Web3のビジネスモデルとは?注目されている背景や話題のキーワードを解説。注目企業や活用事例を転職エージェントが紹介します。
現在新しいインターネットの概念が生まれており、世界中で広がりを見せています。それがWeb3です。現在、Web3による技術を活用したビジネスモデルも話題になっています。本記事では、Web3が注目を浴びる背景やキーワードを解説し、併せてWeb3の技術で注目される企業や事業展開などの活用事例を詳しくご紹介します!
目次
Web3とは?
Web3とは一言で説明すると「ブロックチェーンという技術を用いた分散型インターネット」です。
これまでのインターネットは、GAFAMをはじめとする大企業の影響力が強い中央集権システムでした。
情報が集中して蓄積されていくシステムであるため、サイバー攻撃やトラブルなどが起きると、そこから大量の情報漏洩が起きる可能性がありました。
そのような問題を解決するために、非中央集権システムで誰でも情報を安全に管理できる「Web3」が生まれました。
注目される背景
プライバシー問題への関心
個人情報が一部の大企業に集中すると、アプリケーション提供者などにより、勝手にデータを参照されたり利用されるプライバシー侵害の危険もあります。
そのため、データ改ざんに強い構造を持つブロックチェーン技術が話題になり、Web3へ注目が集まったのです。
暗号資産やNFTの普及
暗号資産やNFTが普及し始めていることも大きな要因の一つです。
大企業の参入や、参入企業の資金調達額が増加していることから、今後も取引額が拡大していく見込みです。
Web3の展望と課題
Web3のテクノロジーは経済だけでなく、自治体など幅広い世界に影響を及ぼしています。
例えば、日本政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の中で、Web3の推進を戦略として掲げており、経済成長につなげることを目的としています。
今後ますますWeb3のテクノロジーを利用した新しいビジネスモデルやコミュニティが創造されていくと予想されています。
しかし、以下のような課題もあります。
・暗号通貨を取り扱うため詐欺を含め犯罪に狙われるリスクがある
・同じようなサービスが増えて、ユーザーを取り合ってしまうかもしれない
Web3で注目されるビジネス分野
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産(仮想通貨)は「ネット上で構築され、活用される通貨」のことです。
P2Pネットワークで利用され、代表的な暗号資産としてはBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)があります。
形のない電子データ資産であり、管理は全てブロックチェーンにより管理されています。
ある機関の調査によると、2014年1月時点で暗号資産全体の時価総額は約1兆円でしたが、2021年12月上旬には約250兆円にものぼったそうです。
まだ株式に比べると市場は小さいですが、確実に拡大し続けており、伸びしろが大きい市場だといえます。
暗号資産は、国家あるいはその中央銀行が発行した法的通貨ではありません。
特徴としては以下のようなものがあります。
・個人間での直接送金
・手数料が無料または低コスト
暗号資産の場合、仲介組織が存在しないため、個人間でやりとりが可能となり、無料、あるいは安価な手数料で取引などが行えるのです。
法定通貨を使うよりも暗号資産を使う方が、日本から海外への取引などビジネスが容易になるといったメリットがあります。
※暗号資産の市場規模=発行されている暗号資産の時価総額の合計のことであり、時価総額とは、暗号資産1枚あたりの価格に発行枚数を乗じたものです
株式会社第一生命経済研究所『暗号資産『取引所仮想通貨』の衝撃』
NFT
NFTは「Non Fungible Token」の略で、「非代替性トークン」を指し、デジタル資産の「所有権」を明確化することが可能です。
デジタルデータ作品はこれまで無断でのコピーが容易でしたが、ブロックチェーン技術を使うことにより、デジタルデータにもコピーと本物の違いが分かるように証明を付けることが可能となります。
主な内容としてはデジタルアート作品が有名です。他にも不動産、金融などでの活用も開始されています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデータによると、2021年の世界全体でのNFT取引金額は約2.6兆円にものぼり、2020年の約120億円から215倍に拡大しています。
日本はゲームやアニメなどのコンテンツ大国のため、市場規模の拡大が加速するはずです。
またブロックチェーンには遡り過去の取引データが全て残るという特徴があり、以下のようなメリットがあります。
・過去に有名人の所有歴があり、それによって価値が上がる
・取引が行われるたびに製作者に何%か還元されるといった仕組みを構築することが可能
三菱UFJリサーチ&コンサルティング『NFTの市場規模』
メタバース
メタバース(Metaverse)とは一言で表現するならネット上における仮想空間です。
バーチャルオフィスでアバターを使用して会議をすることや、メタバース空間で構築されたマーケットで服やコスメなどを購入できるといったサービスも展開されています。
総務省のデータによると、メタバースの世界市場は2021年に4兆2640億円でしたが、2030年には78兆8705億円まで飛躍的に伸びると予想されています。
ゲームが盛んな日本では比較的メタバースが浸透しやすいと言われており、今後ますます需要が伸びるはずです。
総務省『情報通信分野の現状と課題』
Web3に取り組む企業のビジネスモデル
金融
近年著名人や大企業が続々とNFT市場に参入しています。
日本でもNFTの普及が加速する可能性が高く、ブロックチェーン技術を活用し事業を展開するスタートアップ企業の起業が増えています。
また、少額から購入できる仮想通貨に投資する投資家も増えており、長期投資や積立投資を始める利用者も多くいます。
GMOインターネットグループ株式会社
GMOインターネットグループは、Web3に取り組んでいるグループ会社が多く、暗号資産(仮想通貨)は「GMOコイン」、NFTは「Adam byGMO」などがあります。
また、2022年にブロックチェーン技術などWeb3を用いた事業を行うスタートアップ企業向けのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)GMO Web3株式会社を設立しています。
この企業では、出資や融資だけではなく、Web3のテクノロジー、ノウハウを生かした技術も提供しています。
※CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動組織を指します
ゲーム
ゲーム業界ではブロックチェーン技術を基盤にした、いわゆるWeb3ゲームの開発が盛んになりつつあります。
メタバース上にて、世界を創造することもできます。
また、稼げるゲームとして、GameFi(ゲーミファイ)が注目されています。
GameFi(ゲーミファイ)とは、ゲームとDeFi(分散型金融)を掛け合わせた造語で、ゲームをプレイし、実際に現実の世界でも利用可能な資産である仮想通貨やNFTを獲得できるゲームのことを意味します。
特徴としては以下の3つがあげられます。
・プレイ報酬として仮想通貨を得る
・キャラクターや、武器、防具、土地などのアイテムをNFTとして発行
・ゲーム外のプラットフォームで取引できる
このようにゲームで稼ぐことが可能となり、その資産をゲーム外の中央集権取引所やDEX(分散型取引所)、Web3のウォレットに送金し、交換するといったこともできます。
cocone connect株式会社
cocone connectは、ココネ株式会社から独立したアバター×Web3専業ベンチャーです。
ゲームなどの分野でブロックチェーン技術を用いることで、 居心地の良いデジタルワールドの構築を目指しています。
現在は、『ClawKiss』というブロックチェーンサービスを開発しており、英語圏を中心としたグローバルに展開予定です。
アバターアイテムをNFTとして所有できることで、ユーザーの大事なアイテムの価値がより一層高まり、ユーザーが経済的にも報われるような世界を目指しています。
合同会社DMM.com
合同会社DMM.comは主な事業として独自トークンを軸としたトークン経済圏の構築を目指しています。
DMMは現在、暗号資産(仮想通貨)取引所のDMM Bitcoinを展開しており、事業の中核にはGamiFiとGamiFiプラットフォームの開発・運営等があります。
また、2023年1月23日にWeb3事業に関する新会社「株式会社DM2C Studio(読み:ディーエムツーシースタジオ)」を設立しました。
広告
電通が2022年2月に発表した広告費の調査レポートによると、2021年に初めてインターネット広告費がマスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の広告費を上回りました。
そんな中、インターネット広告の次を見据えてメタバース広告に注力し始めている企業もあります。
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは、博報堂DYグループのインターネット広告代理店です。
2022年5月、国内で初めてメタバース向けの広告枠の販売を開始しました。
また、2022年12月には国内外の複数のメタバース空間・ゲーム空間を横断したプログラマティック広告配信サービス「MarketOne®XR」の提供を開始しています。
今後はメタバース空間における広告だけでなく、企業とタイアップしたアバターコスチュームや3Dアイテム等の配信制御機能も強化していく予定です。
Web3の注目職種
Web3は新しい技術であるため、現在は経験者があまりいません。
そのため開発企業は、まず、エンジニアを確保することが重要になっています。
特に以下のような職種の経験者はWeb3において広く求められているのです。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとは、ユーザーが触れるWebアプリケーションの表の部分を設計するエンジニアのことを指します。
JavaScriptを使えることがフロントエンドエンジニアには必要条件であるといわれています。
NFTやメタバース関連のWebサービスのUI開発などに携わることができます。
バックエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとは逆にユーザーの目に触れない部分、アプリケーションの動的処理やデータベースの要件定義、設計・開発、保守運用を行う仕事です。
ブロックチェーンとの通信システムや暗号資産やNFTの取引システムの構築に携わることができます。
セキュリティエンジニア
サーバー業務や情報セキュリティ専門のエンジニアです。
サーバーの構築・運用・保守のスペシャリストであり、サイバー攻撃への調査や対策の立案をします。
例えば、暗号資産の取引の際に懸念される金融犯罪のセキュリティ対策を実施します。
AWSエンジニア
Amazonが提供するクラウドプラットフォームをAWSと呼びます。
AWSエンジニアは、主に「AWS環境の設計、構築、運用」が仕事です。また特にAWSエンジニアに必要とされるのはシステムインフラの構築です。
AWSの知識やスキルが必要とされ、AWSを活用してシステム開発の効率化をはかり、コスト削減などの役割を求められます。
AWSでは、ブロックチェーンネットワークやメタバース空間を構築することができます。
AI/機械学習エンジニア
AI(人工知能)の開発やデータ分析を行うエンジニアを指します。
膨大なビックデータをコンピューターに与えAIを教育していくことが仕事内容の中核になります。これを「機械学習」といいます。
例えば、機械学習を利用すると、暗号資産やNFT取引の予測モデルの構築を行うことができます。
Web3への理解を深め、転職しよう
特定のサイトをただ閲覧するだけであったWeb1と、SNSなどを利用し双方向でのやりとりを可能にしたWeb2を経て、時代はWeb3に移行しようとしています。
暗号資産・NFT・メタバースと、今後大きく成長する市場を抱えるWeb3という概念について理解を深めることは、自分の未来への投資、大きな利益に繋がるといえます。
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