XaaS(ザース)とは?XaaSの種類や注目の企業について転職エージェントが解説します!
近年、IT界隈や転職界隈でよく耳にする「XaaS」。一体どういう意味なのかが気になっている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、XaaSにはどのような領域が存在し、どんな企業が存在しているのかについて解説します。
目次
増え続けている!XaaSとは?
XaaSとは?
XaaSとは、SaaSやMaaSなど「◯◯ as a Service」と略されるサービスのことで、「ザース」と読みます。
「everything as a service」と言われることもあります。
従来のように専用のソフトウェアを売買するのではなく、クラウドによって提供されるサービスを展開してサブスクリプション形式でサービスを提供することを意味します。
代表的な企業は、AmazonやGoogle、freeeなどです。
これらの企業については、後ほど詳しく解説します。
XaaSが注目されている理由
XaaSが注目されている理由として、以下のようなメリットが挙げられます。
- ・システムの管理が不要
- ・インターネット環境があれば利用できる
- ・導入費用が安い
まずXaaSは、自社内でシステムを自社内で管理する必要がなく、メンテナンスにかかる時間や人員を大幅に減らし、効率よくシステムを運用できるのが特徴です。
また、インターネット環境さえあればシステムを利用できるため、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末からいつでもアクセスできます。
他にも導入時に費用を払うのではなく、使用容量に合わせて料金プランを選ぶ仕組みになっているため、通常のソフトウェアのように導入時に高額な費用を払う必要がありません。
このように導入費用・管理費用が安い上に手間がかからないことで、企業は開発や重要な業務に集中することが可能という理由から注目されているのです。
XaaS導入にデメリットはある?
上述したようにメリットが多いXaaSですが、考えられるリスクは主に2つあります。
1つめは障害発生時の対応が困難である点です。従来のオンプレミス型であれば、自社でサーバーを運用しており専任のエンジニアもいたため、障害の対応は社内で行うことができました。
しかしXaaSの場合ではサービスの事業者が対応に当たるため、復旧の見通しが立てづらいのです。
オンプレミスとXaaSを組み合わせている場合では、さらに復旧は困難となります。
2つめはセキュリティインシデント発生のリスクです。設定を誤った際のリスクが大きいことも理解しておく必要があるでしょう。
パブリッククラウドサービスの将来性
リスクがあるとは言え、Xaasの広まりはパブリッククラウドサービスの市場規模データからも見て取ることができます。
総務省の調べによると、日本国内では2021年時点で1兆5,879億円規模であり、これは前年比28.5%増でした。
ICT基盤の強化にはクラウドが欠かせないことから、今後もパブリッククラウドサービスの市場規模は拡大する予想です。
この傾向は国外でも同様で、なかでもPaaS市場が業界をけん引しています。
(参考:総務省『情報通信分野の現状と課題』)
クラウドサービスのメリット・デメリット
そもそもクラウドサービスの大きな特徴は、データ共有の容易さや規模の拡張が柔軟な点などです。
一方でカスタマイズの制限やベンダー依存というデメリットも存在します。それでもクラウド化が進んでいるのは、コスト面の利点を重視する企業が多いことが挙げられるでしょう。
オンプレミスと違い、予算を設定し使いたい分だけ使うことができるのがクラウドサービスです。
つまり単にクラウド化したから経費削減できるということではありません。クラウドネイティブのシステム自動化などを活用することでソフトウェア運用にかかるコストが削減できるのです。
企業におけるクラウドサービスの利用は約7割であり、最も利用されているサービスが「ファイル保管・データ共有」です。
知識と技術があれば得られるメリットが大きいため、今後もさらにクラウドサービスの需要と導入は拡大するでしょう。
XaaSの身近な例
ここで、私たちの生活の身近にあるXaaSの事例をご紹介します。
例えばNetflixやSpotifyなどを通じてスマホやPC、タブレットがあればどこでもストリーミングで視聴できるサブスクリプションは、XaaSの一例です。
車や自転車のシェアリングサービスも同様に、身近な事例だと言えます。
また医療分野では、患者の情報、診療の記録、予約、請求の管理に用いられているのがXaaSを活用したデータベースです。
医療従事者はこのソリューションを活用することで、医療行為だけでなく医療提供者のワークフロー全体も管理しています。
保険業を本業としていない事業者が保険サービスによって売り上げを伸ばす事例があります。
その背景には金融業界のトレンドになりつつある、APIプラットフォームを活かした「埋込み型保険」というトレンドが影響していると言われているのです。
もうひとつ、行政手続きのデジタル化もXaaSが後押ししています。
オンライン予約やスマート申請窓口といった行政手続きの簡素化は、今後さらに広がる領域だと考えられます。
注目のXaaS 6選
XaaSの領域には25のサービスがあります。その中で代表的な6つのサービスについて詳しく解説します。
SaaS
SaaS(サース/サーズ)とは「Service as a Software」の略で、「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。
ユーザーが自分のコンピューターにソフトウェアをインストールしなくても、インターネット経由でソフトウェアにアクセスできるようにするクラウドサービスです。
ソフトウェアはサービス提供者のクラウドサーバーで管理されているため、ユーザーはインターネット接続があればどこからでもアクセスできます。
PaaS
PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略で、クラウドにあるプラットフォームが利用できるサービスを指します。
ネットワーク、サーバシステム、OSやミドルウェアなどのプラットフォームがクラウド上に用意されており、ユーザーはプラットフォーム上で自由にアプリケーションの開発を行える仕組みになっています。
アプリケーションの開発前段階で必要なサーバー設置やネットワーク設定といった開発プラットフォーム環境の準備にかかる時間や費用を大幅に削減できます。
アプリケーション開発後のプラットフォーム環境のメンテナンスにかかるコストも削減できる点も特徴です。
IaaS
IaaS(イアース・アイアース)とは、「Infrastructure as a Service」の略で、システムを構築する上で必要なサーバーや機材、ネットワークなどのインフラ環境をインターネット上で提供するサービスを指します。
機材とはCPU・メモリ・ストレージなどのことです。
システムを構築する場合、これまではサーバーやソフトウェアを自社で購入して運用・メンテナンスが必要でした。
しかしIaaSの登場によって、自社でサーバーなどのハードウェアを持たずに必要な時に必要なだけサーバーやその他インフラ環境を利用できるようになりました。
FaaS
FaaS(ファース)は「Function as a Service」の略で、サーバーレスでアプリケーション開発ができるクラウドサービスを指します。
インターネットを介してサーバーを利用できるため、自社でサーバーを準備する必要がありません。
サーバー管理を気にせずにアプリケーションを開発することが可能です。
RaaS
RaaS(ラース)は「Retail as a Service」の略で、「小売業のサービス化」を意味します。
顧客データや販売データなど、これまで小売業として蓄積してきたデータを元にサービスを開発し、 BtoBでサービスとして提供するビジネスです。
アナログ業務を見直し、人件費や設備費用の削減や、多様化する消費者ニーズへの対応ができるため、売り上げの拡大につなげることができると人気を集めています。
導入の際、ソフトウェアやハードウェアを購入するのではなくサービスを利用した分だけ費用を支払うため、初期費用を抑えたまま販売チャネルの多様化やランニングコストの見直しを行えるのが特徴です。
MaaS
MaaS(マース)は「Mobility as a Service」の略で、交通機関のテクノロジー化を意味します。
これまでの交通機関や交通サービスに自動運転やAIなどのさまざまなテクノロジーを掛け合わせることで、カーシェアリングサービスや公共交通機関の支払いサービスなどが挙げられます。
MaaSが普及することで、交通の混雑解消や高齢者など交通弱者の対策といったさまざまな問題を解決可能です。
まだまだあるXaaSの種類一覧
その他、アルファベット順でご紹介します。
AaaS
AaaS(アース)は「Analytics as a Service」の略で、ビッグデータの解析・分析に欠かせないツールをクラウド上で提供するサービスです。
BIツールやデータウェアハウス(DWH)と呼ばれるものが該当します。
BaaS
BaaS(バース)は「Banking as a Service」の略で、銀行の機能をクラウド上で提供するサービスです。
「Backend as a Service(モバイルアプリ開発環境のサービス化)」「Backup as a Service(バックアップのサービス化)」「Blockchain as a Service(ブロックチェーン技術のサービス化)」などの意味で用いられるケースもあります。
CaaS
CaaS(カース)は「Container as a Service」の略です。
コンテナオーケストレーションエンジンをクラウド上で提供するサービスのことで、ベンダーロックインの回避というメリットがあります。
CPaaS
CPaaS(シーパース)は、「Communications Platform as a Service」の略で、医療従事者の業務や患者への医療行為を管理するクラウドベースのシステムです。
コミュニケーション関連の機能が充実している点が特徴です。
DaaS
DaaS(ダース)は、「Desktop as a Service」の略で仮想デスクトップを提供するサービスです。
Amazonが提供するAmazon WorkSpacesや、Microsoftが提供するAzure Virtual Desktop に代表されます。
DBaaS
DBaaS(ディービーアース)は「Database as a Service」の略で、データベースを提供するサービスです。
Amazon、Microsoft、Google、Oracleなどが各社サービスを提供しています。
EaaS
冒頭でお伝えした「everything as a service」です。XaaSと同じ意味を指します。
GaaS
GaaS(ガース)は「Government as a Service」の略で、行政サービスのデジタル化を意味します。
デジタルガバメントを実現するためのサービスを提供するバーチャル政府です。
HaaS
HaaS(ハース)は、「Hardware as a Service」の略で、インターネットを経由してハードウェアを提供するサービスです。先述のIaaSに含まれます。
IDaaS
IDaaS(アイダース)は、「IDentity as a Service」の略で、クラウド上のID管理を提供するサービスです。
ゼロトラストネットワークによるセキュリティ強化がメリットで、Googleが提供するGoogle Cloud Identityに代表されます。
iPaaS
iPaaS(アイパース)は「Integration Platform as a Service」の略で、XaaSの代表例のひとつであるPaaSから派生しています。
複数のクラウドサービス間やオンプレミスで独立しているデータなど、複数のシステムを連携するためのソリューションがiPaaSです。
KaaS
日立が研究を進めているのがKaaS(Knowledge as a Service)です。
取得した大量のログデータやセンサデータを高付加価値データに変換して還元するモデルとして定義しています。
LaaS
LaaS(Logistics as a Service)は2019年に国土交通省が発表した物流の課題解決のビジョンです。
NaaS
NaaS(ナース)は「Network as a Service」の略で、仮想のネットワーク技術を活用してクラウド上にネットワーク環境を構築する技術です。
インターネット環境がなくてもNaaSを利用するシステムにアクセスできるというメリットがあります。
STaaS
STaaS(スタース)は、「Storage as a Service」の略で、ストレージを提供するサービスを指します。
Google Cloudが代表的です。
TaaS
TaaS(タース)は、「Testing as a Service」の略です。
アプリの処理負荷や機能テストを自動化することで、時間と費用の削減に加えヒューマンエラーの排除も実現します。
WaaS
WaaS(Windows as a Service)はWindows10のリリースによって更新されたWindowsの新体制です。
おさえておきたいXaaS系企業12選
ここからは、IaaS・PaaS・FaaS・SaaS・MaaSそれぞれの領域でサービスを展開している企業を紹介します。
IaaS・PaaS・FaaSに取り組む企業
Amazon
Amazonは、アメリカを中心に世界中で運営されているオンラインショッピングサイトであり、世界トップレベルのIT企業です。世界でトップシェアを誇るクラウドサービス、AWSを提供しています。
IaaSサービスには、「Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)」があります。 EC2を使用することで、ハードウェアのリクエストを受けずにアプリケーションの開発が可能です。
また、PaaSサービスには、 「AWS Elastic Beanstalk」「AWS Lambda」「 Amazon S3」などがあります。AWS Elastic Beanstalk は、開発者がインフラ環境を整えなくても、クラウド上でアプリケーションを開発および管理できるサービスです。
最後に、FaaSサービスには「AWS Lambda」があります。AWS Lambdaは、イベント発生時にコードを実行し、サーバーの管理なしでコードを実行できるサーバーレス計算サービスです。
Microsoft
Microsoftは、世界中でソフトウェアの開発・販売を手掛ける企業です。また、クラウドプラットフォームも提供しており、 企業のDX化に貢献しています。
IaaS・PaaSサービスには、「Microsoft Azure」があります。Webアプリケーションを開発・管理するためのストレージ、サーバー、ネットワークリソースなどを提供してくれます。
一方、FaaSサービスには「Azure Functions」があります。Azure Functionsは、サーバーレスコンピューティングを実現し、サーバーレスでプログラミングコードを実行できるサービスです。
Googleは、世界最大級の検索エンジンやオンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連の事業を展開する企業です。
IaaSサービスには、「Google Compute Engine(GCE)」があります。GCEを使用することで、ユーザーはクラウド上で Linux 仮想マシン (VM) を実行することが可能です。
また、PaaSサービスには「Google App Engine (GAE)」があります。Googleのインフラ上でPHP・Python・Java・Go言語を使用してwebアプリケーションを開発することが可能です。
FaaSサービスには、「Cloud Functions」があります。Cloud Functionsを利用することで完全にサーバーレスでアプリケーションを実行できるため、面倒なサーバーの構築や保守、負荷対策などの管理が一切必要ありません。
SaaSに取り組む企業
Sansan
Sansan株式会社は、法人向けクラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売を行う日本の企業です。SaaSサービスとして、法人向けの名刺管理サービス「Sansan」や「Eight」を提供しています。
「Sansan」は、名刺管理の煩雑さを解決してくれるソフトです。これまで紙媒体で管理していた名刺を電子データで一括管理することで、より負担なく管理できるようになります。
また「Eight」は、名刺をスマートフォンなどで撮影することで、自動で読み取りデータ化してくれるソフトウェアです。オンライン上で活用できるサービスとなっているため、読み取った名刺データはいつでもどこでも迅速に確認できます。
freee
freee株式会社は、小企業を初めとした法人・個人事業主の事務管理(バックオフィス)を効率化するために、SaaS型クラウドシステムを提供している企業です。
自動会計クラウドシステム「freee」を提供し、確定申告が必要な個人事業者から中小企業、会計事務所や起業関連まで幅広くサポートしています。
また、金融業界の業務効率化に向けたサービス開発も行っており、FinTech企業としても注目を集めています。
アンドパッド
アンドパッドは、建設業界の実施管理に関するSaaS事業を展開している企業です。
建設現場の効率化から経営改善までを一括で管理できるクラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供しています。
写真整理・現場連絡・顧客管理・受発注といった状況等をスマホアプリで確認することが可能です。
RaaSに取り組む企業
b8ta
b8taは、新しい小売り体験を提供するアメリカ発の小売業態のストアであり、D2C(流通業者を通さずメーカーが直接販売を行う形態)製品などを展示・販売し、RaaSソリューションを提供している企業です。
b8taの店内に設置されたカメラで顧客の行動を観察し、取得・分析したデータを売り上げとともにフィードバックすることで、各企業は製品の開発や改善、マーケティング施策に活かすことができます。
Kroger
Krogerは、スーパーマーケットやマルチデパートメントストアを運営しているアメリカの企業です。自社製造によって低コストで消費者に製品を提供する点が人気を集め、約2,800店舗を展開しています。
KrogerのRaaSサービスには、Microsoft社と共同開発した「EDGE」があります。これは、Krogerが持つ顧客データや売場にまつわる知見とMicrosoftが持つ高性能AIによる分析を組み合わせた「ディスプレイ型商品棚」です。
デジタルディスプレイを利用した顧客の行動データを収集・分析できるため、小売業の業務支援を行えるとして日本でも注目を集めています。
by REVEAL
RaaSはアパレル業界でも展開されており、アメリカの企業by REVEALは、「by REVEAL」という、移動可能な小規模店舗を提供しています。
顧客が手に取った商品をリアルタイムで確認できるため、売れ筋の商品や消費者の行動を把握することが可能です。
出品している企業は、これらデータを元に新たなブランド戦略を構築できる上に、展示会やイベント会場などに気軽に出店できる点も人気を集めています。
MaaSに取り組む企業
GO株式会社(旧:株式会社Mobility Technologies)
GO株式会社(旧:株式会社Mobility Technologies)は、日本のモビリティ産業をより効率化するために、様々なITサービスを提供している会社です。
MoTが提供するMaaSサービス「GO」では、タクシー車両とリアルタイムで位置情報を連携することで、高度な配車ロジックを実現しています。
また、法人向けタクシーサービス「GO BUSINESS」も展開。予約や歯医者、経費精算まで、ビジネスシーンにおけるタクシーの利用を効率化してくれるサービスです。
WHILL
WHILL株式会社は、次世代型電動車椅子や近距離移動のプラットフォームを作っている企業です。
デザイン性に優れたオムニホイールを採用した、走破性と操作性を両立させた画期的な製品を提供する傍ら、MaaSサービスにも力を入れています。
WHILLが手掛けるMaaSサービスでは、自動運転機能を搭載した電動車椅子のシェアリングサービスを提供中。着いた場所から最終目的地までのちょっとした距離を補う、だれもが乗れるモビリティとしての利用を視野に入れて事業を展開しています。
JAL
日本を代表する航空会社JALでも、空港を中心とした移動の検索・手配をサポートするMaaSサービス「JAL MaaS」を提供しています。
本サービスでは、経路検索機能を搭載することで、目的地までの交通機関サービスを一括管理。それぞれの交通機関の専用アプリやWeb サイトで予約・管理することなく、出発地から目的地までシームレスに移動できる仕組みになっています。
XaaS系企業は今後も増える見込み!
今回は、近年注目を集めている「XaaS」の定義について触れながら、XaaS領域としてサービスを展開している有名な企業について紹介しました。
初期費用が安く、維持費や管理の手間も省けるXaaSは世界中の企業から注目されており、今後も市場の拡大が予想されています。これを機に、XaaS企業への転職も考えてみてはいかがでしょうか。
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