アセンブラプログラミングを徹底解説!その特徴から役割、C言語との関係性まで分かりやすく解説します。
アセンブラプログラミングを調べると「アセンブラ」や「アセンブル」など似通った名前も多く検索されます。同時にC言語についても比較される形で登場しますが、専門用語の多い記事を読んだだけではいまいち理解できないという人も多いでしょう。今回は、アセンブラプログラミングやC言語の関係性を初めて読む人でも分かりやすく解説します。
目次
アセンブラプログラミングとは
アセンブラプログラミングは、より機械語に近い言語でのプログラミングを実現します。
コンピューターは基本的に、CPUに命令を送ることでその他の機器に電気信号を送り、それぞれの動作を制御するのです。
CPUが理解する言語は機械語と呼ばれ、人間にその言語の羅列は理解できません。すべては「0」と「1」の電気信号であり、2進数と呼ばれる数値の羅列だからです。
それを少しでも人間が理解できる“言語”にしたものがアセンブリ言語と呼ばれます。
そして、アセンブリ言語を用いてプログラムを組むことをアセンブラプログラミングというのです。
現代のプログラミング言語は、「何」を「どう」したいという順番に英語の文法に近い並びでプログラミングできます。
さらには1行のコードには複数の命令が含まれていますが、アセンブラプログラミングでは一つの行動に対して一つのコードという具合に、すべての動作をひとつひとつプログラミングする必要があります。
アセンブラとアセンブルとアセンブリ
アセンブラとアセンブルとアセンブリは、それぞれの意味があります。
まず、アセンブリが「アセンブリ言語」と呼ばれる、いわば言語の名称です。
アセンブラとは、アセンブリ言語で書かれたソースを機械語に変換するためのソフトウェアで、コンパイラのようなものです。
そして、アセンブルは、アセンブリ言語で書かれたソースをコンピューターが実行できる状態に変換する“こと”です。
それぞれを英語表記で見ると分かりやすいでしょう。
- アセンブル(assemble):動詞(翻訳すること)
- アセンブリ(assembly):名詞
- アセンブラ(assembler):名詞(作業する人)
これらを合わせて文章にすると次のようになります。
「アセンブリでプログラムしたソースを、アセンブラでアセンブルする」
言語として呼びたい場合は「アセンブリ言語」がもっとも一般的でしょう。
ややこしいですが、こうやってひとつずつを理解しておくと、その他のサイトの説明文も読みやすくなるはずです。
アセンブリを学ぶ意味
アセンブリ言語を学ぶことには、コンピューターの動きを深く知るという、プログラマーとして重要な意味があります。
これは、C言語はもちろん、その他の言語でプログラミングをする上でも役に立つ知識となります。
コンピューターの動きがわかる
アセンブリ言語は、コンピューターを動かす脳ともいえるCPUの動きを、1対1のコードで命令する言語です。
ですので、CPUがどのように動き、その他メモリーや周辺機器にどのような命令をするかをすべて把握する必要があるのです。
コンピューターには、中心となるCPUをはじめメモリーやHDD(SSD)、周辺機器を含めさまざまな機器で構成されています。
コンピューターが通電すると、そのあとのコンピューターの行動はすべてCPUが動きを制御するのです。
CPUは電気信号のパターンでその他の機器を操作するのですが、「どのような操作をするか」という命令するコードを指示するのがプログラミング言語です。
アセンブリ言語は、言語の中でももっとも機械語に近い言語ですので、CPUに制御してほしい順番を、順序立てて細かくコーディングしなくてはなりません。
このような意味でも、アセンブリ言語を駆使するアセンブラプログラミングは、コンピューターを深く学べる言語だと言えます。
プログラミング言語が深く理解できる
コンピューターの仕組みを理解できると、プログラミング言語のそれぞれのコードが何のために存在しているのかが分かってきます。
どのような言語も、すべてはCPUに仕事をさせるための命令の塊です。
ですので、コンピューターの動きを意識するアセンブリ言語を理解することで、あらゆるプログラミング言語が深く理解できるでしょう。
アセンブラプログラミングの用語と特徴
アセンブラプログラミングについて調べていると、専門用語が出てきますよね。
CPUやメモリーといったものについては、ある程度把握できていると思います。これらの用語もチェックしておきましょう。
アセンブラプログラミングに出てくる用語
説明に出てくる専門用語としては、「ニーモニック」や「ラベル」「オペランド」などがあります。
アセンブラプログラミングでは、CPUへの命令名やデータを格納するアドレス、変数名や数値となるパラメーターが必要ですが、それらの名称がその他のプログラミング言語とは異なるだけです。
それぞれは次のような意味ですので、覚えておきましょう。
- ニーモニック(アセンブラコード):ひとつひとつの命令
- ラベル:アドレス
- オペコード:命令指す単語
- オペランド:オペコードの引数パラメータ
アセンブラプログラミングの特徴
アセンブラプログラミングの特徴は、その他の高級言語だけでは実現できない“機械語に近い命令”を利用できるところです。
アセンブラプログラミングを学習することで、コンピューターの動きを詳しく理解できるという特徴もありますが、ここではプログラミングの実質的な特徴を見ていきます。
C言語にインラインで組み込む関係性
アセンブリ言語は、ソースコードが機械語と1対1に対応しています。ですので、CPUの細かい動作を制御することができるのです。
C言語では、CPUの細かな命令を書くためにC言語のソースの中にアセンブリ言語を入れ込む、インラインアセンブラという使い方もあります。
CPUの種類で言語も違う
パソコンやサーバー機、またはスマートフォンなどさまざまな機器がありますが、それぞれのCPUには種類の違いがあります。
CPUが異なれば、対応している言語も違うのです。主にニーモニック(動作や命令のニックネーム)が異なるのです。これは、同じ動作でも言語によって異なるのと同じですね。
アセンブリ言語の例
ここでは、実際のアセンブリ言語のコードを見てみましょう。
アセンブリのコード形式は、1行につき一つの命令が基本です。代表的なニーモニックには以下のようなものがあります。
- MOV(move):コピーする
- LD(load):メモリからロードする
- ST(store):レジスタからメモリへコピーする
- ADD(add):加算
- SUB(subtract):減算
などです。
これらが、CPUへの動作命令で、その後にはレジスタ名やパラメータを指定します。
例えば、「10+20」のプログラムは以下のようになります。
STORE 10, 20
STORE 11, 30
READ 10
ADD 11
OUT
END
アセンブリ言語とC言語の違い
アセンブリ言語とC言語の大きな違いは、低水準言語か高水準言語かということです。
アセンブリ言語は低水準言語という、機械語に近い言語です。一方、C言語は、理解しやすく汎用性が高いことから高水準言語と呼ばれます。
アセンブリ言語とC言語の比較
それでは、実際のコードでアセンブリ言語とC語の違いを比較してみましょう。
例えば、先ほどの「20+30」の加算結果を表示するプログラムを見てみましょう。
アセンブリ言語の場合は以下です。
STORE 10, 20
STORE 11, 30
READ 10
ADD 11
OUT
END
C言語の場合は、数値を決めている状態(入力させるようなプログラムではない)場合、出力するまでを書いたとしても、1行で終わります。
printf(20+30)
C言語は非常に分かりやすく、1行で済むプログラムでも、機械語に近いアセンブリ言語で表現するとこれだけの処理をしていることが分かりますね。
まとめ
- アセンブラプログラミングはコンピューターの仕組みを深く理解することができる
- 他の言語を学ぶときなどスキルの基礎となる
- C言語ではインラインアセンブラといってCPUの細かな命令を書くためにアセンブリ言語を組み込む使用方法がある
- ITエンジニアにとってアセンブラプログラミングの習得はスキル向上の基盤に繋がる
アセンブラプログラミングは、機械語に最も近いプログラミングです。
コンピューターがどのように動くのか、またレジスタやメモリーの使い方などを深く理解するためには、アセンブリ言語を学ぶことが近道です。
プログラマーとして、またはITエンジニアとしてもコンピューター内の動きを知っておくことは、自身のスキルの強い基盤となるはずです。
C言語を使いながら、アセンブリ言語をインラインアセンブリとしての利用もありますので、知っておくことだけでも大きな力となります。
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