは、選択肢が限られた顧客を囲い込みやすいということでもあります。
顧客との関係構築が比較的容易であり、ロイヤル化しやすい点もバーティカルSaaSの将来性に大きく寄与するでしょう。
市場規模は拡大傾向にある
国内バーティカルSaaS企業の時価総額合計で見ると、2015年時点では0.9兆円でしたが、2023年には約30兆円にまで拡大していると言われています。
先述のとおり、日本では今後専門性の高い医療など分野を筆頭に拡大が続くでしょう。
その背景には、DX推進のための法改正などもバーティカルSaaSをスムーズに普及させる環境をつくり出す一因になっていると考えることができます。
例えば2021年に成立した「デジタル改革関連法」によって、それまでは書面の交付が必須であった不動産取引において、オンラインでの契約などが可能になりました。
DX推進に伴い、従来は書面で行われていた手続きなどが電子化されることによって、バーティカルSaaSの市場規模拡大は後押しされることになるでしょう。
ブルーオーシャンである
これまでSaaS市場をけん引して来たのはホリゾンタルSaaSです。
一方のバーティカルSaaSはまだまだブルーオーシャンであると言えます。
例えば特に専門性が高い医療・ヘルスケア業界では、医療機関や薬局などのオペレーション効率化にバーティカルSaaSの活用が進められています。
専門性の高い業界ほど、今後もバーティカルSaaSが普及すると考えられるでしょう。
IT化が難しいとされて来た業界こそ、今後解決すべき課題に対しバーティカルSaaSの活用が広まることが予想されます。
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バーティカルSaaS企業に向いている人
物事を深く掘り下げて課題解決できる人
バーティカルは特定分野に対する深い知識が必要です。特定分野の課題を掘り下げて、課題の本質を見抜ける力が求められます。
また、バーティカルSaaSに携わる人には「カスタマーサクセス」の視点も役立ちます。
課題解決や自社のサービスを改善していく中で、「売上拡大」「業務効率化」といったクライアントのサクセスに向けてサービス導入からアフターフォローまでを担当し、その中で、課題解決や自社のサービスを改善していく仕事でもあるからです。
目標に対してコツコツと努力できる人
目標のビジョンをしっかりと立てる力や共感する力があるとモチベーション維持に役立つでしょう。
バーティカルSaaSでは、クライアントの使用状況から得たデータをもとに、継続的にサービスの品質を高めていくことが重要視されます。
そのため常に目標に対する共感力を強く持ち、どのような変化があろうともコツコツ努力できる人がバーティカルSaaSには向いている人だといえます。
特定業界のバックグラウンドがある人
バーティカルSaaSは業界に特化しているSaaSのため、業界のバックグラウンドが活かしやすいです。
例えば、建築業界のSaaSの営業などは現場とコミュニケーションを取るため、慣れていたりスキルがあると強みとなります。
また、エンジニアに関しても業界特有のプロセスを理解している方のほうがクライアントが求めている機能や意図を汲みとることができるため、活躍しやすいです。
セールスであれば、IT営業経験がなくとも同じ業界出身者であれば評価されやすいでしょう。
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バーティカルSaaSへの理解を深め、転職しよう
バーティカルSaaSについて、その本質や代表的な企業をご紹介してまいりました。
急速にIT化が進み、スマートフォンを含めたデバイスの発展を機に、今後ますますバーティカルSaaSの業界は広がりを見せるでしょう。
現在バーティカルSaaSは、医療や建築、農業など活躍できる場面が増加傾向にあります。資金調達が順調であり、今後の成長も見込める有望な企業も多数見受けられます。
「エンジニアとしてバーティカルSaaS業界に携わりたい」
「IT業界に転職して年収を上げたい!」
「もっと将来性の高い環境で働きたい!」
などのキャリアのお悩みは是非、「IT・Web業界の知見が豊富なキャリアアドバイザー」にご相談ください!
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